78歳,広範3度熱傷・・・ 2009/09/29(Tue)/投稿者: ほし@某救命センター
78歳,広範3度熱傷の記事、拝見いたしました。すごいですねぇ・・・。
私のところにもこういう方が時々入院になりますが、間違いなくお決まりコース(植皮)です。8月になってからの黄白色の壊死組織、あれを見ると普通はデブリをしたくなりますねぇ(^^;)壊死組織は感染の基になるんだったら自然脱落を待たずに丁寧にそぎ落としたらと思ったのですが、違うんですね。手も”常識”なら植皮となっているでしょうけど・・・いやぁ、驚きました。一度でも診たことがないとドキドキしてしまいます(^^;)。私もこういうのを保存的にこんな感じで診てみたいものです。
教えていただきたいのですが、”全層壊死部分に縦軸方向に数条の切開を入れた”とちょろりんと切開を加えているのは脱落を促すためのものですか?
- 2009/09/30(Wed)/投稿者: 夏井@管理人
夏井@石岡第一病院傷の治療センターです。
> 教えていただきたいのですが、”全層壊死部分に縦軸方向に数条の切開を入れた”とちょろりんと切開を加えているのは脱落を促すためのものですか?
これは羊皮紙様の全層壊死の下に溜まってくるであろう浸出液などをドレナージするためです。本当はもっと沢山,切開しようと思ったのですが,患者さんが「痛いからやめてくれ!」と騒いだため,これで止めました。
下肢に関しては,数日かけてさらに切開を数箇所追加しましたが,上肢の壊死組織は数日後にはかなり柔らかくなって壊死組織が自然に裂け,勝手に裂け目ができました。
最初期に一度だけ,39℃近い発熱があり抗生剤を点滴しましたが,それ以後は38℃以上の発熱はありません。
外科的デブリードマンですが,このように硬い部分に切開を入れる程度で十分で,壊死組織を全て切除するのはむしろしないほうがいいと思います。なぜかというと,側胸部や大腿部の真っ白な壊死組織が取れたあとに,生き残っていた皮膚が出現しているからです。外科的デブリをすると,恐らくこの「残っている皮膚」も一緒に切除してしまいます。
厚い壊死組織の下で健気に生き残っていた皮膚を見ると本当に感動しますよ。
- 2009/09/30(Wed)/投稿者: yamamoto@後期研修医
yamamoto@後期研修医です。
今までは壊死組織はとれる範囲でとっていました。
それでもできるだけぎりぎりまで取ろうと思い、攻めた結果、出血させてしまってそこで断念することもしばしばでした。
これだけの壊死組織が残っていても感染を起こしていないことに驚いています。
創面がこれだけの壊死組織に覆われていても感染しないのですね。
もちろんその分ドレナージを利かせたりと工夫は必要なのだと思います。
夏井先生はよく、感染は循環から途絶された閉鎖腔に起こる、とお話しされていますよね。
この場合も真の感染源は壊死組織そのものというよりも、その下に出来た閉鎖腔(生き残っていた部分との境界面)ということになるのでしょうか。
これからも今回のこの78歳の広範3度熱傷の方の経過を見るのがとても楽しみです。
- 2009/09/30(Wed)/投稿者: 夏井@管理人
> この場合も真の感染源は壊死組織そのものというよりも、
> その下に出来た閉鎖腔(生き残っていた部分との境界面)ということになるのでしょうか。
その通りです。
壊死組織は肉芽の上に付着しています。肉芽面からは常に滲出液が分泌されますが、固い全層壊死(eschar)は液体も気体も通さないため、その下に滲出液がたまることになります。もちろん、滲出液は創傷治癒を促進させる細胞成長因子を含んでいますが、それは人間側の見方であって、細菌の立場に立てば滲出液は「タンパク質が豊富な培養液」となります。それが溜まっているのですから、細菌にとっては絶好の環境となります。だから感染が起きます。
しかし、壊死組織を密封しておくと1〜2日で柔らかくなってきます。こうなると、恐らく気体は通過できるでしょうし、壊死組織に裂け目ができれば液体も外にでてきます。軟化した壊死組織はいかにも「ばい菌の巣窟」に見えますが、それは見かけ上であって、どうも壊死組織上で増殖している細菌は感染を起こさないような印象があります。創感染を起こすのはあくまでも「壊死組織と肉芽の間に溜まった滲出液」と思われます。
- 2009/10/01(Thu)/投稿者: たけ@血管外科
> ところで壊死組織に割を入れる時本人が痛がったということですが、壊死組織でも痛覚は残っているということなのでしょうか。
この患者さん,今でも処置のたびに「いてえ,触るな!」と大騒ぎしています。しかし,既に治っているところを洗っても「いてえ,触るな!」と大声を出しますし,処置が終わると全然痛がっていませんので,たぶん口癖ではないかと思われます。
- 2009/10/01(Thu)/投稿者: 夏井@管理人
> 是非学会で発表してほしいものです
現在の熱傷治療には幾つかの原則があり,その原則は熱傷学会で熱傷専門医たちが決めたものです。「受傷直後は受傷面積から算出される量の補液を機械的に入れ,抗生剤と消毒,ゲーベンクリームなどで創感染を防ぎ,できるだけ早期に植皮をする」のが,現在の熱傷治療の常識ですが,それを決めたのが熱傷学会です。
熱傷学会にとって,「熱傷治療には専門知識が必要である」ということが大前提になっています。専門知識が必要だからこそ,専門家集団である熱傷学会を作る必要性があったわけです。要するに,「熱傷とは専門家集団が叡智を集めて治療しなければ治らないもの」というパラダイムによって成立している集団です。
一方,私たちがしている熱傷治療は,専門知識(=従来の熱傷治療の常識)を持たない医者でも治療でき,特殊な治療材料も薬剤も不要,面積が広くなければ素人でも治療可能という方法です。植皮をしなくても大多数の熱傷が治るのですから植皮の技術を学ぶ必要もなくなりますし,補液について学ぶ必要もなくなります。要するに,熱傷の教科書自体が意味を持たなくなります。
「熱傷は熱傷専門家が治療するもの」と考えている集団(=熱傷学会)で,「熱傷治療に専門知識は要らない。これまでの専門知識は無用だ」という治療を発表したら,受け入れられると思いますか?
