症例は0歳11ヶ月の男児。9月1日夕方,味噌汁の鍋に右手を入れて熱傷を受傷。直ちに当院救急外来を受診した。救急外来ではワセリンを塗布したガーゼで覆うのみとし,9月3日に当科を受診した。
当科初診時,右手母指〜小指のMP関節部より遠位に水疱形成を認めた。直ちに水疱膜を可及的に除去した。母指はデュオアクティブETで被覆し,残りの指はひとまとめにしてミトン型プラスモイストで被覆した。軟膏類は使用せず,抗生剤も投与していない。
患者の両親には,拙書『ドクター夏井の熱傷治療裏マニュアル』の症例17を見せて,恐らくこのような経過で治る可能性が高いと説明し,治療期間と最終ゴールの見通しを最初に提示した。これでご両親は安心されたようだった。
治療経過中,局所の感染症状は一度も呈さなかった。傷跡一つ無い状態で治癒し,もちろん,瘢痕拘縮は認められない。機能障害もない。
9月3日 | 9月3日 | 9月3日 | ドレッシング |
9月4日 | 9月4日 | 9月4日 |
9月7日 | 9月7日 | 9月7日 |
9月10日 | 9月10日 | 9月10日 |
9月14日 | 9月14日 |
9月20日 | 9月20日 |
この症例を見ると,熱傷は治る時期が来たら一気に治るものであることがわかる。この症例で言えば,9月7日から9月10日の変化が著明だ。
(2012/10/01)