［1288］ノイロトロピンの点滴　投稿者／夏井＠管理人 [HOME]　投稿日／2008年06月12日（木）

［1294］恵比寿の点滴専門スペース　投稿者／○○　投稿日／2008年06月21日（土）

［1291］「手拭タオル」は悪者か？　投稿者／QP　投稿日／2008年06月14日（土）

「整形外科で点滴後に女性死亡、１１人入院　三重・伊賀」の記事では、「使い捨て紙タオルでなく、布タオルを使い回し」とありました。
　「1枚のタオルを大勢で使い、湿ったままになっていた事が悪い」が、正確な指摘だと思います。当院では、MRさんがくれたフェイスタオルを4つに切って、手洗い後の手拭として使っています。何枚も積み重ねておき、1回手を拭いたら、再使用せず洗濯しています。外来だけのクリニックですが、1人診察したら必ず手を洗いますので、紙タオル代も馬鹿になりませんのでかなりの節約になっています。感染対策上何の問題もないと思っているのですが、皆様いかがでしょうか。このまま、報道を放置していると、布タオルが悪いといわれるような気がします。

• Y2　投稿日／2008年06月15日（日)
  > 当院では、MRさんがくれたフェイスタオルを4つに切って、手洗い後の手拭として
  > 使っています。何枚も積み重ねておき、1回手を拭いたら、再使用せず洗濯しています。
  
  小さく切るというのはよいアイディアですね。血液が付着した場合など以外は、1回使用なので問題なさそうです。
  ただ、使用後洗うまでに数時間が経過すると細菌が繁殖すると考えられるので、念入りに洗う必要があるように思いますが、いかがでしょうか？
  
  タオルの共用が当たり前だったころ（10年位前まで？）、私が手洗い後にティッシュで拭いたり、自然乾燥をしているのを見て、看護師などに笑われたものです。
  当院も外来だけのクリニックですが、ペーパータオルはランニングコストや廃棄物が増大するので、エアータオルを使用しております。導入コストはかかりますが、その後は電気代だけで済み、乾燥に要する時間も許容範囲です。
  ただし、音が大きいので話の途中で手洗いしたあとはペーパータオルもたまに使用しております。
  
  診察のたびに手洗いするのは（特に感染症患者の診察後）、感染対策上重要ですが、患者さん側からすると、「私のことを汚いと思っている」と思われるかも知れず、気を使います。
  
  
• QP　投稿日／2008年06月15日（日)
  Y2先生、ご返信ありがとうございます。細やかな配慮をされつつ外来診療されている事が想像でき、感服いたしました。
  
  > ただ、使用後洗うまでに数時間が経過すると細菌が繁殖すると考えられるので、念入りに
  > 洗う必要があるように思いますが、いかがでしょうか？
  ⇒ 汗まみれになってスポーツした後のTシャツを暑い部屋に一昼夜放置しておいてから洗濯すると、においが残っていたり、そのTシャツを着て少し汗ばむだけでとても不快なにおいがすることを経験します。通常の洗濯でも、洗浄の効果でバイアビリティのある菌が多数残っているとは思えませんので、繁殖した菌が産生した毒素が洗濯だけで落ちきっていないのかな、という印象を持ちます。毒素であれば、高温での洗浄はあまり意味なしでしょうか。食物と病原微生物はかなり科学されていますが、「洗濯物の微生物学」は医療従事者に意外と新しい学問かもしれませんね。この板に一番近いクエスチョンにするならば、個人専用にして再使用するハイドロサイトは、どんな洗浄法が良いか、というテーマが一番良いと思います。手拭タオルの洗濯・再使用ハイドロサイトの洗い方、いかがでしょうか？
  
  > ペーパータオルはランニングコストや廃棄物が増大するので、エアータオルを使用
  > しております。
  ⇒良いアイデアですね。製品の形態によっては、注意深く手揉みしないと水滴が付いている部分に手が触れてしまうものもありますね。
  
  > 患者さん側からすると、「私のことを汚いと思っている」と思われるかも知れず、
  > 気を使います。
  ⇒とても細やかな配慮だと思います。診察し終わった患者さんが診察室にいる間に手洗いすると、ご返信のような不快感を持たれる可能性があるわけですので、できるだけその患者さんが退出されてから洗うようにするしかないのでしょうね。逆に、次の患者さんが診察室に入ったときに、ちょうど手洗いが終わるところを見られるのは好印象ではないでしょうか。
  
  
• downhill　投稿日／2008年06月19日（木)
  　昔大阪にある耳原？病院であった消毒用綿花のカストに、消毒用アルコールを継ぎ足し継ぎ足し使用していて、その中でセラチア菌が増殖していて同じように院内感染を起こしていた事例がありましたよね。
  
  　この時は手ふき用タオルのことはあまりクロースアップされていなかったように思います。
  
  　QP先生のご指摘の通り、湿っていたタオルがいけない（細菌が増殖しやすい条件を提供していたのがいけない）というのが正論で、そういった知識をもたない記者（マスゴミ？）が適当に煽って言っているだけの様に見えますよね。

［1293］TAKA先生にの質問に対して　投稿者／北診療所　菅野　投稿日／2008年06月16日（月）

長くてわかりにくくなったため、Taka先生の「点滴を望む患者さんに対する対処」について、別のスレッドにします。
僕の経験のお話より、別のスレッドで紹介させていただいた、

［1292］ガーゼ礼賛とガーゼ障害性　投稿者／QP　投稿日／2008年06月15日（日）

　しばらく、板から遠ざかっていた者です。最近、　某総合病院から自宅療養になった方を引き受けました。 15歳女性で、心臓の障害から心停止、脳の不可逆的障害で寝たきりで意思表示がほとんどできない状態です。親御さんが、病院でいろいろ教わっていて、気管切開・胃瘻の設置部位は、イソジン消毒・Y型切込みガーゼをきっちりはさんでいます。病院では医療費にできていて負担がゼロだったものが、在宅だと自費請求になってしまうのが、喀痰吸引チューブ・チューブで吸引するたびに浸すための消毒薬・ガーゼです。気管切開部・胃瘻のY切り込みガーゼ・イソジンを納得してもらいながら他の経済的方法に切り替える手立て(具体的方法、説得に役立つ資料など)御存知の方ありましたらお助け下さい。

親御さんは、気管切開部・胃瘻設置部の瘻口が乾燥しきっているのを理想と考えています。また、15歳の女の子ですので、見栄えをとても気にしています。

［1289］点滴の適応　投稿者／北診療所　菅野　投稿日／2008年06月13日（金）

［1287］調剤薬局の抵抗　投稿者／hongmei　投稿日／2008年06月04日（水）

今年度から院外処方でジェネリック医薬品の薬剤師による選択が可能となりました。それに関係しているかどうかはわかりませんが、湿潤治療に対する院外調剤薬局の薬剤師からの抵抗が続けて起こりましたのでご報告申し上げます。

当科で「プロペト」を傷に塗る様に処方し、院外処方箋発行。患者さんが調剤薬局に行くと
●事例1.「あの薬は傷に塗ってはいけない」と言われたとのこと。患者さんは塗布されず。
●2.「あの薬は傷に塗ってはいけない」と言われ、別の薬剤を買わされて（怪しい赤色のクリーム）それを塗っていた。

院外の薬局では傷の外用薬についてはまだまだ消毒液などを勧められる事は多いと思います。薬剤師の教育も必要と感じた次第でした。

• ER　投稿日／2008年06月04日（水)
  プロペト→白色ワセリンとかならわかるんですが，薬剤師が処方箋発行医師に無断で，（後発品という意味ではなく）別の薬剤を買わせるというのは合法なんでしょうか？
  
  
• 北の国のナース　投稿日／2008年06月04日（水)
  一看護師として、なんでも医師の指示の元に・・・という国内の医療事情には正直抵抗があります。もちろん現状ではしかたないことだとは思いますが、これからはコメディカルもそれなりの自覚と責任を持って医師含め共に治療に向かう姿勢が大切かと。
  
  正直、医師（石？）が患者の回復の妨げになっているケースがたくさんあるかと思います。
  今後はもっとコメディカルも正しい知識を身につけて、治療に関しての意見力を持つことができたらなあ。
  
  身近にユー●スタDrがいる看護師の、ちょっとした愚痴でした。
  
  それはともかく、
  薬剤師や看護師にももっともっと創処置に関する正しい治療法が拡がることを祈ります。
  （いや、祈ってばかりではいけませんが　汗）
  
  ongmei先生のところの院外薬剤師の件に関しては別件で。
  まったく別種の薬剤にすり替えられることは無論許されることとは思いません。
  
  
• Terry　投稿日／2008年06月04日（水)
  ジェネリックへの変更ではないので，法的に問題があると思います。一度院長に相談して，その薬剤師さんに病院に来てもらって，院長立会いのもとで話をするといいかもしれませんね。
  
  それでも話がわからない薬剤師さんだったら，その薬局に行かないように患者さんに言うわけにもいきませんし（医者が患者さんに院外薬局を指定することはできない），証拠をそろえて保健所に相談するしかないかもしれません。
  
  
• のびちゃん　投稿日／2008年06月04日（水)
  私もやられた経験があります．高齢者の口内炎患者に時々あるのですが，ケナログなどを塗りまくって，カンジダを発症している患者さんに，アズノールうがい液を処方したところ，「そんなのよりこちらの方が効く」といって別のステロイド系の薬を勧めたようです．ご丁寧にイソジンまで！
  
  処方薬を全く違う処方箋必要薬に変えると違法ですが，処方箋は放棄させ，市販薬にするのは違法ではないという判断なのでしょう．処方薬よりも利幅の大きいスイッチＯＴＣなどの市販薬を買わせる訳です．今回の怪しい赤色のクリームも，保険適応の処方箋必要な薬ではない物と想像されます．薬局もそこまでしないと経営が成り立たないのでしょうか！？
  
  私は正式に抗議を行い，その調剤薬局からは，「一個人薬剤師が自分の経験上（自分もよく口内炎が出来るので）お勧めした．もちろん問題であり，以後，この様なことがないようにさせる」という，文書での回答がありました．
  