私は昨年1月,愛媛で開催された学会で特別講演をしていますが,その時に座長を務めたT島大学形成外科の某教授(熱傷学会評議員)ははっきりと,「傷の治療はいいが,熱傷に対してこういう治療をするのは困る。こういう治療を続けていれば,学会の認定医として認めるわけにはいかなくなる」と公開の場で恫喝してきました。この「傷の治療はいいが,熱傷治療は・・・」というところに熱傷学会の本音が出ているのです。
しかし,病院は所詮,客商売です。一般市民の間で「ヤケドをしたらあそこの内科のクリニックがいいよ。大学病院で治せないヤケドも簡単に治すんだって」という噂が広まってしまえば,大学病院を選ぶ患者はいなくなります。だから,重要なのは常に情報を発信し続けることだと考えています。
- 2009/10/01(Thu)/投稿者: ほし@某救命センター
> 現在の熱傷治療には幾つかの原則があり,その原則は熱傷学会で熱傷専門医たちが決めたものです。
> 「受傷直後は受傷面積から算出される量の補液を機械的に入れ,抗生剤と消毒,ゲーベンクリームなどで
> 創感染を防ぎ,できるだけ早期に植皮をする」のが,現在の熱傷治療の常識ですが,それを決めたのが熱傷学会です。
私は現状熱傷治療では全身管理を担当しており、特に輸液は厳重に管理しています。実はこの症例経過を見ていて「輸液量が少ないんじゃないかなぁ」と思っていました(もちろん夏井先生も脱水にならないか注意して適宜補液を行っていたのはわかりましたが。)。実はあまり神経質にならなくてもいいの?かも?しれません(?)全身管理が仕事の私がこんなこと言ってはいけないのかもしれませんが・・・。ただ、輸液過剰はいいことはありませんので尿量も最低限の維持でと考えています。
- 2009/10/01(Thu)/投稿者: ほし@某救命センター
> これは羊皮紙様の全層壊死の下に溜まってくるであろう浸出液などをドレナージするためです。
そうなんですね。勉強になります。
いやしかし、たけ先生もおっしゃっていましたが、私も保存的に診る勇気はなかったでしょうねぇ(^^;)まぁ私が皮膚科的処置をすることは現状ないのですが・・・。今、私の住んでいる地域というか全県的に、そこそこの熱傷面積を有する患者はほとんど大学送り(うちの救命センターです)になっていて、全身管理をする私たちはまだいいのですが皮膚科の先生方は少人数で大変です。先日連続5例の熱傷を受け入れていた時期は皮膚科医は大泣きしていました (^^;;)。しかし、提示症例のような加療なら私にも出来そうです(実際にやるかどうかは”あと一歩”踏み出す必要がありますが(^^;;))。そうすれば県内もちょっとは助かるかもです。
> 外科的デブリードマンですが,このように硬い部分に切開を入れる程度で十分で,壊死組織を全て切除するのは
> むしろしないほうがいいと思います。なぜかというと,側胸部や大腿部の真っ白な壊死組織が取れたあとに,
> 生き残っていた皮膚が出現しているからです。外科的デブリをすると,恐らくこの「残っている皮膚」も
> 一緒に切除してしまいます。
> 厚い壊死組織の下で健気に生き残っていた皮膚を見ると本当に感動しますよ。
へぇ〜そうなんですねぇ。驚くことばかりです。真っ白な壊死組織の中に健常皮膚も存在している??となると、近い将来3度熱傷の治療ががらりと変わってしまうかもしれませんね。自分自身が熱傷治療に自信を持てるようになるにはもう少し経験が必要そうです(^^;)
- 2009/10/01(Thu)/投稿者: 夏井@管理人
> 実はあまり神経質にならなくてもいいの?かも?しれません(?) (中略)
> ただ、輸液過剰はいいことはありませんので尿量も最低限の維持でと考えています。
実はこの患者さん,入院当日は点滴を入れ忘れ(オイオイ),翌日,研修医が青くなって救急医療のテキストを見ながら熱傷面積と体重から計算し,計算で得られた輸液量は何が何でも多すぎる気がすると半分の3000mlを点滴したんですが,翌日,肺の写真が真っ白になり,慌てて利尿剤を投与する羽目になりました。
