ミミズのいる地球(中村方子 中公新書)
生態系を地下で支えるミミズ,大陸移動の生き証人であるミミズ(なにしろ泳げないし,飛べないし,移動速度ものろいため,大陸が分離してしまったらもう他の大陸に移動できない)からの視点で地球環境を考える本。
とにかく,ミミズ求めて三千里,とスコップ片手に世界中の土を掘る著者の姿は研究者の業を感じさせ,同時に,研究者ってのはこういう時期がなくっちゃね,と思わせる迫力に満ちている。

だが,本としては面白くなかった。せっかくの面白い素材なのに「ニューギニアにミミズを探しに行った話」「ポーランドにミミズを掘りに行った話」など,フィールドワークの苦労話が多く,ミミズの魅力とかミミズの生理とか,そういう本来面白そうな話が希薄になってしまったようだ。
「ミミズの研究書」としてではなく,「ミミズ研究者の研究生活」の本だと思って読めばいいかもしれない。

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