  今後のことを考えるとhongmei先生も正式に抗議をするべきかと思います． <
  
  
• downhill　投稿日／2008年06月04日（水)
  病院薬剤師のdownhillです。
  
  　一部の保険調剤薬局だけだと思いたいですね・・・。
  　私個人の意見ですが、病院の様に多職種が患者さんの治療に関わるチーム医療を理解（経験？）できていないのが原因と考えています。
  　病院でのチーム医療の場合、患者を中心として医師がリーダーとなり、病院薬剤師は「チームの一員」として意見したり提案したり、他のスタッフと連携して治療に関わります。
  　しかし保険調剤薬局の場合、その薬局施設の中では「薬剤師がリーダー（トップ）」になるため、「患者さんと薬剤師だけで一対一」の関係となり、病院・診療所での「患者さんと医師」の信頼関係が崩される危険性があると思っています（実際に当院の門前薬局とも問題が起きています・・・）。
  
  　そういった意味では保険調剤薬局に勤務する現役薬剤師の、病院研修が必須と思います。
  
  
• ○○　投稿日／2008年06月07日（土)
  保険調剤・一般用医薬品・雑貨と色々扱う田舎の薬局薬剤師です。
  
  ＞downhill先生
  門前薬局で問題が起きているとのこと、ご心労お察しします。
  先生の言われるように薬局薬剤師の病院研修は有効な方法と思います。さらに病院薬剤師の方も一般薬局の仕事を体験されると、より相互理解が深まるのではないでしょうか。お互いに顔の見える関係になっていると、連携もスムースにいくように思えます。
  当薬局では病院薬剤師、医師、医療スタッフ、ヘルパー、行政などとよく連絡を取り合いながら調剤・販売しておりますが少数派なのでしょうか…
  
  ＞のびちゃん先生
  薬局経営について、先生は処方薬よりも市販薬の利幅が大きいと書かれていますが、実際にはそうとは限りません。
  市販薬の利幅は当薬局の場合、平均で３０％前後です。（少ないもので７〜８％、多いもので５５％）
  一方、処方箋調剤でアズノールうがい液を調剤した場合、技術料（調剤基本料などコミコミで）が７００〜８００円前後です。
  これだけの利益を上げるには２３００〜２６００円売り上げなければなりません。
  口内炎の軟膏とイソジンではここまでいかないのではないでしょうか。（うちの場合は合わせて１５００〜１６００円くらいです。）
  もちろん、その薬剤師の行動は問題ではありますが、利益のためにやったのではないと思います。
  
  残念ながら周りの薬剤師の間ではうるおい療法は、あまり普及していません。
  hongmei先生のような事例はこれからも起こりえると思いますが、少しでも減らすため薬剤師会の勉強会などで広めていけたらと思っています。

［1285］爪下血腫再び　投稿者／カネコ＠北海道　投稿日／2008年05月31日（土）

［1284］リンデロンVG軟膏を希望する下腿潰瘍患者　投稿者／hongmei　投稿日／2008年05月24日（土）

当科の前任者はなぜか下腿潰瘍患者（静脈鬱滞性）にリンデロンVG軟膏を処方しているケースが多く、私が赴任してからワセリンに替えようとしましたが、なぜか「あの薬（ワセリン、プロペト）では痛くなる」「前の薬が効いている様な気がする」と元の薬剤（リンデロンVG）への再変更を求められます。臨床所見上潰瘍の変化を認めません。
鬱滞性皮膚炎に対して多少ステロイド剤が効いているためか、基剤の伸びがよいため塗り心地で選ばれているのか、このまま投与し続けてよいものか迷ってます。

皆様対処法（どうせどっちも効いてないのだから患者さんの意のままでよい、も含めて）をご存知でしたらご教授ください。

• Y2　投稿日／2008年05月24日（土)
  当院においても、「ワセリン、プロペトを塗るとヒリヒリする」、「プラスチベースを塗るとよけいに肌が荒れる」、「アルメタを塗ると痛くなる」などと訴える患者さんが少なくありません。
  
  ステロイド好きな（あるいは、ステロイドと知らされずに強力なステロイドを長期間使用している）患者さんもあり、「ステロイドは絶対に使用したくない」という患者さんもありで、適正な医療を提供することの難しさを感じます。
  
  私の場合、他のＤｒに処方されたリンデロンＶＧをやめてもらう場合、「Ｇ］はゲンタマイシンという抗菌薬の「Ｇ」で、使用し続けると耐性菌が増える恐れがあるので、抗菌薬が含まれていないものに変更しましょう、などと説明し、同ランクで抗菌薬の含まれていない製剤に変更する、あるいは、リンデロンは強いので、長期使用による副作用を減らすため、もう少し弱いステロイドに変更しましょうと説明し、アルメタやキンダベートなどに変更してみる、ランクを落としても悪化しなかったら、これ（ワセリン、プロペト）は薬（ステロイドなど）の成分が入っていないので、こちらの方が安心などと説明してワセリン、プロペトへと変更しております。
  
  
• さんちゃん先生　投稿日／2008年05月26日（月)
  hongmei、Y2先生
  　ステロイド系外用剤の長期塗布に伴う副作用の時期ですが、教科書的（？）、臨床的（？）には、どのくらいの時期からみられるものなのでしょうか？ また、それは、基剤（軟膏、クリーム、ローション）やステロイドの強さによって異なるのでしょうか？ 私自身、持続的にはRVG -Oを3週間程度しか使用（過剰肉芽やあと一歩の創面など）した経験しかないものですから。いいかえれば、この程度の期間の使用で、副作用の経験が全くないからです。
  
  
• hongmei　投稿日／2008年05月26日（月)
  さんちゃん先生
  
  私も形成外科なので肥厚性瘢痕、ケロイド以外ステロイドはほとんど使いません。推測ですが、ステロイド軟膏の強さ、塗布している部位によって異なるのではないでしょうか。
  ケナコルト局注2回で皮膚の萎縮が起こった方、また、リンデロンVGを1年程度お化粧の下地に使用し続け、毛細血管拡張が起こった人を見た事があります。
  
  この辺りは皮膚科の先生方がお詳しいと思います。ご教授お願い申し上げます。
  
  私がご相談した下腿潰瘍の方は「潰瘍が治らない」（副作用ではなく、無効であると言えます）以外に副作用はないようです。
  
  
• Y2　投稿日／2008年05月27日（火)
  さんちゃん先生
  
  ＞ステロイド系外用剤の長期塗布に伴う副作用の時期ですが、教科書的（？）、臨床的（？）には、
  ＞どのくらいの時期からみられるものなのでしょうか？
  
  内科医は、皮膚科のことには詳しくないことが多く、ステロイドと抗菌薬が配合されているリンデロンＶＧは便利なため、真菌症以外にはよく使用します。
  私も以前（湿潤療法を始める前）は、よく使用しており、長期に使用したこともありましたが、副作用を認めた例はなかったように思います。
  ここ1-2年では、使用期間は不明ですが「皮膚が薄くなった」、「日光でかぶれた」といわれた症例がありました。
  
  
• Terry　投稿日／2008年05月27日（火)
  外用ステロイドによる皮膚萎縮は，理論上は外用して間もなく始まっているはずですが，経験的には，目に見えるようになるのは２〜３ヶ月の連用後という印象です。hongmei 先生のおっしゃる通り，副作用の出方はステロイドの強さと塗布部位によって違うと思います。アトピー性皮膚炎の方で，膝窩の皮膚萎縮は時々見ますが，下腿の皮膚萎縮はあまり見ません。
  
  
• さんちゃん先生　　投稿日／2008年05月27日（火)
  皆様各位
  　すいません。質問の言葉不足で、ステロイドの強弱による副作用の違いはあると思いますが、(経験がないので、実は全くわからないのですが)たとえば、ステロイドのstrongestを何日（？）何週間（？）使用したら、具体的にどのような副作用が出現するかというデータとか皆様各位であったら、御教示していただきたいと思いまして質問をさせていただきました。
  
  Terry先生
  　ありがとうございました。部位別に副作用の違いがあることは、全く知りませんでした。

［1268］動物咬傷の縫合について　投稿者／yamamoto@研修医　投稿日／2008年04月08日（火）

夏井先生の動物咬傷の治療例を拝見しました。
これまで救急外来で動物咬傷をおそらく20-30例ほど診てきました。動物咬傷ではよほど浅い傷でない限り、ほぼ全例でドレーン挿入＋予防的抗菌薬投与をしてきました。動物咬傷の場合、創が何カ所かに及ぶことも多いと思いますが、ドレーンを入れるかどうか迷って、入れなかったところが感染し、入れたところは感染しなかった、という経験を何度かしています。自分で客観的なデータをしっかりととっていなかったのが残念ですが、やはりドレナージの効果が大きい印象があります。
先日、顔面を打撲し、自分の歯牙で下口唇を貫通した症例（これも動物咬傷ですよね）を経験しました。皮膚側のみ縫合し、口腔内側をオープンにして、抗菌薬を処方しようと思いましたが、その方は過去にいろいろな薬で強いアレルギーの既往があったため、抗菌薬は処方せずに経過を追いました。縫合1日目はやや腫れが強くなっていましたが、縫合2日目には腫れは改善し、その後は問題なく経過しました。経過中は抗菌薬含有軟膏類を含め、抗菌薬は一切使用しませんでした。おそらくオープンにしていた口腔内側へうまくドレナージがされていたため感染しなかったのではないかと判断しています。

• Y2　投稿日／2008年04月11日（金)
  yamamoto@研修医先生
  
  ＞顔面を打撲し、自分の歯牙で下口唇を貫通した症例
  
  動物咬傷といっても、自分の歯牙による傷の場合は自分の口腔内にいる菌なので、感染しにくいのでしょうか？　小児など泣き叫んで縫合困難で、部位的にナイロン糸ドレナージも困難場合でも、プラスチベースの塗布で、比較的早くきれいに治癒する印象があります。
  
  ナイロン糸ドレナージは、当院でも大活躍しています。本日も動物咬傷や膿瘍のドレナージに使用しました。
  特に、糸をループ状に結んだものを使用するようになってからは、チクチクした痛みもなく、挿入しやすいので重宝ですし、外見上もタコみたいでかわいいです（笑）。夏井先生のご指摘のとおり、テープでまとめてもよさそうです。
  