それからこの研修医に脱水にならないように補液する程度でいいんだよと教え,心拍数と尿量を目安に入れるようにしてから,状態は安定するようになりました。同様に,患者さんの肌の様子や舌の様子を観察することも大事ですね。
ちなみにこのあと,この研修医は「熱傷の教科書は使い物にならない」ことに気がつきました。教科書を見るより患者さんを見よ,ということなんでしょう。
- 2009/10/01(Thu)/投稿者: 夏井@管理人
補液量に関連してですが,創面(肉芽面)からの浸出液はそんなに多くないような印象です。今度,1日の浸出液の総量を測ってみようと思っているところですが,印象としては創全体でも1リットル以下という感じで,湿潤治療で形成された肉芽面からは浸出液がどんどん逃げていくわけではなさそうです。
つまり,湿潤治療の肉芽面から分泌される浸出液は「創傷治癒に必要な量」だけ出ているだけで,それ以上は出ていないのではないか・・・と。補液はそれを補うだけで十分ではないか・・・と。
- 2009/10/02(Fri)/投稿者: ほし@某救命センター
> 印象としては創全体でも1リットル以下という感じで,湿潤治療で形成された肉芽面からは浸出液が
> どんどん逃げていくわけではなさそうです。
> つまり,湿潤治療の肉芽面から分泌される浸出液は「創傷治癒に必要量」だけ出ているだけで,
> それ以上は出ていないのではないか・・・と。
一連の話、結構面白いことかもしれません。私たちは「Baxterの公式」より急性期の輸液量の目安をまずつけて輸液を開始します。輸液開始後は特に尿量を目安に調節をするのですが、私のような集中治療畑の医師は肺うっ血で呼吸が悪くなってもいざとなれば人工呼吸器がある、それよりも尿量が維持できなくて腎不全となるほうが問題だ、と考えがちなので実は大過剰の輸液になっているような気がします。事実計算予測量よりも結果的に多くなっているのが常です。が、当然そういうもんだと思うのはいけないのかもしれません。もっとギリギリまで調整は出来るのかもしれません。
昨日も3度40%の30歳台男性(もとの体重 103kg)の患者さんが早期デブリ&植皮術に出ましたが、術前の体重は受傷後4日目で130kg(-_-;;)になって、当然のことながら呼吸状態はかなり悪い状況でした。尿量がなかなかアップしてこなっかったので輸液を結構入れた結果がこれです(私が直接担当はしていないのですが)。入れるから当然浮腫もひどくなりますし、創面からの浸出液も「創傷治癒に必要な量」以上のものが出ている(出ざるを得ない?)のかもしれません。熱傷が広範囲になると脱水になるのは確かです。それによる循環不全、臓器障害が回避したい・・・。あえてギリギリに調整するよりも多く入れておけば何とかなる面もあるのですがね・・・。
実際に創面からはどのくらい出ているものなのか、今度熱傷患者さんが来たら計測してみようかしら。
ちなみにうちの患者さん、3度熱傷面はクリーム色になっていて、このままあと数日したら提示症例のように自己融解してくるんだろうなぁと思いながら見ていました。
- 2009/10/02(Fri)/投稿者: 夏井@管理人
> 実際に創面からはどのくらい出ているものなのか、今度熱傷患者さんが来たら計測してみようかしら。
というわけで,24時間の浸出液の量を測ってみました。トータルで760gでした。生ビールならジョッキ2杯分ですね。浸出液の蛋白質の量も測定する必要がありますが,この量に相当する水分と蛋白質を補ってやるだけでいいのかもしれませんし,これくらいの量なら経口で充分という気もします。
来週,また測定してみようと思います。
- 2009/10/06(Tue)/投稿者: 夏井@管理人
今日もも24時間の総浸出液を計ってみました。850g弱でした。そんなに多い量は出ていないようです。
- 2009/10/06(Tue)/投稿者: ほし@某救命センター
> 今日もも24時間の総浸出液を計ってみました。850g弱でした。そんなに多い量は出ていないようです。
面積は結構広いように思いますが、意外に少ない感じですね。これは時期的なものもあるのでしょうか。最初の数日〜1週間くらいはどんな感じだったでしょうか?
