47歳女性。
 2年前に右足の壊死性筋膜炎の治療のため,〇〇大学◆◆病院形成外科で皮膚移植を受けた。
 傷跡が余りに醜く,人前で足を出せない。移植皮膚の知覚が鈍いため,怪我をしてもわからなく不便だった。ネットで湿潤治療のことを知り,移植した皮膚を剥ぎとって湿潤治療をすればもう少しきれいに治るのではないか,とのことで当科を受診された。
 このような状態になると治療法がない/少しでも良くする方法はない,と説明した。


 この患者さんのように,熱傷などで皮膚移植を受けた後,移植皮膚のあまりの醜さに悩まされている患者さんは非常に多いと思う。というか,皮膚移植手術を受けて結果に満足している患者さんは,一人もいないと思う。
 網目状植皮の皮膚は20年経っても30年経ってもウロコ状の醜形を呈してその状態は改善しない。形成外科医は「時間の経過とともに目立たなくなります」と説明するが(かつての私もそう説明していた),実は時間の経過でも状態は改善しないのである。これはシート状植皮でも同じだ。

 医者は患者とせいぜい1年か2年付き合うだけだが,患者さんは移植皮膚と一生離れられないのである。だから医者は気軽に皮膚移植を行うのだろう。
 気楽な商売,気楽な治療とはこういうことをいう。

【アドレス:http://www.wound-treatment.jp/next/case/hikari/case/181/index.htm】

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