アトピー性皮膚炎の10歳女児


 症例は10代の女児。幼児期から全身の乾燥肌とかゆみがあり,某皮膚科医院でアトピー性皮膚炎と診断され,以後,外用剤と内服薬で治療を続けているが全く改善しなかった。
 両手,手指の傷が治らず痛みがひどいため,5月25日に当科を受診した。

初診時(5月25日)の左手 右手

 全指,及び両側手掌に痂皮形成を伴う皮膚の亀裂とびらんを認め,強い痒みと痛みを訴えた。手掌,手指ともに皮膚はカサカサに乾燥していた。


 直ちに,数本の指に試験的にデュオアクティブ(R)を貼付してみたところ,貼付直後から痒みと痛みがなくなった。このため,残りの部分にもデュオアクティブ(R)を貼付し,自宅で交換するように説明し,2日後(5月27日)に再診してもらった。また,ボディーソープとシャンプーの使用を止め,できるだけ温水だけで洗うように指導した。

5月27日 5月27日 5月30日 5月30日

 5月27日,痒みも痛みも全くなくなり,痂皮は全て融解し,上皮化が進んでいた。さらに3日後(5月30日)にはほとんどの部分で上皮化が得られた。デュオアクティブ(R)を剥がしても痒みが再発しない部位は「白色ワセリンでのワックスがけ」法を指導し,段階的にデュオアクティブ(R)からの離脱を計った。


 その後,時々調子が悪くなることはあったため,6〜7月はほぼ週に1回の通院を要したが,7月中旬には左手はデュオアクティブ(R)なしでも症状が出ることはなくなり,ほぼ完治の状態となった。「こんなきれいな手を見るのは生まれて初めて!」と本当に嬉しそうだった。

7月4日 7月4日


7月29日以降,右手も完治したため受診せず,10月7日に「良くなったので見てください」ということで受診してくれた。ワセリン塗布のみで痒みも痛みもなく,快適に生活できているとのことだった。また,他の部位の症状(乾燥肌とかゆみ)もかなり改善していた。

10月7日 10月7日


 もしもこのような症例にぶつかったら,いきなりデュオアクティブ(R)を貼付するのでなく,まずフィルム材(オプサイト,テガダームなど)を患部に貼付して痒みや痛みが軽減することを確認したほうがいい。フィルムでも治療効果があることが確認できたら,デュオアクティブ(R)でも効果があるはずだ。


 このような症例を見てしまうと,「大多数のアトピー性皮膚炎,乳児湿疹の原因はボディーソープとシャンプーではないか」と考えてしまう。ボディーソープもシャンプーも強力な洗浄力をもつアニオン系界面活性剤だから,皮膚の皮脂も強力に落としてしまい,その結果として皮膚を乾燥させる。乾燥(=空気への被曝)自体が痒みを引き起こすから,ボディーソープとシャンプーが初期のかゆみの主因と想像される。

 もちろん,食物アレルギーを基礎とする「真のアトピー性皮膚炎」も存在するが,それは「いわゆるアトピー性皮膚炎」全体のごく一部に過ぎず,それ以外は「症状が<真のアトピー性皮膚炎>に似ているだけの<なんちゃってアトピー性皮膚炎>」ではないかと思う。

(2011/10/13)

左側にフレームが表示されない場合は,ここをクリックしてください