- 2009/10/06(Tue)/投稿者: 夏井@管理人
> 面積は結構広いように思いますが、意外に少ない感じですね。
私もそう思います。思ったより少ないです。
> これは時期的なものもあるのでしょうか。最初の数日〜1週間くらいはどんな感じだったでしょうか?
「浸出液の量を測ってみれば,本当に必要な補液量がどれくらいかわかるんじゃないか?」と気がついたのが10月に入ってからなんですよ。もっと早く気がついていたら,いいデータが取れたはずで,ちょっと残念です。というか,私,頭悪いです。もっと早く気がついてもよかったです。
ただ,壊死組織の融解が盛んに起きている時期も1日1回のドレッシング交換だったので,今とあまり変わらないような印象でした。
今度,熱傷患者が来たら最初期から測定してみようと思っています。ちなみに,OpWTや今回のような方法で治療なら,紙おむつの重量を先に測っておけば創面からの浸出液はほぼ正確に簡単に測定できますので,他の先生方も測定してみませんか? もしかしたら面白いデータが得られるかもしれません。
- 2009/10/06(Tue)/投稿者: ほし@某救命センター
> 今度,熱傷患者が来たら最初期から測定してみようと思っています。ちなみに,OpWTや今回のような方法で治療なら,
> 紙おむつの重量を先に測っておけば創面からの浸出液はほぼ正確に簡単に測定できますので,
> 他の先生方も測定してみませんか? もしかしたら面白いデータが得られるかもしれません
次回熱傷症例があれば私もガーゼ重量を測定してみます。ガーゼに吸収されてそこから蒸発する分もあるでしょうけど、そこまでは厳密には難しいでしょうね・・・。そこまで捉えきるいい方法はないでしょうか?
- 2009/10/06(Tue)/投稿者: 夏井@管理人
> ガーゼに吸収されてそこから蒸発する分もあるでしょうけど、そこまでは厳密には難しいでしょうね・・・。
紙おむつは構造上,蒸発はほとんどないと思われますので,ガーゼより格段に正確なデータが得られると思います。
- 2009/10/08(Thu)/投稿者: ほし@某救命センター
全身に及ぶ重症熱傷のケースで輸液のことを考える場合、熱傷局所からの浸出液以外に、全身性の血管透過性亢進による血管外漏出→脱水・循環不全を無視できないように思います。熱傷局所から1000ml出たから1000ml補えばよい、という単純な話ではないので困りますよね。たとえば血管透過性を是正する薬剤でもあれば急性期輸液量はもっと抑えることができるのかも?しれません。昨日回診中にふと血管透過性の影響はどうなんだろう?と思い、カキコしました。
夏井先生がご提示のこの症例、私の病院にもし入院されていたら型どおりに輸液をしているんじゃないかと思います(4×40kg?×30%=4800ml/24h)。お話をお聞きするにはそれほどガッツリ輸液をしたような感じではないですよね。偶々なのか、それともこれを糸口に何か面白いことがわかるのか・・・。
- 2009/10/08(Thu)/投稿者: 夏井@管理人
この患者さんは大柄のがっちりした人で,入院時体重は72kgでした。つまり,4×72×30=8640ml/dayとなります。研修医もこの値を見て,78歳に8リットルも輸液したら肺水腫で溺れ死んじゃう,と直感して量を半分以下に減らしたそうです。
さて,血管透過性亢進ですが,「熱傷だから血管透過性亢進が起こる」という常識からして疑ってみる必要があると思います。血管透過性を亢進させるケミカルメディエーター(ブラジキニンやヒスタミン,PGE2など)には痛み刺激で分泌されるものがあるからです。逆に言えば「痛みがなければ分泌されない」ことになり,「熱傷でも痛みがなければ血管透過性亢進はあまり起きないのでは?」という推論も成り立ちます。
熱傷の痛みにNSAIDsはほとんど効きません。少なくとも私はNSAIDsで痛みがなくなった熱傷は一例も見たことがありません。鎮痛剤が事実上効かないのですから,医者は「熱傷の痛みは我慢するしかない」とせいぜい座薬を処方する程度で,最初から痛みに関しては諦めていると思います。だから,疼痛刺激でケミカルメディエーターは出まくり状態でしょうし,血管透過性亢進などさまざまな全身合併症が起きても不思議ありません。
しかし,『傷はぜったい消毒するな』(光文社新書)にも書きましたが,熱傷の傷みは創面を空気に触れないようにするだけでかなり減少しますし,症例によっては劇的に痛みがなくなります。つまり,最初期からそのような工夫をすれば,理論的には〔疼痛⇒ケミカルメディエーター放出〕は防げることになります。
- 2009/10/08(Thu)/投稿者: くろ@名古屋
遅ればせながら、書き込みさせてもらいます。
夏井先生の治療には本当に感服させられます。
治すのは,熱傷でもなく,血圧や尿量でもなく,患者さんなのだというポリシーがひしひしと伝わってきました。
さて,広範囲熱傷の輸液には二通りの考え方があるのではないかと思います。
1)とにかく輸液不足で腎不全を作ってはいけない。肺水腫になっても人工呼吸で対応すればいい。過剰輸液になってもいいのだ・・・いわゆる"aggressive fluid resuscitation"