  創が浅く、ナイロン糸を深く挿入できない場合でも、動物咬傷や膿瘍の場合には、創の入り口にナイロン糸を置いておくと感染しにくい印象があります。
  これでもドレナージが効いているのか、はたまたナイロン糸を使用しないでも実は変わらないのかは不明ですが、デメリットはないように感じます。
  
  褥創のラップ療法（ＯＷＴ）の場合も、穴あきポリ袋の端を短冊状に切る、または、ポリ袋にスリットをいれるなどの工夫で、ドレナージ効果が上がることを経験しています。
  
  
• yamamoto@研修医　投稿日／2008年04月13日（日)
  Y2先生
  コメントを頂きありがとうございました。
  
  ＞動物咬傷といっても、自分の歯牙による傷の場合は自分の口腔内にいる菌なので、感染しにくいのでしょうか？
  
  自分でフォローしたわけではないのですが、過去に2例ほど同様の症例の経過を見たことがあります。
  どちらも自分の歯牙による口唇周囲の貫通創で1例は皮膚側表面のみを縫合された症例、もう1例は皮膚側表面に加えて口腔内側表面も縫合された症例でした。
  前者では感染がありませんでしたが、後者では処置翌日に縫合創内へ膿瘍形成を認め部分抜糸処置となっていました。
  
  この時は自分の歯牙による傷であるかどうかよりも、口腔内側の創がオープンだったかどうか、血腫や唾液など液体が貯留するような死腔となるスペースが形成されてしまうかどうかに関係しているのではないかと思いました（皮膚側と口腔内側とどちらも縫合してしまうと中に液体貯留が起こってしまう）。
  ただ、もし皮膚表面・口腔内表面だけでなく、死腔ができないように創内も密に縫合したような時には逆に感染が減るのでしょうか。
  経験数が少なく推測ばかりになってしまいすみません。
  どなたかご経験がありましたらご教授いただければと思います。
  
  ＞ナイロン糸ドレナージは、当院でも大活躍しています。本日も動物咬傷や膿瘍のドレナージに使用しました。
  
  とても使いやすいですよね。ナイロン糸ドレナージはサーフロ針の外筒によるドレナージなどと違って、先端だけでなく糸部分全体でドレナージをしてくれるところが強みだと思いました。
  ループ状のドレーンも機会があればしてみたいです。
  
  
• 
  > 自分の歯牙による傷の場合は自分の口腔内にいる菌なので、感染しにくいのでしょうか？
  
  今まで20例を越える自分の歯牙による口唇貫通創を診た事があります。症例のデータを取っていないので正確な数字はありませんが参考程度にはなるでしょう。
  • 他院で口唇側も口腔側も縫合したあとで紹介された症例のうち，既に膿瘍になっていたものはかなり多い。全例で抗生剤を処方されていた。
  • 以前，わけもわからず両側ともに縫合していた時代には感染を起こしていました。感染率は不明ですが。
  • 口腔側を縫わずに口唇側のみ縫合した例で感染を起こしたものは少なく，恐らく一例かそこらです。
  • ナイロン糸ドレナージを行うようになってから感染を起こした症例はほぼゼロ。
  • 抗生剤の投与の有無と感染率には差はない印象。
  
  
  
• のびちゃん＠口腔外科　投稿日／2008年04月15日（火)2
  口腔外科も２４時間当直体制をとっていることから，年100例近くの口唇裂傷を経験しています．皆さんがおっしゃるように口唇裂傷は縫合すると高確率で感染します．理由は咬傷であることとともに，口唇の組織の問題と部位・形態の問題（結構乾燥しやすい，粗な組織で死腔を作りやすい）などがあると思います．
  皆さん，口腔粘膜側を縫合しないといいますが，大きな裂傷ですと腫脹とともに傷口が開いてnecrosisを起こしたように（ふやけて汚い状態）ならないでしょうか？どうしても気になるので縫合してしまいます．
  縫合時には，まず機械的にブラッシングと洗浄をよくします．場合によっては（時間が経っているときなど）CO2レーザーを照射して最小限デブリすることもあります．そして出来るだけ死腔がないように縫合します．ただし，口唇で中縫いをいっぱいすると，かえって異物になって感染の問題になることがあるので，皮膚側のみ最低限の中縫いをします．口腔側は出来るだけ深く縫うようにしますが，術後に腫脹することを見越してゆるめに縫合します．大きな創ではドレーンを挿入します．死腔がなさそうなときはドレーンを入れないこともあります．
  きちんとした縫合が出来ていれば，感染しても数日洗浄するのみで排膿は無くなります．そうすればドレーンを抜去します．
  死腔がなければ感染はしないと思います．自分でいうのも何ですが，私と若い先生では閉鎖創にしたときの感染率は大きく異なります．ドレナージの有無も当たり前ですが感染率に大きな差が出ます．
  
  皆さんにお聞きしたいのですが，ナイロン糸のドレーンは口腔粘膜側に入れるのでしょうか？それとも皮膚側？　何回か試したのですが，口腔粘膜側ですと上手く保持できません．伊藤先生のループ状なら保持しやすそうですが，口腔側ですとやはり異物感，ちくちく感で厳しい気がします．皮膚側（赤唇ではなく本当の皮膚）は審美的な問題もあるので，真皮縫合をきちんとして，ドレーンは入れたくないですし，，，どなたかアドバイスいただけるとありがたいです（大きめの裂傷で口腔粘膜側を縫合しなくても問題無い症例がどのような経過をたどるかもお教え下さい）．
  
  
• yamamoto@研修医　投稿日／2008年04月16日（水)
  ナイロン糸ドレーンに関してですが、提示させていただいた貫通創の症例ではドレーンの挿入はしませんでした。理由は、口腔側をオープンにしていたためにドレーンを入れなくとも口腔側へ液体が流れていくだろうという考えによるものです。それから口腔内側へはドレーンを容易に固定できないという固定性の問題もありました。
  
  上述した、抗菌薬を使わずに皮膚側のみを縫合した症例では、縫合翌日（縫合1日目）に口唇部にやや強い腫脹がありました（縫合部というよりは口唇全体が腫脹していました）。口腔側の創部を確認したところ、オーブンにしていた創は既に塞がりかけていました。創が閉じて、内部で膿瘍もしくは血腫を形成しているのではないかと心配になり、口腔側からゾンデを挿入して創がオープンになっていることを確認して（やや開放して）、そのまま翌日経過観察としました。縫合2日目以降は、腫脹は軽快傾向にあり、その後は問題なく経過し1週間ほどで抜糸としました。
  
  ゾンデで創がオープンになっていることを確認した次の日（縫合後2日目）には腫れが引いてきていましたので、腫脹の原因についてははっきり分からない部分がありましたが、縫合翌日の腫脹は感染や血腫による腫脹の可能性と、打撲そのものによる組織の腫脹の可能性と、両方があったのではないかと考えています。
  
  感染が起こる頻度や確率の違いはありそうですが、口腔の創であったとしても、液体が貯留しうる死腔を作らないこと、死腔が形成されそうならドレーンを入れること、感染源はできるだけ減らすこと（糸はモノフィラメントでよいでしょうか）、など創感染に対する基本的なアプローチは他の創と同じであることがわかりました。縫合によって感染しやすい創であるということにも気をつけたいと思います。
  
  
• 夏井＠管理人 [HOME]　投稿日／2008年04月17日（木)
  > ナイロン糸のドレーンは口腔粘膜側に入れるのでしょうか？
  入れるのは皮膚側のみです。
  
  > 大きめの裂傷で口腔粘膜側を縫合しなくても問題無い症例がどのような経過をたどるかもお教え下さい
  多発の顔面外傷で口腔裂傷もあった患者さんで，口腔裂創（下顎の口腔前庭の5センチ以上の裂創）まで手が回らず，そのままにしたことがありましたが，4日ほどで創が自然閉鎖しました。口腔内は常に湿潤環境が保たれているからなんでしょう。
  口蓋裂手術では口蓋骨が露出した状態で手術を終えますが，数日で骨が粘膜で覆われます。これも同じ理由でしょう。
  
  
• のびちゃん＠口腔外科　投稿日／2008年04月17日（木)
  みなさん、コメントありがとうございました。
  やはり、口腔側にナイロンドレーンは厳しいようですね。私も何度か試そうとしたのですが、やはりペンローズに戻ってしまいました。今度、皮膚側に試してみます。
  
  夏井先生が、口腔内は湿潤環境だから創が閉鎖しやすいと書かれていますが、確かにそのような一面もありますが、口唇は口腔前庭や口蓋などと別に考えた方がいいと思います。腫脹は他部位よりも起こりやすいですし、結構、乾燥することもあります。
  
  今、口腔外科系の学会に来ていますが、今回の私の発表内容は「陳旧性の口唇裂創に対する処置」に関することです。貫通創だけでなく、浅い口腔粘膜側の裂創も、処置無しでは治癒が悪いことを経験しています。少なくとも10mm以上の傷で縫合無しというのは厳しいと思っています（あくまで口唇です。歯肉や口腔前庭ではありません）。
  
  汚染の問題だけでなく、複雑に切れていることも多いので対応に苦慮するとことも少なくありません。とにかく死腔を無くすことに気をつけて対応しています。
  
  機会はいっぱいありますので、縫合無しということを一度試してみたいと思います。
  
  
• 夏井＠管理人 [HOME]　投稿日／2008年04月17日（木)
  > 口唇は口腔前庭や口蓋などと別に考えた方がいいと思います。
  「口唇」という言葉を見落としていました。申し訳ありません。
  口唇は皮膚と同じですから，何もしなければ乾燥します。しかし，白色ワセリンか口内炎用軟膏を頻回に塗布すると乾燥を防げ，開放創も自然に治癒し，痕もそれほど目立たないことを経験しています。コツは「頻回」というところです。一日3回，程度では駄目です。
  
