足関節開放脱臼骨折後の皮膚壊死


 症例:41歳女性。6月25日に交通事故で左足関節開放脱臼骨折を受傷。以後,近くの病院の整形外科で治療を受けているが,足関節内側に皮膚壊死を生じて治らないため,主治医より「皮膚移植をしないと傷が治らない。早期に皮膚移植しないと骨髄炎を起こす」と手術を強く勧められていた。しかし,ネットで湿潤治療のことを知り,手術をしない治療を希望して8月27日に当科を受診。

 肉芽の循環がよく,深部に通じる瘻孔もないため,保存的治療の適応と考え,プラスモイストで被覆した。また,積極的に足関節を動かし,患部を安静にしないように指導した。

8月27日 9月3日 9月19日
この頃まではあまり
変化はなかった
10月2日
ここで一気に
上皮化が進んだ
10月17日


11月2日
上皮化完了
11月2日
足関節伸展
11月2日
足関節屈曲


 70日ほどで上皮化したが,足関節の動きは正常で歩行も運動も全く正常に行なえている。運動をしながら上皮化させると,上皮化に多少時間はかかるが,このように普通に動く状態で上皮化する。

 前医(整形外科医)は,保存的治療では瘢痕拘縮が起きて歩行障害が起こるとして皮膚移植を強く薦めていたが,10月末に受診して創部を見せたところ,足関節のしなやかな動きを見て唖然としていたそうである。

(2012/11/08)

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