14歳男性。
 8月19日(日),スケートボードで遊んでいで左下腿を打撲して擦過創を受傷。直ちに当院救急外来を受診した。当番医は擦過創への処置を行い,異常があったら直ちに受診するように説明したが,その後,親に見せずに自分で処置を続けていた。
 8月29日に母親が傷が悪化していることを発見し,当科に連れてきた。

 左下腿前面中央に5×2センチほどの皮膚欠損を認め,内部はポケット状になっていて血腫が溜まっていた。血腫の吸収のためにで被覆し,10日ほどでポケットは肉芽組織で埋まった。その後はプラスモイスト(R)で被覆し,2週間ほどで上皮化した。

8月29日 8月31日 9月3日 9月10日

9月18日 9月26日 10月2日 10月9日

 これは典型的な「打撲後血腫⇒皮膚壊死」と思われる。打撲により皮下に大きな血腫が発生し,それが皮膚を圧迫することで皮膚の血流を途絶させ,その結果として皮膚壊死が生じたものだ。受傷直後には皮膚損傷は軽度だが,数日〜2週間の経過で徐々に皮膚が壊死するのが特徴だ。

 この症例のように創口が大きく開いている場合は,ポケット内部の血腫を無理に除去する必要はなく,ズイコウパッドで覆っておけば自然に融解して外に出てくる。ズイコウパッドは乾燥させないので,血液が凝固せず,吸収力が大きいのでこのような血腫の吸収には最適だ。

 ズイコウパッドからプラスモイストへの切替のタイミングだが,「滲出液が減ってきたらプラスモイスト」と考えてよい。

【アドレス:http://www.wound-treatment.jp/next/case/hikari/case/090/index.htm】

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