掲示板での討議に参加希望の方は,
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2008/09/04(Thu),投稿者: 夏井@管理人
石岡第一病院傷の治療センターの夏井です。
先週の神戸での日本褥瘡学会,どうでしたか?
参加された先生方のご感想をお聞かせいただけたらと思います。
某熱傷センターの現状 投稿日: 2008/09/26/投稿者:○○
某病院に勤務している医師です。
年間70例以上の広範囲熱傷患者を集める病院です.全身管理も手術も救急科主導で行っております.全身状態が落ち着けば形成外科に転科します.
当科の熱傷治療ははっきり言って殺人的治療です.この現状をお知らせしたくてタレコミさせていただきます.
現状1:熱傷の局所療法は必ず抗菌剤入りのものを使っています.DBであればゲーベンクリーム,SDB〜DDBであればバラマイシン軟膏です.
→結果1:メロペンやモダシンに耐性を示す緑膿菌がどんどん増加しています.最終的に緑膿菌菌血症となり,患者は絶命します.
現状2:植皮した創に対しても同様です.当院オリジナルのテラカデ(テラジアパスタ+カデックス)が好んで使われます.
→ 結果2:せっかく植皮しても生着しないし伸びません.創がいつまでたっても治らず,感染します.感染創に対しては「2倍テラカデ」といって,カデックスの配合率を2倍にしたものを使います.カデックスの強力な脱水作用により高張性脱水になり,患者のNa値は160mEq/lを超えます.1日で体重が5kg 減るときもあります.いつまでたっても経静脈輸液がやめられず,カテ感染を起こします.高Na血症のときは不穏になることが多いので,鎮静剤を増やします.すると人工呼吸器をいつまでたっても離脱できず,人工呼吸器関連肺炎(VAP)を起こします.患者は絶命します.
現状3:患者が敗血症性DICに陥り,血小板1万であろうと,「escharのデブリが唯一の改善策や」とまくし立て,全身麻酔下で広範囲なデブリを行います.
→結果3:出血が止まらず,術中死あるいは病棟へ帰室した直後に死亡した症例が何例がありました.
当院に赴任したばかりということもあり,今までは黙ってみていましたが,もはや我慢の限界がきました.
バイオパッチ 投稿日: 2008/09/17(Wed),投稿者: ほし@某救命救急センター
早速一つ話題提供なのですが、今日ジョンソン&ジョンソンから出ている「BIOPATCH」http://www.jjwm.jp/biopatch/about_bp.htmlなるCVの刺入部のドレッシング剤の説明会がありました。
これにはクロルヘキシジンが含まれており、カテーテル感染が抑えられるというもののようです。これは刺入部を細菌が伝って感染を起こしてしまうという考えの基に生まれた製品だろうと思っていますが、夏井先生のHPにもありましたが果たしてカテーテル伝いに細菌が血管内に入っていくのだろうか・・・そういう疑問を思いながら聞いていました。
その点を質問してみましたがあまりしっくりした答えも返ってきませんでした。スポンジにカテーテル部分がはいる穴が開いているのですが、これもカテーテルサイズは沢山ありますので無数の規格を作るわけにもいかないでしょう。説明によれば3サイズくらいあるようです。従って場合によってはカテーテルサイズとこのパッチの穴が厳密には100%フィットしないこともありえるわけです。もし刺入部から細菌が入っていく、それをクロルヘキシジンによって表皮の細菌を減らす(殺菌?)することで抑える、というのであれば刺入部にジャストフィットすることが求められる筈なのですが・・・。
無尽蔵にサイズをつくるわけにはいかないのはわかりますが、多少フィットしていなくてもいいというのはそもそもの考え方(刺入部から細菌が入っていくことでカテーテル感染を起こす)がイマイチ説得力に欠けるのではないかなと思った次第です。
どうお考えでしょうか?>皆様
A Long Day’s Journey
Another strike against the skin is the long distances that must be traveled in order for skin microbes to reach the intravascular segment of indwelling catheters. Staphylococci are nonmotile organisms and are only 0.001mm in diameter. Thus, to reach the tip of a 20-cm central venous catheter, these organisms must travel a distance that is 2 million times their own length. This is equivalent to a 6-foot human being who must travel 2272 miles (roughly the distance between Atlanta and Los Angeles) without the aid of transportation or even legs (because the staphylococcus is nonmotile)
the ICU Book second edition 1998
ラップ療法便乗商法? 2008/09/09(Tue) 投稿者: Y2
OpWTをしている施設に・・・といって、シービーというところから「デオキシオイル」のサンプルが届けられました。
興味がないので放っておいたら、9/8にFAXが届き、8/29の第2回創傷ケア研究会のシンポジウムに参加したとのことでした。
「じょくそう対策」、「ラップ療法」、「創傷」などの言葉が並んでおり、湿潤療法、OpWTに便乗した商法のようです。今後再びサンプルを送付するとあり、迷惑で仕方ありません。
皆様のところにも同じようなサンプルやFAXなどが届いていないでしょうか?