  ただし，口輪筋断裂がある場合，口角部裂創では縫合したほうがいいようです。
  
  以前にも書きましたが，口腔内の手術で絶食にすると治癒が悪く，水でもいいから経口摂取させていると治癒が早いし創離開が少ないです。
  
  
• Y2　投稿日／2008年04月25日（金)
  日ごろの不摂生のためでしょうか、現在私は口内炎になっています。
  口内炎・舌炎の場合は、原因が外傷と異なるためでしょうか、口腔内で常に湿潤環境にあるにもかかわらず、湿潤療法だけでは治りにくいように感じます。
  しかも、唾液により湿潤であるにもかかわらず痛みがあり、ワセリンを塗布すると即座に痛みが治まります。
  本日、口内炎の患者さんが受診され、ワセリンを塗布すると、やはり痛みは治まったので、自分だけではないようです。
  
  痛みというものは、水分で覆われているというだけでは消失しなくて、ワセリンで覆うと消失するのは不思議な気もします。
  
  1度熱傷など、潰瘍がなくてもワセリンを塗布すると痛みが治まること、デュオアクティブなどで覆っても痛みが消失するので、水分とワセリン、デュオアクティブでは、同じ湿潤でも創部に対する作用が異なるようですね。
  
  
• Y2　投稿日／2008年05月19日（月)
  のびちゃん＠口腔外科先生
  
  > 皆さんにお聞きしたいのですが，ナイロン糸のドレーンは口腔粘膜側に入れるのでしょうか？
  > それとも皮膚側？　何回か試したのですが，口腔粘膜側ですと上手く保持できません．
  > 伊藤先生のループ状なら保持しやすそうですが，口腔側ですとやはり異物感，ちくちく感で
  > 厳しい気がします．
  
  先日、他人の腕が顔面に当たり、自身の歯牙で口腔粘膜側に２ｃｍ程度の裂傷を起こした患者さんが来院されました。
  
  縫合はせず、ループ型ナイロン糸を縦（楕円の短軸が創面と平行）ではなく、横（楕円の長軸が創面と平行）に、創部に沿わせるように置きました。３-５ｍｍ程度が創内に入っている状態です。両端をテープ固定することで、安定して保持できました。
  
  翌日には、腫脹や痛みなどの炎症症状は著名に軽減しており、チクチク感、違和感などの苦情もありませんでした。
  
  口腔外科の先生方のような重症例ではありませんが、参考にしていただければ幸いです。

［1279］母指と小指の遠位部背側に対する指ブロックの方法　投稿者／yamamoto@後期研修医　投稿日／2008年05月12日（月）

指の場合、末節部と中節部の背側面には掌側指神経の背側枝がまわりこんで知覚を支配しているとこれまで認識していました。
最近ある解剖の教科書を見ていたところ、母指や小指の場合は、指の遠位部背側を支配しているのは背側指神経であって、掌側指神経の背側枝ではないというような記述（図）をみつけました（常識でしたらすみません）。

こういう指による解剖の違いについて、いままではあまり意識せずに指ブロックを行っていました。麻酔の効果が少ないと思った場合には背側のブロックをしたり、創部から直接局麻を追加したりして対応してきました。

それで指ブロックについていくつかお聞きしたいことがあるのですが、

1. もし小指や母指の遠位部背側に麻酔を効かせたい場合、掌側のブロックだけでなくはじめから背側のブロックを併用した方がいいのでしょうか。
2. 掌側のブロックをせずに背側のブロックだけでも同部（小指と母指の遠位部背側）に麻酔をすることは可能でしょうか。
3. また、足趾のブロックの場合、底側のブロックに加え、背側ブロックを併用されていますでしょうか。

「第一回創傷ケア研究会記念講演会」
日　時　　平成２０年６月２８日（土）　１８：００〜２０：００
場　所　　安保（あぼ）ホール　　６階大会議室６０１号室
名古屋市中村区名駅３−１５−９　ＴＥＬ：０５２−５６１−９８３１　
参加費　　１,０００円（資料代＋会場整理費として）

第一部　褥創と創感染
１８：００　ＤＶＤ上映「褥創が治った！」
１８：１５　製品説明「チエナムのご紹介」　　万有製薬　学術
１８：３０　〜１８：４０　　休憩

１８：４０　　第二部　創傷・褥創ケアの発展
　　　　　座長　　きよすクリニック　院長　伊藤　喜亮　先生
　　　　　演題１　「新しい創傷ケア」
　　　石岡第一病院傷の治療センター　センター長　夏井　睦　先生
　　座長　藤田保健衛生大学皮膚科学教室教授　松永　佳世子　先生
　 演題２「進化を続けるラップ療法―開放性ウエットドレッシング
　　　　　　療法ＯＷＴ−」
　　　　　　相澤病院褥創治療センター　鳥谷部　俊一　先生

１９：４５〜１９：５５　　質疑応答　
１９：５５　　閉会の挨拶　大西　山大　先生（福友病院）
２０：００　　第三部　情報交換会　（７階小会議室７０１号室）
共催　　中部臨床栄養研究会 /　万有製薬株式会社
世話人　　伊藤喜亮（きよすクリニック院長）　大西山大（医療法人福友会福友病院形成外科）

参加者対象：医師および、看護師、薬剤師ならびに栄養士を初めとしたコメデ ィカルの方々(約50名予定)。
応募のメールアドレスは，woundcare2008-628@yahoo.co.jp　よりお受け致します。参加希望の方は、メール内に氏名、所属、職種、参加人数を記載して下さい。折り返し、確認メールをお送り致します。
誠に恐れ入りますが、Eメールでの募集受付は、準備の都合上、５月１８日(日)からとさせていただきます。奮って御参加いただきます様、何卒宜しくお願い致します。

［1281］どこがちがう？　投稿者／カネコ＠北海道　投稿日／2008年05月13日（火）

　本日の植皮理論を見ましたが、私には先生の理論でのパッチグラフティングとメッシュグラフティングの違いが分からないです。

　島状に上皮細胞を置いてくる、肉芽面を残す、その後湿潤環境を保つと言う点ではメッシュグラフティングで同じ事をやっても大差ないように思えますが、何が違うんでしょう？

［1277］従来の創傷治療（軟膏療法）を教えるべきか　　投稿者／hongmei　投稿日／2008年05月01日（木）

私の所で育つ研修医達はゲーベン、ユーパスタ、フィブラストスプレーなどの創傷治療用外用薬を全く知らずに研修期間を終えます。
果たしてこれでいいのか？他院へ就職した時に「おまえそんなものも知らないのか？」といじめられないか、ちょっとだけ心配です。後期研修の間も先輩達にはなかなか逆らえないと思われます。
ちらっとでもいいから従来治療法を教えるべきかどうか、悩んでます。しかし患者さんに使う事はないので使用感などはわからないでしょう。

指導される立場の皆様はどうなさっていますか？
また、現在研修医の先生はいかがですか？

• たけ＠血管外科　投稿日／2008年05月02日（金)
  私の場合は、積極的に軟膏療法を教えはしませんが、そういう治療法もあるということは言ったうえで、興味があるなら使ってみてもいいよ、と言っています。一つの治療法のみを押し付けるのはどうかと思います。実際に軟膏療法も経験してもらったうえで、その効果のほどをみてもらうのも重要だと思います。
  
  といっても、使っているのはフィブラストスプレーぐらいです。当院では整形外科医師がゲーベン大好きなので、そちらの経過もみてもらうようにしています。
  
  
• 後期研修医　投稿日／2008年05月03日（土)
  4月で後期研修医1年目になりました。
  現在初期研修と同じ病院で、引き続き後期研修をしています。主にER外来に所属しています。当院の場合、少し前まで湿潤療法を積極的に病院に取り入れて実践されていた先生がいらっしゃいました。しかしいまはその先生が転勤されてしまったので、以前より消毒・ガーゼの治療を見る機会が増えてしまいました。それでも現在も診療科や病棟によっては湿潤療法を続けているところがいくつか残っています。そういう経緯があるため、ほかの病院に比べると湿潤療法が受け入れられやすいという側面もあるかもしれません。私の場合、そういうバイアスがあるということをご了承ください。
  
  > 私の所で育つ研修医達はゲーベン、ユーパスタ、フィブラストスプレーなどの創傷治療用
  > 外用薬を全く知らずに研修期間を終えます。
  私もそうした外用薬を使用することなく研修を終えました。幸か不幸か、適応や使用方法もよくしりません。
  
  > 果たしてこれでいいのか？他院へ就職した時に「おまえそんなものも知らないのか？」と
  > いじめられないか、ちょっとだけ心配です。
  大学病院（消毒派です）に進んだ同期の仲間は、「大学では本当に創面に消毒薬を使っていたよ」と驚いていました。確かにいじめとまではいかなくても、包交もできないのか、と思われてしまうかもしれませんね。
  逆に、「今度来た新しい後期研修医は傷の消毒の仕方もしらない」→「いままで本当に傷を消毒したことがなかったのか？」→「消毒しなくても本当に傷が治るのか？」→「湿潤療法を取り入れてみよう」、というようないい流れに……はならないですかね（笑）。
  
  > 後期研修の間も先輩達にはなかなか逆らえないと思われます。
  外科系の医局に所属した時には確かにそうかもしれないと思います。私は普段はER外来にいるので、自分でも治療できそうだと思った症例は自分でフォローするようにしています。その時は自分だけで担当しているので上級医の先生から方針を決められることはありません。逆に、自分ではフォローし続けることができないと思った症例は、はじめから形成外科にご紹介しています（当院の形成外科の先生は湿潤療法をあまりよしとされていません）。
  
  > ちらっとでもいいから従来治療法を教えるべきかどうか、悩んでます。しかし患者さんに
  > 使う事はないので使用感などはわからないでしょう。
  私は初期研修の間で、従来の治療法をもっと学んでおきたかった、と思ったことはなかったです。反面教師的な意味では知っておいてもよかったとは思いますが、患者さんの利益には変えられませんし…。
  あとは使用経験がないので、従来の治療法が本当にどこまで有害なのかを実体験として知りません。なので、例えば後輩に従来の治療法はどうかと言われた時に、それは有害だからしたくない、という時の説得力に欠けるという面はあります。
  ただ、過去の先生方のディスカッションを拝見していると、上述の軟膏のすべてがものすごく致命的に創を悪くする、ということはない印象を受けますが、著効したというお話も聞きません。少しでも創を悪くする可能性があるのなら使わないに越したことはないと思いますし、理論的にも創には好ましくない、ということですよね。それならば、せっかくの湿潤療法を学ぶ機会に、あえて従来の治療法をご指導されなくてもよいのではないかと感じました。
  
