ある病院の外科の先生から相談を受けた症例ですが,経過と写真を見ても病態が全く掴めません。なぜこのような経過をたどっているのか,合理的な説明が見つからず,困り果てています。
症例は68歳の男性。DM、ASO、心不全でHD中ですが,DMはインスリンは使っておらず、現在コントロール良好です。ASOでパナルジン、バファリンを処方されております。心不全はEF 20%くらいと不良で、日常生活は車椅子です。
1年半前に背中の引っかき傷がもとで潰瘍になり、当院皮膚科受診。ゲーベン軟膏にて加療されたところ腫瘍状になったとのことで当科(外科)に紹介されました(2008年6月1日)
しばらくワセリン+ラップで加療したものの、痛みの訴え強く大きさの変化もないため,7月7日に局麻下に切除しました。病理結果は炎症性肉芽と膿瘍でした。
その後は順調に肉芽の盛り上がりがみられていたのですが(8月4日,11月14日)
翌年の1月6日頃から中心部に不良肉芽のようなものができ始め,それが自壊し出血。
その後から周囲組織が壊死しては出血するという悪循環を繰り返し、現在、肋骨が露出しており胸腔に穿破しそうな勢いです。
基礎疾患を考えれば改善は難しいと思いますが、一時はかなり良くなりそうな勢いだっただけに、あきらめ切れない心情です。現在、特に心不全、腎不全が悪化したというわけではないようです。
治療はワセリンラップとプロスタグランジンは重症心不全には使えないとの事で、オパルモンのゾロ品の内服を使っております。
培養は2−3ヶ月に1回提出しており,Enterococcus 3+、Psudomonas aeruginosa 3+ が1回づつでております。
このような経過です。一体,どのような病態なのでしょうか。皆様のお知恵を拝借したく,症例を提示させていただきました。
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(2009/08/21)