[1305]広範囲熱傷の湿潤治療を行う際の注意点(地域性) 投稿者/hongmei 投稿日/2008年07月27日(日)
以前鳥谷部先生がなぜ褥創の治療に食品用ラップから穴あきポリ袋へ切り替えられたかについて「南の方から感染率が高いという声があったから」とおっしゃっていたのを記憶しています。
この夏は暑さが厳しいためか、通常の湿潤治療で広範囲熱傷を治療していると発熱、敗血症が非常に高い確率で起こってます。医師達は通常全国を回って実際の医療行為をする事はありませんので、自分の居住地、勤務地(大抵近い)以外の地域の事情がわからないことがほとんどです。
温暖な地域で、夏に熱傷の湿潤治療を行う際には十分ご注意ください。
広範囲、特に手術を要する熱傷については積極的な湿潤治療、特に壊死組織を浸軟させるほどの湿潤環境におかない方がよいという考えはますます強くなっておりません。
[1303]爪根脱臼,爪甲裂創 投稿者/taka 投稿日/2008年07月24日(木)
爪根脱臼,爪甲裂創の治療を拝見しました。
私がレジデントのときに見た教科書で、確かに抜爪しないようにと記載してあったのを記憶しています。
理由は抜爪することにより爪母が傷つき、変形した爪が生えてくるため、また戻した爪がシーネがわりになるからとのことでした。
[1304]大きな水疱が出る足白癬 投稿者/Terry 投稿日/2008年07月27日(日)
両側足底の水疱症の患者さんを皮膚科に紹介したら,足白癬との返事が来て呆れたというお話が更新履歴に載っていたのを拝見しました。(http://www.wound-treatment.jp/next/wound400.htm)
足白癬で大きな水疱を作ってくる症例はたまに見ることがあります。右の写真のような水疱を作ることがあります。
http://missinglink.ucsf.edu/lm/DermatologyGlossary/tinea_pedis.html
プラスモイストで治ってしまって再発しないようであれば問題ないと思いますが,もし水疱の再発を繰り返すようでしたら,抗真菌剤外用を1ヶ月くらい続けてみるというのも試してみる価値はあるかもしれないと思いました。
[1298]シャンプー無し生活 その後 稿者/山下@VETERINARY 投稿日/2008年07月02日(水)
昔のほうから掘り返してきました。
こちらでシャンプー無しの生活を営んでいらっしゃった皆様の現在を教えていただけませんか?
すごく興味がありますので、よろしくお願いいたします。
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以前のスレッド【[1240]シャンプー無しの生活】への新規書込ですが,スレッドがあまりに長大になってしまったため,管理者の判断で新しいスレッドに分離しました。
[1302]リント布 投稿者/hongmei 投稿日/2008年07月21日(月)
昔からよく用いられており、看護師さんからは「余っているからこれを使ってください」と言われます。ネットで検索した所「ラップ療法にも使えます」とのくだりもありましたが、リント布は湿潤治療に使えるか?
薄いので吸収力に欠けるのではないかとも思います。
皆様のご意見をうかがいたいと思います。
[1301]7/17の更新履歴、白癬について 投稿者/Y2 投稿日/2008年07月17日(木)
夏井先生の7/17の更新履歴、実際の治療例の「水虫(足白癬)がラップとワセリン,プラスモイストで治ったという報告をいただきました。」について、治療経験から少し考えてみました。
私は内科医なので、間違っていることがあるかもしれません。皮膚科の先生方および細菌学・真菌学に詳しい方々からのご指摘、ご助言よろしくお願いします。
創傷の治療の原則から、潰瘍のある白癬には、クリームでなく軟膏の抗真菌薬を使用する。
ラミシールやニゾラールには軟膏がないので、アスタット軟膏を使用しています。
潰瘍や浸出液のない白癬の場合、アスタット軟膏で治癒せず、ラミシールクリームやニゾラールクリームで改善することがけっこうあり、軟膏とクリームの違いより、抗菌力または感受性の違いが関連している?
白癬菌は湿った環境を好むが、足底や趾間、指間、腋窩、陰部にできやすいが、肘、膝窩や赤ちゃんのムチムチした頚部などの湿った所にはあまりできないことから、湿っていればよいのではなく、皮脂や細菌?など、白癬菌の増殖しやすい環境がある。
普通の靴下の薄いものより、5本指(普通の靴下より分厚いものが多い)の靴下の方が白癬になりにくい印象がある。
靴を履いていれば湿気は同様にあるが、5本指の方が、湿潤かつ温かい空気を含む空間が少ないため?
まとめると、
白癬菌の好む皮膚環境がある?
湿って温かい空気を含む空間があると白癬が増殖しやすい?
