アキレス腱縫合術後の創離開⇒アキレス腱露出


 症例は40代後半の男性,宇都宮市在住。2011年10月末にアキレス腱断裂。宇都宮市内の某病院整形外科に入院となり,10月31日にアキレス腱縫合術。
 術後は特に問題はなかったが,11月28日に患部に痛みがあり,翌日,赤く腫れて膿が流出。11月30日に再入院となり,手術(手術内容は不明)。12月6日からゲーベンクリームで治療。
 主治医の治療についての説明に不安になり,ネットで調べて石岡第一病院(当時私が勤務していた)を受診。

 当科では最初に湿潤治療について説明し,同様症例の経過写真を見せて今後の見通しを説明して,「時間はかかるがかならず治る。手術は恐らく必要ない傷だ。のんびり治しましょう」 と説明。創部は水道水で洗い,プラスモイストで覆うのみとし,処置方法を指導して週1回程度の通院とした(もちろん,何か異常があったらすぐに受診するかメールで連絡するように説明)。抗生剤は投与せず,入浴も自由に行わせ,創部を湯船に入れてもいいと説明(ただし,絶対に石鹸で洗わないように指導)

 その後は,浮いてきたアキレス腱縫合糸を順次抜去した。歩行・荷重に関しては石岡第一病院整形外科の判断に従った。2012年3月まで同院に通院してもらい,その後は練馬光が丘病院に通院となった。2012年8月下旬,創は完全に上皮化したことを確認。

 しかし,その1か月後,上皮化した部分に水疱ができて水疱が破れたため,8月24日に当科受診。
 診察の結果,深部に通じる瘻孔がなく,局所の炎症症状(圧痛,発赤)がないため,感染ではなく物理的刺激による水疱形成(=靴ずれのようなもの)と判断し,プラスモイストでの被覆を続けるように指導した。抗生剤は投与していない。

 その後,創部は上皮化し,潰瘍も再発していない。歩行も制限なしに行なっていて装具も使用していない。

2011年12月12日
皮膚の縫合糸を除去
白く見えるのはアキレス腱
2011年12月27日 2012年1月10日
アキレス腱縫合糸が
浮いてきたので抜去する
2012年1月24日 2012年1月31日

2012年2月21日 2012年2月28日 2012年3月6日
創はほぼ上皮化
2012年7月30日
光が丘病院初診
完全に上皮化している
2012年8月24日
数日前に
水疱ができて破れた
2012年9月28日
肉芽で埋まった

2012年12月6日
上皮化し,潰瘍再発なし
2012年12月6日
軽度の肥厚性瘢痕を認めるが
瘢痕拘縮はなく
運動障害もない

(2013/01/18)

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