2)とにかく必要最低限の輸液を心がける。最低限の臓器血流が得られていれば,多少の脱水は許容すべきだ・・・permissive hypovolemiaと呼ばれています。
旧来,いや現在も1)が考え方として主流であると思います。僕も今まで「輸液が足りない」と何度も上司に怒られた経験があります。
しかし,最近になり,ピコのような優れた循環血液量モニターが開発されるに従い,2)の考え方が生まれてきました。いくつかの研究により,広範囲熱傷というのはどれだけaggressiveな輸液をしても,hypovolemiaは補正されず,3rdスペースに蓄積し,浮腫や血流障害を引き起こすだけだといわれています。
というわけで,僕も最近は,心係数(CI)>2.5であればhypovolemiaは許容するというスタンスで輸液しています。尿量が<0.5ml/kg/hであっても,最低限の心拍出量が得られていればそのうちおしっこは出てくるものです。それで腎不全を作ったことはありません。
夏井先生の輸液法も2)の考え方に近いのではないでしょうか。我々のように,ピコのようなややこしいモニタリングなぞ行わなくても,上手に管理できているところがすごいです。夏井先生は,医者の五感こそがもっとも鋭敏なモニタリングであることをよく知っておられるのだと思います。
- 2009/10/08(Thu)/投稿者: 夏井@管理人
> 夏井先生は,医者の五感こそがもっとも鋭敏なモニタリングであることをよく知っておられるのだと思います。
これは順番が逆です。田舎の小さな病院では高価な機器を入れる余裕はないし,そもそも,それを必要とする患者は滅多に入院しません。だから,高価な機器はありません。
そういう病院でも,忘れた頃に患者は来ます。使えるのはレントゲンとか心電図といった旧式の機器だけですし,それ以外には医者の五感しかありません。
使えるものが限られているから,使えるもので何とかしようと工夫します。某番組の節約レシピ,某某番組の1ヶ月1万円生活みたいなものです。
- 2009/10/09(Fri)/投稿者: ほし@某救命センター
写真からはよくわかりませんでしたが、結構大きな方だったんですね。
> さて,血管透過性亢進ですが,「熱傷だから血管透過性亢進が起こる」という常識からして疑ってみる
> 必要があると思います。血管透過性を亢進させるケミカルメディエーター(ブラジキニンやヒスタミン,PGE2など)には
> 痛み刺激で分泌されるものがあるからです。逆に言えば「痛みがなければ分泌されない」ことになり,
> 「熱傷でも痛みがなければ血管透過性亢進はあまり起きないのでは?」という推論も成り立ちます。
とても面白い考え方だと思いました。そうですかぁ・・・。熱傷の疼痛管理は、私はICU勤務ですのでフェンタニルをよく使っています。これによるコントロールはなかなか良いです。呼吸抑制等の可能性もありますので一般病棟ではちょっと使えない薬ですが、挿管患者のみならず非挿管の熱傷患者でも使って良好なコントロールを得ています。
ケミカルメディエーターの放出は痛み刺激だけではなさそうですが(これもわかりませんけど)ガッツリ管理したらひょっとしたら面白いかもしれません。
- 2009/10/11(Sun)/投稿者: 夏井@管理人
> 熱傷の疼痛管理は、私はICU勤務ですのでフェンタニルをよく使っています。これによるコントロールはなかなか良いです。
フェンタニルは中枢神経系に作用する鎮痛剤,つまり「疼痛刺激は存在しているのに,脳が痛みとして感知しない」ようにしているだけです。問題はフェンタニル投与により「疼痛刺激」そのものが消えているわけでない,という点にあります。出血による貧血は輸血で是正できますが,出血そのものが止まっているわけでないのと同じです。
なぜこれが問題かというと,皮膚(外胚葉)は独自の知覚システムを有していて,これは末梢神経も中枢神経も関与していない知覚システムだからです。このことは実験的にも確かめられていて,培養表皮細胞(ケラチノサイト)は単独でもカプサイシンなどの発痛物質に反応します。
これも推論なのですが(推論だらけですみません),ケミカルメディエータ(CM)放出(の一部)が,皮膚痛覚で惹起されるとしたら,いくらフェンタニルで鎮痛したとしてもCM放出は完全には抑えられないことになります。つまり(この推論が正しいとすれば),フェンタニルで眠らせている患者さんは表面上は穏やかに寝ていて痛みを訴えませんが,体内は「CMの嵐」が吹き荒れている状態かもしれないのです。
なぜ創面の乾燥を防ぐだけで痛みが治まり,しかも熱傷患者の状態があまり悪化しないという現実を説明するためには,「CM放出は神経系を介さない反応でも起こり,皮膚独自の痛み刺激はCM放出を促進する」という考えるしかないと思います。
要するに,「鎮痛」ということを根本から見直す必要があるし,現在主流である中枢神経系抑制による鎮痛は,実は本当の意味では鎮痛になっていないのではないか,という根本的疑問を持っています。
- 2009/10/09(Fri)/投稿者: ほし@某救命センター
くろ先生、こんにちは^^
先生からのコメントをお待ちしておりました!