クリームではなく軟膏により、創傷が治癒すると、白癬が改善する。
クリーム・軟膏の違いより、感受性が優先する場合がある。
などでしょうか。
[1299]TIME理論 投稿者/カネコ@北海道 投稿日/2008年07月13日(日)
かの「日本褥瘡学会」ご推奨の創傷治癒理論ですが、私はこれ自体間違いはないんじゃないかと思っています(原典に当たっていないので評価しきれない部分もありますが)
内容をまとめてみると「デブリードマンきちんとしろ(異物残すな)」、「傷は乾かせすぎず湿らせすぎるな」だけで話がすむんで、一般の方や看護師さん相手の説明には結構使えるんですよね〜、これ。
ってなわけで、最近「TIME理論からみたラップ療法」を主な講演のテーマにしています。
いかがでしょ、皆様
[1297]日本熱傷学会の局所治療のガイドライン 投稿者/hongmei 投稿日/2008年06月30日(月)
先日日本熱傷学会に行って来ました。
今年はガイドライン策定に向けてのシンポジウムがありました。
私は聞けなかったのですが、抄録には局所治療の項の内容には「III度熱傷にはゲーベンクリーム・・・」と書いてあり、これで決まってしまうと湿潤治療は「ガイドラインに沿ってない」と叩かれてしまうかもしれません。また、湿潤治療で不具合が起き、訴訟になった場合もこのガイドラインが効いて来る可能性があります。
湿潤治療を無視した局所治療のガイドラインが策定されない事を祈るばかりです。
[1295]今日の更新の「急速増悪した膿皮症」について 投稿者/某裏日本病院皮膚科 投稿日/2008年06月27日(金)
いつもお世話様です。今日の更新で症例提示されてた膿皮症の症例は、皮膚科医でないとなかなか思いつかない疾患ですが、壊疽性膿皮症(PG:Pyoderma gangrenosum)ではないか?と思われます。
初診時の写真で、潰瘍辺縁の特徴的な堤防状隆起、皮下脂肪レベルに及ぶ穿窟性で互いに交通しあうような瘻孔、抗生剤治療に抵抗するがステロイド全身投与で速やかに改善したことなど、間違いなくPGの臨床的特長です。
70 年以上前に発見された当初は、グラム陽性球菌感染かと考えられたため、膿皮症とつく病名になってしまいましたが、今日では好中球機能異常とか、免疫異常といったようなことが病態の本質と考えられており、膠原病に類似した疾患のような扱いとなっています。治療にステロイドどころかシクロスポリンのような免疫抑制剤が使用されることさえあるようです。
比較的稀な疾患ながら、当方も2例ほど自験例があり、いずれもステロイド内服(PSL30mg程度より開始)でないと治癒しませんでした。
2 年ほど前に経験した症例は、既に夏井師匠の弟子として湿潤療法のノウハウがあったため、局所療法はステロイド軟膏+ラップフィルムドレッシング(これを皮膚科ではODTとも呼ぶんですが)、極めて上手く治癒したため、本サイトにもそのうち投稿させていただこうかと考えてたところでした。その自験例では、当初、膿疱でしたが、穿窟性潰瘍がもっと深く、みるみるうちに深い潰瘍となってしまい。瘢痕治癒したあとも皮膚に洞穴のような痕を残してしまいました。
いずれにしてもさすが夏井師匠!! よくぞステロイド投与でアッパレなる治療なされたものぞと、おそれながら脱帽いたします。
あと、潰瘍性大腸炎とか血液疾患との合併がよく知られてるため、念のため内科でチェックされておいた方がよろしいかも知れません。
[1290]エビデンスと添付文書 投稿者/Y2 投稿日/2008年06月13日(金)
ノイロトロピンのエビデンスが話題になっていますが、もうひとつ、世間を賑わしている採血器・採血ホルダーの使いまわしなどのエビデンスに関してです。
愛知県医師会では、採血器の針を交換している場合や採血ホルダーの使い回しでは、感染事故が増えるというエビデンスがなく、針を交換しない使いまわしと同列に扱うことはおかしい、としています。
一方、国は添付文書に使いまわしを禁ずる旨が記載されているという理由で、使いまわしはダメという見解のようです。
過去にも未滅菌ガーゼの使用が問題となったことがありますが、未滅菌であることのデメリット本当にあるのかどうかは明らかにされていないように思います。
他にも、妊娠中や授乳中の薬剤の使用などについては、海外で問題なく使用されている薬剤やエビデンスがある薬剤でも、国内では添付文書で使用を禁じられていることが少なくありません。
医学的にはエビデンスがある場合でも、法律的、お役所的には問題があったりします。
効かなくても、あるいは逆に、より悪化させる場合(傷の消毒など)でも、添付文書などに基づいていると問題にならないことがあることも問題だと思います。