  
• 夏井＠管理人 [HOME]　投稿日／2008年05月03日（土)
  「従来の創傷治療（軟膏療法）を教えるべきか」という命題は「従来の軟膏治療は生き残れるのか」と言い換えることができます。別の言い方をすると，湿潤治療が今後どうなるか，です。
  
  私が死んだあとも湿潤治療が普通の治療として定着するならば，皮膚科学が現在の形のままで生き残ることは不可能でしょうし，生き残るためには大改革が必要になります。熱傷や皮膚潰瘍，乳児湿疹や接触性皮膚炎などが従来の軟膏を使用することなく治癒するのであれば，皮膚科学の治療体系自体の見直しが必要になるからですし，変化しなければ患者から見放されてしまうでしょう。
  同様に，熱傷学会も無傷では済まないでしょう。一般市民が湿潤治療を普通の知識として受け入れたとき，旧来の「軟膏治療と植皮」をする病院は患者から拒否されるからです。また，普通の医療として湿潤治療が医学界に普及したとき，熱傷学会が湿潤治療を拒否し続ければ，熱傷学会に参加する医者がいなくなるでしょう。
  
  この場合，「創傷に対する軟膏療法を教えるべきか」という命題は意味を持たなくなります。現代社会では車の運転を教える意味はありますが，馬の乗り方を教える意味はありません。明治になって駕籠かきが失業したように「創傷に対する軟膏療法」も消え去るでしょう。治療法の寿命が尽きたようなものです。
  
  逆に，「湿潤治療とは21世紀初頭に少しだけ流行した治療だが，提唱者の死とともに消失した」と未来のWikipediaで説明されるようだったら，皮膚科学も熱傷学会も現在の形で継承されるでしょうし，「創傷に対する軟膏療法」も医者が覚えるべき必須項目として残ります。

［1275］退院すると悪化する下腿潰瘍　投稿者／hongmei　投稿日／2008年04月30日（水）

例でご相談です。
70代、女性。軽微な外傷から下腿潰瘍が出現し、難治性となりました。入院の上植皮を行い、植皮片は問題なく生着しました。周囲に小範囲の潰瘍を残して退院。ところが退院すると植皮片と健常皮膚の境界部の潰瘍は拡大し、再入院。湿潤治療で縮小し、退院。しかし、退院すれば潰瘍は拡大し、再入院、を繰り返しています。
現在のところ、糖尿病、PAD、膠原病、静脈鬱滞は否定されています。入院中湿潤治療にはよく反応します。自傷という線はありますが、可能性は現在の所低いと考えます。
難治の原因について皆様のご意見を賜りたいと存じます。

• たけ＠血管外科　投稿日／2008年04月30日（水)
  静脈の逆流が関係している可能性はどうでしょうか。静脈うっ滞は否定ということですが、どのような検査で否定されましたか。入院にて安静が保たれて静脈の逆流が軽減し、潰瘍が治癒傾向を示したわけではないでしょうか。
  
  それだけが原因ではないかもしれませんが、一因になっているかもしれないと思ったのですがどうでしょう？
  
  
• 北国ナース　投稿日／2008年04月30日（水)
  僕も循環器外科ばっかりの看護師なので、ＡＳＯやバージャー氏病などの末梢循環不全の線はどうかと考えました。
  まあ基本中の基本なので、そのへんの可能性はすでに除外されていると思われますが。
  
  植皮の際になにか感染源となるような異物が残留したとかでしょうか？
  
  患者さんの自宅での生活状況も気になるところです。入院療養安静中と何か違いがあるのでしょうか？
  
  
• カネコ＠北海道　投稿日／2008年04月30日（水)
  私もたけ先生に同意。
  高齢女性というところからもまず静脈性潰瘍を疑いたいです。
  
  
• 北診療所　菅野　投稿日／2008年04月30日（水)
  僕も関節リウマチの男性で静脈欝滞が原因と考えられる難治性皮膚潰瘍の在宅症例の経験があります。自宅ではいすに座って日中生活しており、いつも両足の浮腫があり、入院すると数日で回復（湿潤療法ではなく消毒ガーゼ保護）、在宅では湿潤療法では難治性でした。
  繰り返すエピソードから静脈欝滞が原因と考えて、浮腫予防のストッキング（医療用では高価なので、市販のものを購入してお持ちしました）をはかせるようにしたところ、すぐ改善するようになりました。
  
  
• hongmei　投稿日／2008年05月01日（木)
  やはり皆様静脈鬱滞を疑われますね。
  最初にそう思って静脈エコーをおこないましたが、不全交通枝なども見当たりませんでした。弾性ストッキングも考慮したいのですが、痛みのため強要はできません。
  壊疽、潰瘍の方にありがちな「下肢を下垂した姿勢」がお好きである事は確かです。
  
  
• ぴい＠形成　投稿日／2008年05月01日（木)
  入院で軽快、自宅で悪化というところから、大きな静脈うっ滞がないものの、うっ滞性の皮膚炎を生じるような状態がありそうな気がします。自宅に帰ると痒みが増すようなことはありませんか。
  ただ、弾性ストッキングが難しければ、弾性包帯でも難しいのかな・・とも思います。
  
  
• たけ＠血管外科　投稿日／2008年05月01日（木)
  hongmei先生
  
  こういう症例で静脈の逆流があるかどうか確かめるには、静脈造影とか有用ではないのでしょうか。
  
  
• hongmei　投稿日／2008年05月01日（木)
  皆様、ご意見ありがとうございます。
  
  詳細不明ですが、他院で造影剤に対してアレルギーがあるとのことで、造影検査は行っておりません。
  静脈鬱滞は検査では見つからないものの、きっとあるだろうと考えております。
  
  ちなみに健側の下腿に鬱滞性皮膚炎のような色素沈着などの皮膚の変化はありません。
  
  
• Y2　投稿日／2008年05月02日（金)
  6年前に下腿の良性腫瘍摘出術および背部からの植皮術を受け、その後下腿の浮腫が著明になったという方が、2ヶ月前に植皮された部分と正常皮膚の境界に潰瘍が出現し受診されました。
  糖尿病、膠原病（ステロイド内服中）、高血圧、脳梗塞などの基礎疾患があります。
  プラスモイストによる湿潤療法を行っており、非常にゆっくりではありますが、潰瘍は縮小してきています。
  患者さんによれば、以前から下肢の挙上を指示されていますが、常に挙上するのは困難で、夕方になると浮腫が著明に増悪するそうです。
  この患者さんの場合は、血行障害や静脈鬱滞よりも、肉芽が浮腫状になっていることが治癒を遅らせているような印象です。

［1276］挫滅の高度な下腿骨折で皮膚壊死を起こした症例　投稿者／カネコ＠北海道　投稿日／2008年05月01日（木）

本日の投稿を見て思ったこと。

＞そういう傷はすぐにふさがないと駄目だ，骨髄炎になると患者さんの家族を説得し・・・
　こういうことを言う先生、外固定で消毒もしていない症例が骨髄炎を起こさないことをどうやって説明するのか、是非聞いてみたいｗ。

• hongmei　投稿日／2008年05月01日（木)
  > そういう傷はすぐにふさがないと駄目だ，骨髄炎になると患者さんの家族を説得し・・・
  このような症例にはよく皮弁などの手術を求められます。もともと下腿は血行がよくないので皮弁の生着もよくないです。できれば無益な殺生はしたくないです。
  
  骨髄炎になる例とならない例の違いはどこにあるのかも知りたいです。
  
  > こういうことを言う先生、外固定で消毒もしていない症例が骨髄炎を起こさないことを
  > どうやって説明するのか、是非聞いてみたいｗ。
  
  例数が少ないうちは「たまたま」だと言われそうです。「たまたま」の積み重ねが大切ですね。もしこちらでそのような例を経験したら小さな学会や研究会で症例報告し、消毒信仰者の意見を聞いてみたいです。
  
  当科（形成外科）は皮膚がなくなってから紹介される事が多いのですが、受傷時挫滅が強いと判断したら積極的に循環改善剤を投与して挫滅した組織の血行を保つようにしてはどうかとも考えます。
  皆様、ご経験があればご教授ください。

［1274］4月22日の更新履歴を拝見して　　投稿者／hongmei　投稿日／2008年04月23日（水）

私は形成外科医ですが、「植皮をすれば傷がきれいになりますよ」なんて言葉は一度も発した事はありません。嘘になりますから。患者さんの「きれいになる」の意味は「病気や怪我が起こる前と同じ状態」です。
そんな事を言っているのは形成外科に紹介した植皮術をした事がない医師ではないでしょうか？

患者さんから「皮膚を移植すれば傷はきれいになるのではないか？」というご質問をよく受けますが「きれいになりません」と答えます。

• 夏井＠管理人 [HOME]　投稿日／2008年04月23日（水)
  > そんな事を言っているのは形成外科に紹介した植皮術をした事がない医師ではないでしょうか？
  
  先生のような方だけが植皮術をする，あるいは植皮術について説明するなら問題ないのですが，どうも現実はそうでないようです。
  先日も，某大学病院の形成外科で治療を受けている熱傷患者さんが，「主治医から植皮しなければ治らない，植皮をすれば傷はきれいに治る，と説明されているのですが，この傷は植皮をしなければ治らないのですか？」と受診されました。
  これがこの「某大学病院」だけでの特殊現象ならいいのですが，なぜか私の外来には，他の大学病院形成外科や熱傷センターで同様の説明を受けている患者さんが受診されています。これがメールでの相談となると，全国各地からになります。
  いずれも説明しているのは形成外科医であって，植皮をしたことがない医者ではないと思われます。
  
  
• Terry　投稿日／2008年04月23日（水)
  ＞「きれいになる」の意味は「病気や怪我が起こる前と同じ状態」です。
  
  同感です。同様に，湿潤治療も，世間では「早くきれいに治る」ということになっていますので，「きれい」という点について患者さんとの認識の相違が生じないように，説明の際には注意しています。
  
