34歳男。
 2015年8月25日,作業中に機械のベルトに右示指を巻き込まれ,末節部の不全切断(軟部組織のみでつながっていたらしい)。直ちに〇〇大学付属病院に救急搬送され,形成外科で再接着術(血管吻合)が行われ,その後入院となった。数日後,循環不良のために壊死してきたため,主治医より早期の断端形成が進められたため,手術はDIP関節で乗り弾になると説明された。妻がネットで切断指の治療について検索し,当科へのセカンドオピニオンで9月2日に受診。
 初診時,右示指末節部に黒色壊死を認めた(撓側が再接着されていて,尺k速は僅かに献上組織が残っていた)。患者さんと家族に同様症例の経過写真を見せ,断端形成術は不要であることを説明。プラスモイストで創部を被覆した。
 壊死組織は次第に融解・軟化し,自然に除去し,指尖部は自然に上皮化した。
 11月24日から仕事に復帰している。
 指尖部の知覚は鈍いが断端神経腫の症状は認めず,DIP関節は-45°で固定されていて,伸展・屈曲不能。しかし,受傷前と同じ仕事に戻っている。

9月2日 背側 掌側 側正中 XP

9月4日  

9月11日    

9月16日    

9月28日    

10月5日 32日後  

10月13日 41日後

10月26日 54日後  

11月13日 72日後  

11月20日 79日後  

12月14日 103日後  

2016年1月5日 125日後  

2月12日 163日後  

3月11日 191日後  


 末節部の部分的切断・不全切断に対し,大学病院形成外科では一生懸命に再接着術(血管吻合術)を行いますが,このような症例を見ていると,その手術(努力)が本当に患者のためになっているのか,疑問を感じます。それって,医者の自己満足の世界(手術)じゃないのかな・・・って。

【アドレス:http://www.wound-treatment.jp/next/case/hikari/case/1865/index.htm】

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