《APE 2003》★★(2002年,アメリカ)


 未確認生物ってやつがありますが,その中でも雪男とかイエティと呼ばれる「大きな毛むくじゃらのサルみたいなやつ」がいます。この映画はそれを扱ったものです。

 ストーリーは簡単。ある会社の研究者と社長の娘が乗ったセスナ機がどっかの森の中に墜落して遭難するんだけど,警察の捜査では手がかり一つ見つからず,捜査は打ち切り。あきらめ切れない社長は娘を探しに行こうと(本当は別に理由があったりするんだけど)自分で捜索隊を結成して探しに行く。そこで不思議な出来事が続くが,何とかして飛行機を発見。飛行機の中からビデオを発見し,生き残った彼らが何者かに襲われたことを知る。それが獣人(アメリカの先住民たちの呼び名が出てきたけど,忘れちゃった)だった。

 ま,こんなストーリーです。


 この映画の特徴は二つあります。第一は,とにかく獣人がなかなか出てこないこと。最初から,うなり声とか奇怪な物音とか,何かが歩き回る音とかは聞こえるし,獣人から見た人間の様子(なぜか人間が光って見えている)が何度も映されるのですが,人間の襲い方は中途半端だし,ちょっと襲ってみてはすぐに逃げちゃいます。84分の映画なんですが,歯とか牙,顔の一部が見えるのは,なんと60分くらい経過してからです。そして,こいつの全身像が拝めるのはなんと最後2分間だけです。散々引っ張ってきて,わずか2分だぞ。これは普通なら怒りますね。多分,それまで散々と「恐ろしい怪物」だと思わせといて,実は大したことがないため,出し惜しみしたんでしょう。

 そして第二の特徴は,場面が頻繁に切り替わり,そのたびに真っ暗な画面が挿入されること。この真っ暗画面の前後で,場面が大きく変わるのなら意味が分かるけど,「銃を構える」→「画面が3秒くらい真っ暗」→「銃を撃つシーン」という具合です。見ていると非常にイライラしますし,眼にも悪いです。何でこんな映像にしちゃったんでしょうか。こういう真っ暗画面が格好いいと思って作ったんでしょうか。観ている方にとってはひたすら迷惑で,うざったいです。この「真っ暗画面シーン」を全てスキップすると,締まった映像になるはずです。


 原題は "the untold",つまり,「語られていない, (事実などが)明かされていない」という意味でしょう。ところがなぜか,邦題は「APE 2003」。どこが猿なんだよ。猿じゃないじゃないか。Apeはテナガザルやオランウータンなどの類人猿の総称ですから,この邦題は明らかに変。


 最後のシーンで,会社社長が娘の敵(かたき)とこの怪物と対面しますが,なぜかすぐに撃ち殺さずに5秒くらい見つめ合い,それからこの怪物に拳銃の弾を撃ち込みます。この長い沈黙が意味不明。
 さらに,弾丸は怪物君の左胸のあたりに当たったようなんだけど,当たったんだか外れたんだか,定かではありません。おまけに,打たれた(?)怪物君,動きもしないし,襲っても来ないし,逃げもしないし,倒れもしない。長いにらめっこの後に社長が目をちょっとつむった隙に姿を消しちゃう。これって一体何がどうなったの?

 ちなみにこの獣人ですが,オランウータンが直立したような外見をしていますが,そんなに大きくありません。せいぜい2メートルくらいじゃないでしょうか。となると,こいつがですね,不時着したセスナ機を中に4人の人間を乗せたまま8km引きずって歩いちゃうのは無理があるよなぁ。セスナ機を引きずるなら,体長5メートルくらいにしなきゃ無理だよ。


 というわけで,意味不明に頻繁に繰り返される「画面真っ暗」が気にならず,意味不明のシーンが多くても気にならない人にはお勧めね。

(2006/04/04)

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