51歳女。ハワイ在住。実家は東北地方の〇〇県。
 2014年4月に交通事故で右下腿を車の間に挟まれた。すりむき傷だったので病院は受信せず様子を見ていた。6月に〇〇県の実家に戻った際,〇〇大学病院形成外科を受診し,皮膚が壊死していると言われた。その頃,ネットで湿潤治療を知ったため,保存的治療を希望してしばらく軟膏で治療をしてもらったが,7月19日に皮膚移植術が行われた。29日に再受信した際,皮膚が生着していないため,追加手術が必要と言われた。7月30日にハワイに戻り△△病院形成外科を受診したが,皮膚が壊死しているので皮膚移植しなければ治らないと言われた。現地で「皮膚の再生治療」をしている医師を探して◇◇病院に通院したが,状態に変化はなく,9月10日に2度目の皮膚移植術を受けたが,術後,皮膚は生着していないように見えた。同医師の治療の説明に不信感をもち,退院後は通院せず,ネットで調べて自分でワセリンを塗っていた。10月4日に〇〇県の実家に戻る際,東京に立ち寄り,当科を受診。
 創部はまだら状に皮膚が再生していて,湿潤治療で皮膚再生が望める状態だった。
 13日にハワイに戻る予定とのことで,患者さんはすでにズイコウパッドを購入していたため,それで被覆するように説明した。

10月9日 拡大


 図らずも,日本の大学病院の医療レベル,ハワイの総合病院の医療レベル,アメリカの「最先端の皮膚再生治療」の実際のレベルが如何程のものか,この一例が教えてくれます。
 同時に,日本でもアメリカでも,形成外科医は「一度植皮が失敗しているのに,二度目の植皮は成功する」と考えていることもわかります。一度目になぜ失敗したかを検証せずに二度目の手術をしても,同じように失敗するだけだと思うんですけどねぇ。

【アドレス:http://www.wound-treatment.jp/next/case/hikari/case/1163/index.htm】

左側にフレームが表示されない場合は,ここをクリックしてください