> さて,広範囲熱傷の輸液には二通りの考え方があるのではないかと思います。
> 旧来,いや現在も1)が考え方として主流であると思います。僕も今まで「輸液が足りない」と何度も上司に怒られた経験があります。
そうですね。私も1)が中心になってしまっています・・・。しかし、浮腫もひどくなりますのでギリギリでもよいのではないかと最近考えるようになりました。
> しかし,最近になり,ピコのような優れた循環血液量モニターが開発されるに従い,2)の考え方が生まれてきました。
> いくつかの研究により,広範囲熱傷というのはどれだけaggressiveな輸液をしても,hypovolemiaは補正されず,
> 3rdスペースに蓄積し,浮腫や血流障害を引き起こすだけだといわれています。
そうなんですよねぇ。
うちの施設でもPiCCOをよく使っています。熱傷患者で適用すると管理もしやすいかなという感触ですが、まだ何をどういう目安に管理したらというのが把握できていませんので先生のコメント、参考にさせていただきます。
> というわけで,僕も最近は,心係数(CI)>2.5であればhypovolemiaは許容するというスタンスで輸液しています。
> 尿量が<0.5ml/kg /hであっても,最低限の心拍出量が得られていればそのうちおしっこは出てくるものです。
> それで腎不全を作ったことはありません。
もしCI値がそれを下回っていたらカテコラミンなどを加えるなどして管理されるのでしょうか?
- 2009/10/13(Tue)/投稿者: くろ@名古屋
> もしCI値がそれを下回っていたらカテコラミンなどを加えるなどして管理されるのでしょうか?
ほし@救命先生
コメントありがとうございます。詳しくは、下記の文献をご参照ください。CIが下回れば、まずボリューム負荷です。
S. Arlati, et al. Decreased fluid volume to reduce organ damage: A new approach to burn shock resuscitation? A preliminary study. Resuscitation (2007) 72, 371—378
- 2009/10/13(Tue)/投稿者: 夏井@管理人
24時間の総浸出液ですが,今日は740gでした。前回2回の測定とほとんど変化はありません。
- 2009/10/19(Mon)/投稿者: 夏井@管理人
浸出液の量ですが,890g/day でした。
- 2009/10/21(Wed)/投稿者: K@麻酔科
角化細胞にオピオイド受容体が存在することが最近わかりました。
皮膚にもオピオイドが効いているようです。
- 2009/10/21(Wed)/投稿者: 夏井@管理人
> 角化細胞にオピオイド受容体が存在することが最近わかりました。
> 皮膚にもオピオイドが効いているようです。
御教示,ありがとうございます。
皮膚って本当に奥深いですね。
- 2009/10/23(Fri)/投稿者: くろ@名古屋
10/14の写真みました。創周囲からも、皮膚の島からも上皮化が始まってきていますね。ここまで来ると、指数関数的に上皮化しそうですね。
どこかのタイミングで植皮術をやるんじゃないかと思っておりましたが、10/14の状態を見ると植皮術なしでいけるんじゃないかと思わされます。上皮化完了までに時間はかかるかもしれませんが、そのかわり瘢痕拘縮も起こらないでしょう。
植皮術による治療では、たとえ救命できたとしても、廃用症候群や瘢痕拘縮が残り、「やけどがあって手間がかかる寝たきり老人」を作っているだけですね。そういう患者さんはなかなか転院先が見つからないのです。
とにかく、これからも経過報告楽しみにしております。
- 2009/10/24(Sat)/投稿者: 夏井@管理人
> 上皮化完了までに時間はかかるかもしれませんが、そのかわり瘢痕拘縮も起こらないでしょう。
3度熱傷,全層皮膚欠損を植皮せずに治療するようになって数年たちますが,確かに瘢痕拘縮はほとんど起きていません。
これまでの常識だと「関節部の皺に直行する傷は瘢痕拘縮を起こす」はずですが,そのような方向の開放創を数ヶ月間かけて上皮化させても瘢痕拘縮はほとんどおきません。また,関節部の全層皮膚欠損・3度熱傷であっても肥厚性瘢痕を起こす事もほとんどありません。
これはまだ仮説の段階なのですが,従来の肉芽(=消毒と各種有害軟膏と乾燥で痛めつけられていた)と湿潤治療の肉芽は性質が異なっているのではないかと思うのです。つまり,動かしながら湿潤を保つことで形成される肉芽は「動くことを前提にした肉芽」,安静にして乾燥させてできた肉芽は「動かない硬い肉芽」,という違いです。
