手背の皮膚全層剥離症例

津久井赤十字病院整形外科 大庭真俊


 大庭先生より興味深い症例の治療経過のデータをいただきました。患者さんからも「こんな手の写真がみんなの役にたつのなら」と、どこにでも公開していい」と公開の許可を得ているとのことです。


 症例:74歳男性。2011年10月26日,シルバー人材センターの仕事で庭木を伐採中、右手に伐採した木が落下し受傷。同日当院整形外科を受診した。

初診時:背側 初診時:掌側


 手術室にてデブリ、洗浄し、可及的に皮膚を4−0ナイロンで縫合。水道水洗浄と、モイスキンパッド毎日交換。SBT/ABPC 1.5g 3回/日 点滴 7日間。


 術後2週間目。手も動かせるし、ガーゼ交換できるし、痛くないので退院させてほしい,との申し出があり,退院を許可した。


 退院後の経過。以後、毎日ご自宅でシャワー洗浄し、モイスキンパッド交換。趣味の植木の手入れは、できるだけ行う。毎週の整形外科外来で創チェック。週2−3回、OTによる手指機能訓練を行った(フォローアップ中の写真の入ったSDカードを破損してしまいました)。

 H24年3月 フォロー終了時。創部はすべて上皮化。感覚は少し鈍い位とのこと。皮膚の拘縮は全く起らず、元の業務に復帰されました。伸筋腱が露出していましたが、滑走もきちんとしているようです。


 最後に大庭先生の感想です。

 自分もそうでしたが、こういう創を診る場合に、情報があるのはとても心強いですので、自分が今度は発信できる側になりたいと思います。
 患者さんは、周囲の人に「尻の皮を剥がれるぞ!」と言われて怖かったそうです。「植皮しなければいけないこともあるけど、しなくて良かったね」と言いました。

 実は、湿潤治療の背中を押してくれたのは、整形外科の指導医(キャリア30年クラス)でした。「よく観察して、感染したらデブリなりして、もうだめなら、最後に(植皮を)考えればいいじゃない。まずこれでやりなよ」と言ってくれました。

(2012/03/2)

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