  
• Y2　投稿日／2008年04月23日（水)
  足底などに、3cm程度など巨大なイボがある場合の治療に、摘出後、植皮を行うDrが知り合いにいます。
  
  確かに縫合が困難と考えられることや、足底なら目立ちにくいので、この場合は植皮は適当なのでしょうか？
  それとも、他によい治療法があるのでしょうか？
  
  ご教示いただければ幸いです。
  
  
• 夏井＠管理人 [HOME]　投稿日／2008年04月23日（水)
  > 摘出後、植皮を行うDrが知り合いにいます。
  足底は非常に特殊な皮膚−皮下組織の構造をしている部位で，足底の皮膚は足底の皮膚でしか置き換えはできません。特に荷重部位では慎重に考える必要があります。
  
  足底といっても荷重部と非荷重部では条件が異なりますが，腫瘍などを摘出して直径3センチの皮膚欠損があったら，私ならまずV-Y advancementなどの局所皮弁での再建を考えます。もしも部位が踵なら内側足底皮弁でしょうか。
  
  足底荷重部にどうしようもなくて腹部からの全層植皮を余儀なくされた症例がいましたが，歩行開始とともに潰瘍ができるなど，さまざまなトラブルがありました。
  
  他の形成外科の先生はいかがですか？
  
  
• たかはし＠旭川　投稿日／2008年04月24日（木)
  昔、習ったのは・・・
  
  欠損部には、同側、又は反対側の土踏まずから全層植皮し、土踏まずの欠損には、どこかからの、全層、または分層植皮・・・というものでした。
  しばらくそのような手術もしていませんが・・・
  
  
• hongmei　投稿日／2008年04月24日（木)
  このスレにコメントをいただいた先生方の情報から愕然としました。
  
  
• ぴい＠形成　投稿日／2008年04月25日（金)
  Y2先生：
  足底に３センチくらいのイボであれば、皮膚欠損創になるような手術が必要ですか？　イボなどと記載されていますので、イボでなくて悪性黒色腫であればお話は変わると思いますが、イボであればおそらく尋常性疣贅と思いますので、凍結療法に抵抗性であれば、蒸散治療などをあわせてはいけませんか？　という素朴な疑問があります。
  
  
• Y2　投稿日／2008年04月25日（金)
  ぴい＠形成　先生
  
  先生のご指摘どおり、尋常性疣贅についてです。巨大なために摘出後の創部が上皮化が困難な場合、どんな治療法が選択肢となり、その中でどの治療法が優れていると考えられるかをお伺いしたかったので、質問させていただきました。
  
  
• hongmei　投稿日／2008年04月26日（土)
  Y2先生
  尋常制疣贅を摘出するのですか？
  SCCの鑑別のためにexcisional biopsyですか？
  
  もしVVに間違いないならワセリン+ラップとかサリチル酸ワセリンとかで浸軟させて角層だけ除去されてはいかがでしょう？
  
  
• ぴい＠形成　投稿日／2008年04月26日（土)
  Y2先生へ：
  尋常性疣贅で、液体窒素による凍結療法に抵抗性であれば、炭酸ガスレーザーによる蒸散治療を行っています。１回でよくなるとまでは言いませんし、麻酔は必要にはなりますが・・。
  
  
• Y2　投稿日／2008年04月26日（土)
  hongmei先生
  ＞ワセリン+ラップとかサリチル酸ワセリンとかで浸軟させて角層だけ除去・・・
  浸軟させて除去を試みて、除去できたに見えても（かなり念入りに行っても）再発する、あるいは除去しきれないケースも少なくありません。やり方が悪いのでしょうか？
  
  ぴい＠形成先生
  いろいろな先生に治療法の優劣を尋ねており、炭酸ガスレーザーがよいという話は存じております。
  他院（主に皮膚科）で治療しても改善しないとのことで来院される方が少なくありません。
  その場合、摘出以外にも、浸軟させる、液体窒素、炭酸ガスレーザー、電気メスなどの一通りの治療法について説明しています。
  ただし、当院には炭酸ガスレーザーがありませんので、他院を紹介するとことになりますが、近くがよいので他院にまでは行きたくないと言われる場合が結構あります。
  
  
• Ｙ２　投稿日／2008年04月27日（日)
  ＞尋常性疣贅を摘出・・・「摘出」は適切でありませんでした。「除去」あるいは「切除」ですね。
  すみませんでした。
  
  
• ぴい＠形成　投稿日／2008年04月28日（月)
  Y2先生へ：
  難治の場合には、胼胝削り→炭酸ガスレーザーという方法もあるかと思います。当院でも、ブレオ局注とかは通常の外来診療ではおこなえないので。
  根気が必要と説明していますが、確かに液体窒素だけですと、足底の場合には、血疱ができると痛み厄介なこともありますものね。　液体窒素や炭酸ガスレーザーしか方法がないので、やはり根気が必要ですと、最初にお話していますが・・。　治療方法は、ケース・バイ・ケースでしょうが、手術は後の管理を考えると、勧めにくいというのが、個人的な意見になります。
  
  
• ぴい＠形成　投稿日／2008年04月28日（月)
  最初のスレから、足底の植皮の話でちょっと脱線してしまいましたね。
  
  hongmei先生へ：
  私も先生と同じで、「きれい」になるとは消していっていませんし、むしろ色調、質感の点から劣る点、そうなったときに改善させることは困難な点を説明しています。
  「患者さんの言うきれい」＝「普通の肌」であるからです。
  ただ、実際には、皮膚移植だときれいになるから・・といわれてきて受診される患者さんが一人二人ではありません（夏井先生と異なって周囲に形成外科がほとんどないので形成外科医からいわれてきたわけではありませんが）。
  
  きれいになる、といわれている場合は、少なくとも、その経過をフォローしたことがない、と考えていますが、どうでしょうか？
  
  
• ぴい＠形成　投稿日／2008年04月28日（月)
  追加です。当たり前のことを書いている気もしますが。。
  
  そのため、実際の治療方法、その他の治療方法、その後の経過などについては、説明をして、それで判断してもらっています。
  納得いかない場合は、説明と同意が終了していませんので、その方法の治療はおこなえませんのでね。
  
  
• hongmei　投稿日／2008年04月30日（水)
  当然湿潤治療を行う際にも決して「きれいに」という言葉は使用しません。「傷跡は残らない、いずれは消える」と思っておられる方がかなりおられます。聞かれなくても「傷跡は残ります」（色素沈着、脱失も含めて）とお伝えします。
  医療者である我々と患者さんの認識のギャップはかなり大きいです。
  「形成外科できれいにしてもらいなさい」と紹介してくる他科の医師も困り者です。

［1273］自閉症児と創傷治療　投稿者／自閉症児の母　投稿日／2008年04月22日（火）

6歳になる長男が自閉症なのですが、遊んでいるときにテーブルの角にぶつけて額に1.５センチほどの裂創を作ってしまいました。出血も結構ありましたし、家族はすぐに縫合してもらって来いと言いましたが、本人も痛みと出血で大パニック、大人が押さえつけても体の動きは止まりません。これで局所麻酔が効いたとしても、針を持った医師を見れば騒ぎ出すのは想定内でした。（ブラックジャックならできるかもしれませんが）
そこで、家にあった医療用の紙テープ、ハイドロコロイドドレッシングを使い何とかしてみようと、家族に協力してもらい治療開始。裂けた皮膚をくっつけるようにしてテーピング、そのあと被覆剤を貼っておしまいです、この間、1分以内、ぐっと押さえつけたのは10秒以内だったはずです。
ここからが、すごかったんです。あれほど大騒ぎしていた子が、被覆剤を貼ったとたん、泣きやんだんです。（何貼ったの？といった感じで被覆剤を触っていましたが）嘘じゃありません。もちろん、普通に考えればハイドロコロイドは出血があるときの適応ではないでしょうが、ひとまず痛みがおさまり、血が垂れてくることもなくなりパニックはおさまったんです。
そしてその後も、別の被覆剤を使いながら素人治療で傷は完治しました。気になった傷跡も、ようやく目立たなくなり、やっぱり縫った方が良かったんじゃないかと家族から非難されることもなくなりました。
確かに、皆で力いっぱい数分間押さえつけていればどうにかなったかもしれません。でも、パニックになったときの子供の力は予測がつかないほどです。あのときは、この選択をして良かったのだと思いますし、被覆剤の威力を改めて認識できました。自閉症には皮膚の接触過敏というのがあり、絆創膏を貼られるのが嫌だったり、靴下が履けない、などの問題があります。
息子は絆創膏がとにかくダメだったのですが、この一件で絆創膏拒否がなくなりました。一瞬にして痛みが消えると言うのが伝わったんでしょうね。貼るものは嫌だけど、痛みが消えた事でそれを受け入れてくれたのかもしれません。本当に助かりました。
ちなみに、その後、近所にこちらの登録医の先生が開業されていることを知りました。今度からは、そこで治療を受けようと思います。

• たかはし＠旭川　投稿日／2008年04月22日（火)
  お子さんのキズがそれほど目立たなく治ってくれて良かったですね。
  
  私の３歳の息子も、去年、帰省中に、顔面を強打して上眼瞼３センチくらいぱっくり開いたことがありました。
  夜でしたし、自分以外の医師に、身内の縫合を依頼するのはちょっとためらったので、持っていたキズパワーパッドをテープ替わりに使って、皮膚を引き寄せそれで、おしまい。
  傷跡は少し、幅のあるものですが、男ならそれも、勲章だ！ってくらいです。
  自閉症児でなくとも、子どもを押さえつけるのは大変なことですし、治療に対する恐怖感を植え付けてしまうことも、恐ろしいですよね。
  何が何でも縫うぞ！という外科系の医師にはかかりたくないものです。
  （母としての感想でした）
  
  
• Y2　投稿日／2008年04月22日（火)
  当院にも自閉症の方がときどき受診されることがあります。
  ちょうど最近、自閉症の成人の方が耳に大きな膿瘍ができ、他院で切開ができずに来院されました。
  