さらに,関節部を動かしながら上皮化させると,動きに耐える上皮として再生し,動きに耐える上皮となるためにはそれ相応の時間がかかっているのではないでしょうか。だからもしかしたら,関節部の上皮化が遅い(遅れる)のは必ずしも「湿潤治療の弊害」ではないのかもしれません。
ところが従来の植皮による治療では,「動きに対応していない肉芽」の上に「静止した状態の皮膚」を乗せるわけですから,結果として動かない皮膚にしかならなかったのではないかと思うのです。だから,治療期間は短くできても動きが悪くなってしまった・・・と。
> 植皮術による治療では、たとえ救命できたとしても、廃用症候群や瘢痕拘縮が残り、「やけどがあって
> 手間がかかる寝たきり老人」を作っているだけですね。
その通りです。従来の重症熱傷に対する治療の最終目的は「救命」であり社会生活に戻すことはあまり考えられてこなかった気がします。
私はこのおじいちゃんを「自宅に家族に歓迎されて戻す」ことを最終目的にしています。「自分のことは自分でできる状態で家庭に戻す」というのは次の目標です。
来月頃から,家族に処置の様子を見てもらって傷の状態に慣れてもらい,「ヤケドの治療というからすごいことをしているかと思ったら,ちょっと洗ってゴミ袋を巻き,オムツを当ててるだけじゃないか。これなら素人にだってできるよ」と思ってもらえたらいいな,と考えています。
今後,側胸部と下肢は急速に上皮化が進むはずですから,これらの創にある程度めどがついたら,自宅に戻し,週1回くらいの外来受診にできるんじゃないかと夢見ています。
- 2009/10/26(Mon)/投稿者: 夏井@管理人
一日の総浸出液は900グラムでした。
昨日,歩いてトイレに行ったそうです。歩いてもずれないように下肢のドレッシングを工夫する必要が出てきました。
- 2009/10/26(Mon)/投稿者: たかはし@旭川
>歩いてもずれないように下肢のドレッシングを工夫する
今回の症例を拝見し、数年前のことを想い出しました。
湿潤療法をして、ある程度潰瘍の範囲を縮小させてから、他院に、植皮をお願いした症例があって、その方は、送った先で認知症を発症し、在宅に戻ったものの、自立度はかなり、落ちてしまいました。
あのまま、(植皮したくなる気持ちを)我慢して、私が処置を続けていたら、もしかして、認知症にならずに、治癒させてあげられたかもと、悔やまれます。
また、夏井先生のおっしゃる通り、歩く足、使う手のドレッシングにも、きっといろいろ工夫が必要でしょうね。
写真を見ながら、伸びた爪が結構気になってしまう私です。
- 2009/10/26(Mon)/投稿者: 夏井@管理人
> 歩く足、使う手のドレッシングにも、きっといろいろ工夫が必要でしょうね。
そう思います。「短冊ゴミ袋」で「片足モモヒキ」みたいなのを作ればいいよね,なんて考えているところです。
ちなみに,20年ほど前,ロール状メロリンガーゼで熱傷を治療していた時,前胸部〜背部〜両側上肢の熱傷患者さんにメロリンで服みたいなのを作って処置したことがあります。創部を全て覆い,なお且つ上肢が自由に動かせるようにといろいろ工夫しました。そうしたら図らずも,服の型紙と同じデザインになってしまったんですよ。衣服のデザインがどれほど機能的に優れているか,思い知らされました。
> 写真を見ながら、伸びた爪が結構気になってしまう私です。
母指の爪甲は先日,全て脱落しましたし,小指指尖部の壊死組織もほとんど取れそうな状態です。爪が自然に抜け落ちる途中だと,「爪が伸びた」ように見えるようで,私も騙されました。
これは無理に取る必要もないと考え,自然脱落に任せました。
- 2009/10/28(Wed)/投稿者: くろ@名古屋
それにしても、この症例は自己融解がよく進んでますよね。
われわれの施設では、羊皮紙のescharに対しては外科的デブリードマンを行うまでの間、主としてゲーベンクリームを使っていますが、自己融解があまり進みません。
ゲーベンのChemical debridementという言葉をよく耳にするのですが、そんな作用はまったくないと思います。ゲーベンを使うとescharが硬くなり、ガッチリと皮下組織に根をはって、浮き上がってくる感じがまったくないのです。
これはなぜなのでしょうか?石鹸が固まるのと同様に、ゲーベンに含まれる界面活性剤がescharを固めてしまうのでしょうか?
