両手と左前腕に膿痂疹をきたしたU度熱傷にプラスモイストが奏功した症例

小倉台クリニック/福田世一


 千葉市で湿潤治療をしている福田先生から上記のような症例報告をいただきました。福田先生,グッジョブ!


 症例は20代の女性です。熱い油を両手と顔面にかけて、熱傷受傷し某病院形成外科を受診。ネットで湿潤治療のことを知り,湿潤治療を希望してその5日後に当院受診しました。

前医では水疱膜をつぶさなかったようで、画像のような水疱を伴う熱傷で当院受診。両手背と両指の水疱膜を除去し、プロペト塗布後、腕にラップ、手にゴム手袋をかぶせました。浸出液も多くなるため1日に2回ほど自宅で交換するよう患者に指導しました。

11月7日の左手背 11月7日の右手背 左前腕

11月13日ごろより両手と前腕に膿痂疹が出現。膿痂疹をつぶし、被覆材をプラスモイストに変更しました。11月18日の画像ように創部が真っ赤になりましたが、膿痂疹が徐々に消失。

11月16日 11月18日

 11月下旬より紅斑が薄くなっていきました。

11月25日 11月25日

 12月10日の両手背の画像ではうっすらと紅斑が残っていますが、ほとんど完治したと言ってよいと思います。

12月10日

 また、12月17日の画像において手掌、左前腕の創部もきれいになっているのがわかります。

12月17日 12月17日


【感 想】
 水疱膜を破った直後は、浸出液が多く出るのだから、浸出液管理と感染症予防のため、本当はプラスモイストを始めから使えば良かったのかもしれませんが、経済的理由と手が自由に使えることを考えるとゴム手袋とラップが適当と思いました。しかしながら、被覆剤をプラスモイストに変えることにより感染症コントロールができ、創部がきれいになったことは素晴らしいことだと思い、投稿させていただきました。
 膿痂疹ができたときは、やばいなぁ、時間がかかりそうだなと思いました。このときはほぼ毎日来院してもらって、膿痂疹をつぶしてはプロペト塗布とプラスモイストで被覆する、を繰り返しましたが、これが良かったのかもしれません。

(2011/10/22)

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