  体格のよい方で、当然押さえつけることは無理で、お話しながら一瞬のうちに切開し、排膿することができました。幸い、痛みでパニックになることもなく、ナイロン糸ドレナージも拒否なく行えました。
  
  その後何日か通院されていますが、創が塞がりかけたのを開いても拒否感はなく、ナイロン糸の挿入もスムーズに行えています。
  
  まだ、数人の方しか経験がなく、しかもすべてのケースでうまくいったわけではありませんが、ご参考までにご紹介させていただきました。
  
  
• よう＠整形外科　投稿日／2008年04月23日（水)
  いま当直中ですが、先ほど１２歳の自閉症の男の子が、左中指と環指の指間部が２ｃｍほどパックリ裂けて来院されました。
  押さえつけて縫うなんてことは至難の業ですよね。
  幸い止血はほぼできていたので、中指と環指をテーピングで巻いてくっつけることで創を閉鎖し、方法を母親に指導しました。１週間ほどあれば何とかなりそうな感じでした。
  その子は泣くことなく、笑って帰っていかれました。
  
  わたしも、研修医に、傷は縫うだけが治す方法ではないと常に指導しています。
  
  
• たけ＠血管外科　投稿日／2008年04月26日（土)
  子供をおさえつけて縫合する：私も絶対反対です。ところが当院のドクターで、「子供がこの痛さを乗り越えることで精神的に大きくなる」と言って絶対縫合がいいと唱えるドクターがいます。ここまでくると精神論ですね。

［1271］10年間皮膚掻痒症にオイラックスクリーム　投稿者／夏井＠管理人 [HOME]　投稿日／2008年04月15日（火）

先日，福島先生から「10年間皮膚掻痒症にオイラックスクリームを・・・」という症例の投稿をいただきましたが，この症例報告については，下記のようないろいろな考え方があると思いますが，いかがでしょうか。

• 一例だけでは論じられない。
• 一例だけでも論じる価値はある。
• オイラックスクリームの長期投与で害が起こるという報告はないので，オイラックスクリームが原因とは思われない。
• オイラックスが悪いのか，クリームが悪いのか，どちらなのだろうか。
• 肌荒れはオイラックスクリームと別の原因によるものではないのか。
• ワセリンでよくなったといっても皮膚科医が診断したわけでないので・・・。

• Terry　投稿日／2008年04月15日（火)
  論点は２つに分けられると思います。
  1. オイラックスとワセリンの治療効果比較。
  2. 皮膚の乾燥と色素沈着が悪化したのは，オイラックスを10年間塗ったのが原因なのか。
  １．については，乾皮症に対しては明らかにワセリンの方が効果があったように見えます。ただ，色素沈着については，ワセリンで４日でとれるとは考えにくいですので，色素沈着が軽快したというよりも，清拭で垢がおちた等考えられませんでしょうか。
  
  ２．については，オイラックスが原因だった可能性もあると思います。ただ，写真を見る限り，患者さんはご高齢の方のように見えますので，ご高齢の方であれば，オイラックスを外用しようとしまいと，10年もたてば通常乾皮症は進行しますし，色素沈着も増えると考えられます。ですので，乾皮症の進行や色素沈着の増加の原因が，オイラックスであると証明するのは難しいと思います。
  
  
• Terry　投稿日／2008年04月17日（木)1
  ちょっと思いついたコメントです。「肌荒れ」や「手荒れ」という言葉は医学用語ではなく，雑多な疾患を含めてしまう可能性がある言葉です。医学的な話をする場合，極力使用しない方がよいと思います。
  
  例えば，「肌荒れ」と言った場合，魚鱗癬や乾癬なども，なんでも「肌荒れ」になってしまうと思いますし，「手荒れ」であれば，掌蹠膿疱症や分芽菌性指間びらんも，全部「手荒れ」になってしまうと思います。

アルギン酸自体が効いている可能性は？　投稿者／iMac　投稿日／2008年04月15日（火）

＞「アルギン酸塩被覆剤がない場合，カルシウムイオンを含む液体を浸したパットなどで圧迫すると、止血に関しては同じような機序での出血のコントロールが可能になるのでしょうか。」

局所止血剤でアルトという商品があります．成分はアルギン酸ナトリウムです．
白色の粉末で，アルトシューターという噴霧器を使って出血部位にふりかけると止血効果を示すという代物です．
婦人科では子宮頸部の生検を行った後の出血に対して使用します．
詳しくは下記添付文章をお読み下さい．

［1269］速乾性手指消毒薬　投稿者／zui　投稿日／2008年04月10日（木）

当院では、外来や病棟で医師、看護師は患者さんに触れるごとに（暇さえあれば）、速乾性手指消毒薬（どろっとしたエタノール製剤です）を手に刷り込むこと、となっています。感染制御部からの指示ですが、消毒薬のボトルに日付の線をいれながら減り方をチェックし、減りが遅いとペナルティを課すとか課さないとか。導入前の説明時に私は、「手あれがひどい人は余計にひどくなり、かえって黄色ブ菌ほか感染起因菌が増えて、院内感染防止策としては逆効果になるのではないか」と質問しました。「それでは手あれのひどい人はクリームなどのスキンケアを別途考えましょう」という訳の分からない方向の回答となり、病院全体で導入されているのが現状です。
速乾性手指消毒薬を全否定するつもりはなく、手術前の手洗いには有用だろうと思っています。ちなみに当院の手術前手洗いは水道水によるスクラビング法で、ブラッシングは手指先の爪の間のみ一日に一回だけ、最後に速乾性エタノール製剤を刷り込むこととされています。かつてはすーっとして気持ちよいという理由で、自分も回診時などに頻回に刷り込んでいました。
それにしても、消毒薬の減り具合が遅いのは感染予防を怠っている悪者、というような短絡的発想はどうかと思います。
私自身は外来や回診時でも頻繁に水道で手を洗いますし、処置にはディスポ手袋を使用しますので、速乾性手指消毒薬はほとんど使用しません。指先がかさつき始めると、ワセリン刷り込み法でケアします。手荒れはなく、男の外科医にしてはきれいな手だと自負しています。
この速乾性手指消毒薬、皆さんの施設ではどのような位置づけにしていますか。

• 老健＠看護師　投稿日／2008年04月12日（土)
  ＞当院では、外来や病棟で医師、看護師は患者さんに触れるごとに（暇さえあれば）、
  ＞速乾性手指消毒薬（どろっとしたエタノール製剤です）を手に刷り込むこと、となっています。
  
  最近はジェルタイプのものが主流のようですね。
  かつて、ウエルパスのような液状のものしかなかったのですが、使用時の飛散・吸入・こぼれ等の問題で商品開発されたみたいです。というより、アメリカ製品のものまねですけど、、、
  
  ＞感染制御部からの指示ですが、消毒薬のボトルに日付の線をいれながら減り方をチェックし、
  ＞減りが遅いとペナルティを課すとか課さないとか。
  
  いわゆるICTのラウンドチェックですね。
  以前勤めていた病院でもボトルに日付を記入していましたが、ペナルティとは…
  ペナルティの内容はいったい何か？　興味あるところです。
  ちなみに、個人携帯用ミニボトルの交換時期のモニタリングは実施していました。
  
  ＞導入前の説明時に私は、「手あれがひどい人は余計にひどくなり、かえって黄色ブ菌ほか
  ＞感染起因菌が増えて、院内感染防止策としては逆効果になるのではないか」と質問しました。
  ＞「それでは手あれのひどい人はクリームなどのスキンケアを別途考えましょう」という訳の分からない
  ＞方向の回答となり、病院全体で導入されているのが現状です。
  
  zui先生のするどいご質問に困惑されたのではないでしょうか？
  また、背景に「2002年CDC手洗いガイドライン」の存在が大きいかと考えます。
  現状ではCDCに異論をとなえる医療従事者は少数です。
  余談ですが、
  ジェルタイプのものも含めてアルコールベースの速乾性擦り込み式手指消毒剤には手荒れ防止の保湿剤が添加されているようです。
  しかし、人によってはアレルギーの問題もあるみたいですね。
  
  ＞速乾性手指消毒薬を全否定するつもりはなく、手術前の手洗いには有用だろうと思っています。
  ＞ちなみに当院の手術前手洗いは水道水によるスクラビング法で、ブラッシングは手指先の爪の間のみ
  ＞一日に一回だけ、最後に速乾性エタノール製剤を刷り込むこととされています。
  かつてはすーっとして気持ちよいという理由で、自分も回診時などに頻回に刷り込んでいました。
  
  おっしゃるとおりだと考えます。
  CDCを鵜呑みにするのではなく、各施設、部署、個人がいいところをチョイスすれば問題ないかと、、、
  
  ＞それにしても、消毒薬の減り具合が遅いのは感染予防を怠っている悪者、というような短絡的発想は
  ＞どうかと思います。
  
  全くそのとおりです！まるで検察か警察か査察みたいですよね。
  
  ＞私自身は外来や回診時でも頻繁に水道で手を洗いますし、処置にはディスポ手袋を使用しますので、
  ＞速乾性手指消毒薬はほとんど使用しません。指先がかさつき始めると、ワセリン刷り込み法でケアします。
  ＞手荒れはなく、男の外科医にしてはきれいな手だと自負しています。
  
  この方法論、何かの感染学会で発表したいですよね。
  でも、サラヤ・ゴージョージャパン・ヨシダ製薬・丸石製薬等のブースが出てたら…エコロジーを提唱すべき環境を冠としている学会には受けますか？
  
  ＞この速乾性手指消毒薬、皆さんの施設ではどのような位置づけにしていますか。
  
  流水による手洗いより重要視されているという印象を受けます。
  感染管理の専門家の中には、自身の講義の内容に盛り込み力説される方も多いです。

［1270］ループ型ナイロン糸ドレナージ　投稿者／夏井＠管理人 [HOME]　投稿日／2008年04月11日（金）

本日（4月11日）の更新で，伊藤先生からの「ナイロン糸ドレナージの工夫」を紹介しましたが，早速やってみました。猫咬傷のドレナージと下腿開放骨折後の難治性瘻孔（深部にプレートが触れる）にそれぞれ3-0ナイロン糸をループにして入れて見ましたが，簡単に入りましたし，痛みもないようです。