また、ゲーベンクリームを使うと、壊死組織を排除しようという生体防御反応を減弱させてしまうのはないかとも考えています。
ブロメラインを使ってもescharは融解しません。この軟膏もインチキだと思います。
自己融解を促進するための方法に関して、何かお考えがある先生がいらっしゃったらコメントいただけると幸いです。
- 2009/10/29(Thu)/投稿者: ほし@某救命センター
ひとつ基本的なことかもしれませんが、教えて下さい。
この症例で自己融解してきた組織は”異物”すなわち感染源になると思いますが、経過中その兆候はないようですね。ゴリゴリに血が出るようなことはしませんが、心情的にはドロッとした部分は切除したくなります(^^;)
- 2009/10/29(Thu)/投稿者: 夏井@管理人
> ゲーベンのChemical debridementという言葉をよく耳にするのですが、そんな作用はまったくないと思います。
この問題を考えるためには,そもそも「壊死組織の融解」とは何か,から考え直す必要があります。私が考えるに,壊死組織の融解と呼んでいる現象には次の二つがありそうです。
@蛋白融解酵素,強酸,強アルカリなどで壊死組織(=蛋白質)を低分子のものに分解していく現象
A生きている組織(=肉芽)から死んでいる組織(=壊死組織)が剥がれてくる現象
この二つは全く別物なのですが,なぜか熱傷治療においては混同され,区別されずに論じられているのではないかと思われます。
ゲーベンの成分から考えると@の可能性は恐らくなく,あるとすればAのはずですが,理論的に考えるとAの現象はゲーベンにより遅延するはずです(理由は長くなるので,後ほど書く予定です)。
いずれにしても,「ゲーベンによる壊死組織融解作用」というのはインチキであることは化学的・生物学的に証明できます。
> ブロメラインを使ってもescharは融解しません。この軟膏もインチキだと思います。
次のような事実から,この軟膏がインチキであることが証明できます。
- ブロメラインの主剤はパパイン(蛋白分解酵素)である。
- パパインは加水分解酵素なので水がなければ蛋白質を分解できない。
- ブロメラインの基剤はマクロゴールであり,水分吸収能力をもっている。
- 前項から,ブロメラインを壊死面に塗布すると,壊死面の水分はマクロゴールに吸収される。
- 前項より,ブロメラインのパパインは創面の水分がないため蛋白分解作用を発揮できない。
- ゆえに,ブロメラインは蛋白分解能を持つ薬剤ではない。
- 2009/10/29(Thu)/投稿者: ほし@某救命センター
同じタイミングで30歳代の3度熱傷を救命センターで診ています。先生がご提示の経過と見比べながら唸っています。こちらの状況は皆様のご想像の通りです。1日1回ガーゼ交換時にイソジンをぺたぺた、傷が汚いからとデブリを行い、パッチ植皮をしています。今はG(-)菌敗血症と戦っています。いわゆる「教科書的」な経過を辿っています。
ちょうど提示写真の3度部分が浮いてきたときのものがありますよね、こちらではあの段階で「汚い」とガッツリとデブリをされました。先生のこの症例を見ると「常識」が変わってしまいますね。
今敗血症と戦っているのもこんな侵襲的なことをしたからなんじゃないかと思ったりします。
くろ先生、教えていただいた論文を今読んでいます。ありがとうございます。うちもPiCCOを使っています。が、私は主治医ではなくてその上でsuperviseする立場なのでやってみたくてもなかなか口に出せないです・・・。
- 2009/11/02(Mon) /投稿者: 夏井@管理人
本日測定した浸出液量は860g/dayでした。大体このくらいの量で安定しているみたいです。
- 2009/11/06(Fri)/投稿者: 夏井@管理人
最近気がついたのですが,初期の頃はどうしても血清蛋白質が少なくなり,貧血が徐々に進んでしまったのですが,ここ2週間ほどは蛋白質の減り方が緩やかになり,貧血にもならなくなっています。
もしかしたら,浸出液の性状が変化してきたんじゃないかと思われます。
今回の症例を見ていて,今まで気がつかなかったいろいろなことが熱傷創面で起きていることにちょっとずつ気がついてきました。患者さんに教えられる毎日です。
- 2009/11/07(Sat) /投稿者: くろ@名古屋
すばらしい経過ですね。
広範囲熱傷患者の血清鉄,TIBC,フェリチンを調べたことがあるのですが,一部の例外を除いては,血清鉄↓,TIBC↓,フェリチン↑というパターンでした。
熱傷だと,蛋白のロスにより,鉄運搬障害が起こっているのだろうと考察しました。
敗血症や炎症性疾患でも同じような鉄動態になります。
当科ではヘモグロビン7g/dlを切れば輸血をします。
鉄剤の投与はナンセンスだと思います。
- 2009/11/17(Tue)/投稿者: 夏井@管理人
本日,平行棒を利用しながらですが,5メートルを4往復しました。歩行介助なしです。いよいよ,「歩いて帰宅する」のが現実のものとなりつつあります。
歩いている姿を見て感動してしまいました。