2歳0ヶ月女。ブラジル在住。
 2016年1月25日(現地時間),テーブルが倒れて左小指指尖部を切断。現地の救急病院を受診し,持参した切断断端をcomposite graft(切断断端を縫合するだけの手術)されたようだ。次第に指先が黒くなった。2月1日に両親がネット検索し,日本では湿潤治療で壊死した指尖部が回復していることを知り,主治医に湿潤治療をしてほしいを申し出たが,主治医は「感染症を起こすと敗血症で死亡する」と説明し,2月2日に断端形成術(骨を切除して創部を縫合する手術)が行われた。
 諦めきれず,2月8日に成田空港に到着し,指の再生を願って当科を受診。

 次のように説明。

  1. 骨が切除されているため,傷を抜糸して湿潤治療をしたとしても,指は長くならない。
  2. 2月2日の手術で爪を作る組織(爪母)が切除されているため,湿潤治療でも爪は生えてこない。
  3. 指先が黒くなった時点でラップで覆うなどしていれば,指は多少短いものの,爪は生えてきたと考えられる。
  4. わざわざ日本に来られたが,このような手術をされた後では手のうちようがない。壊死した指を再生する治療は,世界中で日本でしか行われていない。


 このような患者さんが受診されるのが,一番辛いです。

【アドレス:http://www.wound-treatment.jp/next/case/hikari/case/2138/index.htm】

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