網状植皮(mesh skin graft):醜形は24年でも改善しない


 ある方から次のようなメールと一緒に写真をいただきました。

交通事故による皮膚欠損で植皮しています。受傷後24年経っています。メッシュグラフトですね。時間だけではこのような傷は綺麗に治らない事を多くのお医者さんや看護師さん達に知っていただければ、この脚も世の中に貢献できるのではと思います。


 この写真で判るとおり,mesh skin graft(採取した皮膚に切れ目を入れて広げることで,採取した小さな皮膚で大きな面積の傷を覆う植皮術)は24年たっても醜いウロコ状の醜形を呈しています。この「ウロコ」は,恐らく死ぬまで消えません。
 現在でも全国各地の熱傷センター,大学病院の形成外科や皮膚科で治療を受けている熱傷患者さんは,主治医から「網状植皮をすれば傷が治ります」と手術を勧められ,植皮術を受けていると思いますが,果たして,このような惨状をご存知なのか,知った上で手術に同意しているのでしょうか。少なくとも私は,形成外科医時代はこのような写真を見せて患者さんに手術を説明したことはありません。

 形成外科医は手術の傷跡の美醜に関しては極めて厳格です。わずかな傷跡も騒ぎ立てるのが形成外科医です。しかし,その同じ形成外科医は網状植皮後の醜さを気にしません。縫合創のわずかな傷跡に耐えられないのに,なぜ網状植皮の「ウロコ」の醜形は平然として見逃せるのか,現在の私には理解できません。これは一種のdouble standardではないでしょうか。

 網状植皮しか治療手段がない時代ならそれでも許されたと思いますが,現在,植皮しなくてもかなりの面積の熱傷が治っているのが判っているのですから,これは人道上の問題ではないかと思います。21世紀における網状植皮はいわば,20世紀初頭のロボトミーと同じではないでしょうか。


 「網状植皮のあとはきれいだ。これを醜いというお前の方がおかしい」という形成外科医,熱傷専門医からの反論,心よりお待ち申し上げております。是非,ネット上で公開討論しましょう。

(2009/08/10)

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