重症トビヒへのプラスモイストV著効例

鳥取県立中央病院皮膚科/河上真巳


 先週、某病院からかなりひどい伝染性膿痂疹(トビヒ)の6歳女児が紹介され、顔面、胸などにも膿痂疹がありましたが、何よりひどいのは左手背〜前腕にかけてBSA:2〜3%、あたかもU度SDB熱傷のようにズル剥けビランになっており、黄ブ菌の産生する表皮剥脱毒素(ET)でブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)になっているのは明らかでした。

 セフェム系抗生剤の投薬変更と、抗菌剤軟膏外用されていたのを、本症には当方も初めてプラスモイストV被覆処置に変更したところ、なんと、2日後の再来時にはほとんど上皮化していました(初診翌日は自宅で交換してもらいました)。

 皮膚科医師の我ながら、このような重症のトビヒがココまで早くカンタンに治癒す るのは目を疑う驚くべき早さでした。皮膚感染症ですから抗生剤内服に加え、抗生剤軟膏外用がなかば一般常識的な膿痂疹治療でしょうが、よく考えたらSSSSといえども表皮剥脱毒素(ET)による一種のヤケドみたいなものですから、プラスモイスト被覆で治癒するのは当たり前なんですけどね・・・。

 というわけで、「トビヒでズル剥けビランになったらプラスモイスト被覆」がこれからのスタンダード処置になりそうですね。
 今度、トビヒ・アセモ専用プラスモイストDCR/DCも発売になりましたし、いゃ〜、治療がどんどんカンタンになってしまいそうで、期待大!ですね。

初診時の写真を撮り忘れ残念で申し訳ありませんが、6日後の完全キレイに上皮化し た写真添付いたします。

こういう有益な情報は是非、先生のサイト更新にて、全国の先生方に紹介、共有さ せてくださいませ(当方の実名出していただいてもOKです)。

(2012/07/06)

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