48歳男性。
 11月6日午前零時頃,ガスコンロにかけたヤカンを取ろうとして服に引火。右上腕から右側胸部にかけて熱傷受傷。直ちに当院救急外来に救急搬送され,同日,当科受診。
 火炎による熱傷では3度熱傷がほぼ必発のため,治療に長期を要することを説明。創部は「短冊カットゴミ袋+ペット用シーツ」で被覆した。補液は行わず,抗生剤も投与していない。
 この程度の範囲の熱傷では入院は不要と説明して帰宅となった。仕事に関しては「職場に行けそうだったら行ってもいいよ」と説明した。
 「短冊カットゴミ袋+ペット用シーツ」の作り方を指導し,3日目ころから自宅でのドレッシング交換も可能になった。入浴に関しては「シャワーで洗ってもいいし,痛くなければ浴槽に入ってもいいよ。でも,痛かったら入らないでね。ただし,石鹸やボディーソープは創部につけないように」と説明。

  
2012年11月6日 11月6日 ドレッシング方法    11月7日

11月9日 11月13日 11月16日 11月22日

11月26日 12月3日
側胸部は上皮化完了
12月10日

  
12月20日
上腕:上が遠位,下が近位
2013年1月17日
肉芽が盛り上がり,リンデロン軟膏開始
   1月24日 「皮膚の島」!
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

     
1月31日 1月31日    2月14日    2月21日

  
3月14日:側胸部 3月14日:上腕    4月11日 5月9日

  
6月13日:側胸部 6月13日:上腕    7月11日


 上腕内側は上皮化完了までに7ヶ月を要したが,瘢痕拘縮は生じず,運動障害も起きていない。「動かしながら上皮化させると動く上皮が再生する」ことを教えてくれる症例である。つまり,患部の安静,上皮化までの時間,運動障害の有無を表にすると,次のようになる。

  皮膚移植する 患部を安静にして上皮化 患部を動かしながら上皮化
上皮化までの時間 最短 比較的短い 長期間
瘢痕拘縮 最高度 高度 なし
運動障害 必発 高頻度で発生 ほとんどない

 つまり,「早く治るが動かなくなる治療」か,「時間はかかるが動きは正常な治療」かの二者択一である。

 ちなみに,この患者さんは体重140キロ以上の肥満体であったが,2012年4月ころから糖質制限を始め,2013年6月には110キロ,7月11日には90キロ台となり,服を全て買い直す羽目になったと嬉しそうに話されていた。

【アドレス:http://www.wound-treatment.jp/next/case/hikari/case/127/index.htm】

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