症例は10代後半の女性。湯たんぽによる低温熱傷で,受傷翌日(12月3日)に当科を受診した。直ちに水疱膜を除去してプラスモイストを貼付,以後は1日1回のドレッシング交換を行った。12月15日までは痛みはなく経過した。
初診(12月3日) | 水疱除去 | 翌日の状態 | 12月10日 | 12月15日 |
12月15日の状態では創周囲に発赤を認めるが,疼痛はないため,これは感染症状の発赤ではなく,浸出液による接触性皮膚炎の発赤と診断した。
12月18日 | デブリードマン直後 | 12月19日 |
前日から患部の疼痛が発生したため,12月18日に受診。著明な圧痛を認めたため,局所麻酔下に壊死組織をすべて切除し(壊死組織表面を切開するだけでもよい),アルゴダーム(アルギン酸塩被覆材)を貼付。翌日には疼痛はなくなった。
12月22日 | 1月6日 | 2月3日 | 2月16日 |
この程度の欠損範囲でも,完治するまでには2ヶ月以上かかるようだ。
完治まで2ヶ月もかかるなんてダメだ,すぐに植皮をすればいいではないか,というのが形成外科医の発想である。患者側の心理としては,「2ヶ月かけると治るんですよね。お風呂にも温泉にも入れるんですよね。なら手術はいいです」じゃないだろうかと思う。
(2010/02/17)