1歳0ヶ月男。千葉県。
 2016年9月10日,テーブルの上のコーヒーに手をのばして倒し,左胸腹部〜左側胸部側腹部に熱傷。〇〇大学付属▼▼病院に救急搬送されて治療を受けた。12日,同院皮膚科を受診。フィブラストスプレー®が処方された。フィブラストを噴霧した瞬間に火がついたように泣き出して大暴れし,見ていられなかった。「深いヤケドなので痕は必ず残ります。皮膚移植になるでしょう」と説明された。
 母親は直ちにフィブラストについてネット検索。
 9月13日,当科受診。「浅いヤケドなので傷跡は残りません。これに皮膚移植する医者は頭がおかしい」と説明。シーラーで連結したズイコウパッドで治療。

9月13日

9月16日

9月20日

9月27日:14日後

10月25日:42日後

2017年8月4日:325日後
以下のメールを添えて写真を送っていただきました。ありがとうございます。


 先日、先生のHPに息子の治療例が掲載されたのを機に、ご連絡させていただきました。

 大学病院での治療に絶望する中、夜な夜なネット検索していて湿潤治療に行き当たり、柿田先生にご紹介いただき、藁にもすがる思いで夏井先生を訪ねました。
 先生には、息子の傷はもちろんですが、私の心の傷も癒していただきました。
 当時の私は、息子に大変な火傷を負わせてしまったことへの罪悪感の塊で、息子の顔を見るたびに、「ごめんね、ごめんね」と心の中でつぶやいては、涙している状態でした。「泣く」というより、涙が勝手に目から溢れてくるのです。
 今思えば、心を病みかけていたと思います。
 めそめそする私に対して、「治るから大丈夫!それに、火傷をしたからといって、それはこの子の人生には何の影響もない」と言い切る先生の言葉を、当時の私は「そうなんだ、大丈夫なんだ」と素直に受け止めることができ、顔を上げて前を見ることができるようになりました。
 人生最悪のどん底にいた私を救っていただき、本当にありがとうございました。
 たくさんのおもちゃに囲まれた治療室の雰囲気や、いつも物腰柔らかにやさしい言葉をかけてくださる看護師さんにも救われました。

 おかげさまで、その後、少しずつ傷跡は薄れてきました。
 ご参考までに、火傷から約11ヶ月となる昨日時点の写真を添付します。なかなかじっとしておれず、ピンぼけですが、昨日掲載された写真を見て、当時と比べると随分良くなったと、夫と一緒に驚きました。(当時、火傷の写真は記録していなかった(あまりにショックで撮る気になれなかった)ので、私たちも当時と比べるのは初めてです)

 あれから1年の間、息子の火傷を忘れた日はなく、先生のHPも毎日拝見しておりました。 私と同じように幼いお子さんが火傷を負ってしまった症例、そしてそれがどんどんきれいに治っていくのを見ては、自分のことのように「大変だったね、辛かったね。でもこんなにきれいになってよかったね」と一緒に火傷を乗り越えていく気持ちになっていました。
 先生のHPに掲載された症例集は、私のように、より良い火傷の治療法を探す患者さんや親御さんにとって、とても参考になり、希望を与えるものだと思います。
 当時、真夜中に治療法をネット検索していた私は、同じような症例をいくつもクリックして見ては、こんなにもきれいに治ることに驚くとともに、我が子もきっと、とかすかな希望を抱いたものです。

 あの火傷の事故を通して私がひとつ学んだことは、患者は受け身ではなく自ら主体的に医者を選ばなければならないのだということです。
 大学病院で急患対応をしてくださったことはありがたかったですが、皮膚移植が必要などと脅され、あちこち回されるたびに、事故が起きた時の状況をイチから説明させられ(できれば思い出したくないことを、何度説明したことか!)、あげく、保健師の方からは「お母さんは育児に悩み・ストレスがあったのではないか、だからこんな事故が起きたのではないか」と非難され、ただでさえ息子の火傷のことで自分を責めていた私には、忘れられない苦痛になりました。
 もし、状況に流されて、あのまま通院していたら・・・。
 そんな大学病院側の対応が、ある意味で原動力になり、夏井先生に、湿潤治療に出会えたことは、結果的には良かったのだと、今となれば思うこともできます。

 10月にはクリニックを開業なさるとのこと、おめでとうございます。
 東西線ユーザーの千葉県民としては、先生がお近くにいらっしゃることが大変心強く、うれしく思います。
 ただ、できることなら、また先生のお世話になることのないよう、日々注意力をもって生活をしてまいりたいと思います。
 

【アドレス:http://www.wound-treatment.jp/next/case/hikari/case/2468/index.htm】

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