7歳6ヶ月女児。神奈川県在住。
 6月23日,母親の自転車の後ろに乗っていて左足を車輪に巻き込まれ,巻き込まれた。〇〇病院整形外科で治療中だが,毎日医師が変わって説明も治療法も変わるために不安になり,ネットで調べて当科を受診した。
 当科では,プラスモイスト(R)で被覆した。歩行は特に制限しなかった(患者が自発的に歩きたいと言うまで無理に歩かせないが,歩かないようにという指導はしない)
 7月5日に全抜糸したが,この時点でアキレス腱直上の部分は創離開していて,7月9日には全層壊死となったが,こうなっても歩行を制限する必要はない。

6月29日 7月5日 7月9日 7月17日 7月24日 8月10日

 このようなスポーク外傷,特に両親や祖父母が運転する自転車の後ろに乗っていて受傷した場合では,患者さんはなかなか歩こうとしないし,多くは「トイレに行くにもハイハイ。自宅内の移動はお姫様抱っこ」状態になる。
 「いつまでこの状態なんでしょうか?」という質問をよくいただくが,「子供はある日突然,歩き出します。多分,自分の傷は痛くなくて,歩いても痛くない,ということに本人自身が気が付かない限り,歩けないからでしょう。しかし,必ず,ある日突然,歩き出しますよ」と説明している。

 そして,一部(?)の子供は明らかに,この「お姫様扱い」,「王様扱い」を楽しんでいるに思えるし,一部の子供は「赤ちゃん返り」になることもある。
 しかし,そういう子供でも必ず自分の足で歩き出す日がやって来る。「お姫様抱っこ」での移動は楽だけど,何かするたびに親を呼ばないといけないので,やはり次第に面倒になってくるのだろう。

 そういうわけで,「スポーク外傷で赤ちゃん返り」した子供さんのご両親は,赤ちゃん時代のわが子を思い出して愉しむ,くらいの気持ちでいたほうがいいようだ。

【アドレス:http://www.wound-treatment.jp/next/case/hikari/case/063/index.htm】

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