76歳男。
 2015年3月25日,水道管の工事中に左母指を機械に巻き込まれた。直ちに〇〇大学附属病院に救急搬送され,形成外科入院となり,その後,手術(腹部有茎皮弁)を受けた。
 半年たっても皮弁の知覚がなくて触った感じがなく,皮弁はグニャグニャしていて力が入らないため支えにならず,物が摘めない。左手が使いにくく困っていたところ,練馬のタウン雑誌の紹介記事を見た。
 2015年9月24日,当科受診。皮弁は今後も知覚が戻らず,グニャグニャの状態も改善しないことを説明。皮弁を全て切除して湿潤治療をする方法もあるが,それで知覚が戻るかどうかはわからないと説明した。

背側 側正中 掌側


 久しぶりに手指への腹部有茎皮弁を見たが,何とも無様で無意味な手術であることを再確認した。最悪なのは,「治したはずの指が使えなくなる」ことだ。知覚がなく力も入らないため,母指に腹部有茎皮弁をすると,手の2大機能であるGripとPinchができなくなるのだ。
 湿潤治療で母指を再生させると,知覚は正常で使える母指になり,機能障害はほとんどない。

【アドレス:http://www.wound-treatment.jp/next/case/hikari/case/1905/index.htm】

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