73歳男。
3年前より糖尿病,高血圧,不眠症で〇〇病院内科に通院中。糖尿病はアマリール内服で治療。
左第1趾が黒くなっていることに家族が気付き,4月28日に〇〇病院受診。直ちに当科紹介となった。受診時,第1趾だけでなく他の足趾にも循環不全を認め,足背遠位の皮膚も一部壊死していた。また,全身状態も極めて不良のため,糖尿病内科紹介し,直ちに入院となった。この時は下腿での切断になるかな,と考えていた。創部は「穴あきポリ袋+紙おむつ」(勝手に鳥谷部先生のサイトにリンク)で一応覆っておいた。
左下肢の動脈の急性閉塞の可能性もあり,心臓血管外科にも紹介。左浅大腿動脈の完全閉塞があり,4月30日に血管内治療を行う。それ以降,壊死の進行はストップし,壊死組織が限局してミイラ化し始め,同時に抗生剤点滴で局所の感染症状も改善してきた。
内科主治医と相談し「局所の循環が改善したので,壊死組織の切除のみで行けるかもしれません。下腿切断はいつでもできるので,最後の手段としてとっておきましょう」ということになり,壊死した足趾を外来診察室で関節部離断を5月20日から開始。第1趾はIP関節で離断し,その後,突出した基節骨先端を骨鉗子で除去。
全身状態が改善し,内科的にも問題がなくなったため,外来通院でも治療可能として5月29日に自宅退院となり,以後は週に一度くらいの頻度で通院してもらった。
7月10日に足背に小さな膿瘍形成を認め,切開排膿し,止血を兼ねてアルギン酸塩被覆材を創内に挿入。
以後は特に問題はなかったが,10月下旬より夜間就寝すると起座呼吸があり,11月15日から食思不振があり,脱衣も困難になった。11月20日から排泄も全介助となり,同日,当院内科に心不全の診断で入院となった。12月11日に自宅退院。
4月28日 |
5月18日 | 5月21日 |
5月25日 |
6月12日 |
6月26日:59日後 | 突出した骨は切除 |
7月10日:73日後 | 切開排膿後 |
7月23日:86日後 |
8月7日:101日後 |
8月21日:114日後 |
9月4日:129日後 |
9月28日:153日後 |
10月9日:164日後 |
10月26日:181日後 |
11月9日:195日後 | 11月26日:212日後 |
12月3日:219日後 | 12月10日:226日後 |
2016年1月4日 251日後 |
2月1日:279日後 |
2月29日:307日後 |
【アドレス:http://www.wound-treatment.jp/next/case/hikari/case/1609/index.htm】