なお，伊藤先生はナイロン糸を結んでいらっしゃいましたが，色の根元を小さく切ったステリでまとめてみましたが，これでも大丈夫な感じです。

• どくたけ獣医　投稿日／2008年04月11日（金)
  私も外傷・咬傷・腫瘍摘出手術の後は、（伊藤先生のご紹介されたような）4−0ナイロン糸ロープのドレーンを多用してます。オペ中に必要な長さを用意して、端を結んでました。麻酔下である事、相手が犬猫である事によりチクチク感などの参考にはなりませんね、ごめんなさい。ただ、相手が動物であるがために舐めてドレーンが外されたりするのを防止する為に、結び目のとこを皮膚に１糸縫合できるので便利でした。

［1265］尿素クリームは皮膚を溶かして破壊するのか？　投稿者／Terry　投稿日／2008年03月29日（土）15時13分

今回，尿素クリームについて勉強させてただきました。よい勉強のきっかけをいただいて感謝しています。
ただ，私には，やっぱり尿素クリームは皮膚を溶かして破壊するほどの害があるとは思えませんでした。

目的
最近，クリームは皮膚に害があり，それ以上に有害なのが尿素であることがほぼ断定できたという報告が発表された(1)。この報告によると，「尿素クリームは皮膚を溶かしているとしか思えない破壊力を持っているようだ」と結論されている。もしこれが事実であれば，市販のハンドクリーム，特に尿素クリームを購入して使用している人たちに，皮膚の障害がおきていることが予想される。

PubMed で検索した尿素クリームの効果を調べた臨床研究のうち，アブストラクトに有害事象について記載がある報告(2-4)をみると，これらの報告では 4%-10%尿素クリームを 28日-７週間外用した症例について検討されており，有害事象については皮膚のぴりぴり感の記載があるのみで，皮膚を破壊するような記載はされていない。また，20%尿素含有クリームであるケラチナミンコーワ軟膏20%(R)の市販後調査でも，調査症例数4864例中，ぴりぴり感 1.71%，紅斑 0.86%，掻痒感 0.60%，疼痛 0.43% となっており(5)，皮膚が破壊されるような記載はされていない。

以上のように，これまで報告されている文献から判断すると，尿素クリームの障害性は，皮膚を溶かして破壊するほどのものではないと考えられるが，実際に尿素入りハンドクリームを使用している一般の人たちの皮膚が破壊されているかどうか，皮膚の状態を観察して調べることにした。

対象症例
手の皮膚疾患とは関係ないことで当皮膚科を受診された女性患者さん，および小児の患者さんの母親で，そのうちハンドクリーム使用について情報を聞き得た人。

調査期間
平成２０年３月２４日から３月２９日

判断基準
鱗屑(S)

• ０：明らかな鱗屑なし
• １：鱗屑をつける範囲が手の１０％未満
• ２：鱗屑をつける範囲が手の１０％以上５０％未満
• ３：鱗屑をつける範囲が手の５０％以上

• 北国のナース　投稿日／2008年03月29日（土)
  ●terry先生
  報告ありがとうございました。
  
  ＞夏井先生が維持管理して下さっている掲示板にも関わらず・・・
  夏井先生は何も考えずに自分の意見に賛成されるより、むしろこのような批判（？とは言わないですね）は歓迎だと思います。
  
  ＞たかが尿素クリームごときに・・・
  身近な人たちの中でも、本当に尿素入りクリームを使用している、もしくは宣伝のとおりに素晴らしいものなんだ、むしろ尿素入りクリームでも良くならない私の肌がおかしいのだ、くらいに思っている方が多いです。
  
  これだけ高級で（ものによりますが）、日常的に使用されているクリームなので、その是非が問われることは大切だと思います。
  
  そこでちょっとお尋ねしたいのですが、
  実際尿素入りクリームを使った期間とか、もしくは尿素なしで改善されず、尿素入りクリームを使用したら明らかに良くなった、などのご意見もありましたか？
  
  
• Terry　投稿日／2008年03月30日（日)
  ご質問ありがとうございます。
  
  ＞実際尿素入りクリームを使った期間とか、もしくは尿素なしで改善されず、尿素入りクリームを使用したら明らかに良くなった、などのご意見もありましたか？
  
  今回は，尿素クリームを使ってらっしゃる皆さんの皮膚が，溶けて破壊されているかどうかを観察することが目的でしたので，詳しくは聞いていません。
  
  尿素クリームを使っていらっしゃる方で，今はちょっと荒れているが，こまめにつければもうちょっとよくなります，と言っていた方は１名いました。
  
  
• 北国のナース　投稿日／2008年03月31日（月)
  返答ありがとうございます。
  
  ふと使用している期間というのも気になる要素だなと思ったもので。
  
  また、尿素入りクリームとそうでないクリームを比較して使ってみたという方はなかなか少ない気もしますが、「他でダメだったけど、尿素入りクリームだったから改善した！！」という意見が聞けたら、比較的尿素入りに効果があるという有効な意見と考えられるかな、と思いました。
  
  「尿素クリームは皮膚を溶かして破壊するのか？」
  というテーマからはやや離れてしまうかもしれませんが、実際ワセリンと尿素入りクリームのどちらが実際の使用に耐えうるものであり、より効果的なのかというのは気になるところです。
  
  無知ゆえかもしれませんが、僕の場合は使いやすさ（値段や安全性も含めて）を考えるとワセリンのが「楽チン」とは思います。
  
  この実験についてはもちろん経過は気になるので、報告楽しみにしています。
  
  
• 山下＠VETERINARY　投稿日／2008年03月31日（月)
  Terry先生、はじめまして（ですよね？）。今回の尿素関連の話などを読ませていただき、日頃からの僕自身の中での疑問も重なって、いくつか御意見を聞かせていただきたく思います。先生にとっては稚拙な内容になるかと思いますが、お手柔らかによろしくお願いいたします。
  
  ＞判断基準
  これらは、人の皮膚科では何かの指標にする時に「こういう基準を用いれば評価として問題ない」というような出典のあるものなのでしょうか？
  
  ＞今回は，尿素クリームを使ってらっしゃる皆さんの皮膚が，溶けて破壊されているかどうかを観察・・・
  
  1. 今回の報告では、ダーモスコープやテープストリップ、TWELといったもう少し客観的な評価は何かされていますか？
     
     
  2. 「皮膚が溶けて破壊されてる」という意味というか基準はどのようなものでしょうか？
     （尿素＋クリームの作用（＝狙った効果？）の１つである蛋白分解や皮脂層の分解は「皮膚が溶けて破壊されている」と取ることもできてしまいますよね？顕微鏡レベルではこれらも溶解の1つにも思えましたので･･･。今回はそういうことではないということでよいでしょうか？例えば、ゾンビのように溶け出すというか、潰瘍形成まで･･･などの意味でしょうか？）
  
  ＞尿素について教えてください
  1. Terry先生は尿素を「正常皮膚の保湿」に使うメリットをどのようなものだとお考えですか？
     （天然保湿成分のうちでわざわざ含有率の少ない尿素を用いる理由は「使いやすいから」「角質蛋白の分解作用」以外に何かあるのでしょうか？）
     
     
  2. 正常皮膚への尿素塗布は初期には表層蛋白の分解や過保湿による「使用者の良いと受ける主観」（組織学的に良いかは別の話と思いますが･･･）があると思うのですが、長期連用は、少なくともターンオーバーの加速に繋がると認識していますが、そんな事実はありませんか？
     
     
  3. 合わせて･･･尿素に皮膚刺激性があることは確定事実ではないのですか？
  
  ＞科学的記載（尿素のスレから）と非科学的記載
  夏井先生の記述が非科学的（感情的？）とした場合、Terry先生の文章が科学的であるというのは、どのあたりなのでしょうか？
  
  ・・・誤解の無いように、以降をつけたします。僕はTerry先生のような知見も非常に興味深く好意的に読ませていただいておりますので、「以後こういう書き込みはしない」･･･のは非常に寂しく読ませていただきました。
  僕自身は医学自体が非常に確定的なことが言いづらい分野な上（人によっては最低の証明レベルとおっしゃるくらい）、皮膚科の場合さらに医師の経験や肉眼・患者さんの訴え主体の科学的（客観的）評価の難しい分野であると捕らえています（それで構わない・仕方ないとも思っていますが）ので、どの程度まで言えば科学なのか？･･･日頃から不思議に思っていたものですから･･･科学を主張されるTerry先生の意見を拝聴したいと思いました。現在の皮膚科の状況からすれば、僕は夏井先生の身を削る（身を溶かす）問題提議も有意義な科学になりえる･･･と思えますので…。
  
  もちろん、湿潤療法や尿素に関する夏井先生の心のバイアス（好き嫌い）もかかっていることはありますが、でも素敵なものの見方だと感じます。たぶん、消毒に関しても「消毒信者」からすれば、夏井先生には強力なカリスマ性があるぶん「目の上のタンコブ」のようなものかな・・・なんて（笑）。夏井先生の一言一言にいろいろなものを感じる人がいますよね。今回、Terry先生が感じられた「不安や恐怖を感じてしまう人もいてしまう場合」は「消毒信者からすれば、同じようなものなのかも知れません。どの方向から見るかっていろいろありますので、今後は僕も気をつけなきゃと思いました。
  
  以上、基礎的なめんどくさいことばかりかもしれませんが、ぜひともよろしくお願いいたします。
  
  
• Terry　投稿日／2008年03月31日（月)
  山下先生，ご質問ありがとうございます。
  質問が多すぎて，ちょっとレセプトの時期になるので回答お待ちください。
  
  一つ，逆に質問なのですが，先生の尿素クリーム（ウレパール，ケラチナミン，パスタロン等なんでもいいのですが）の使用経験はどれくらいありますでしょうか。
  
  
• 山下＠VETERINARY　投稿日／2008年04月01日（火)
  Terry先生、お忙しい時期に、たくさんの質問を提出してしまい、申し訳ありません。（獣）医療って、科学なのか･･･にしては、そんなにｎ数がいくつもないと証明できないなんて･･･そもそもそんなのは証明なのか？確率（ギャンブル）と何が違うんだろう･･･疑問を常日頃からいだいているところにこの話題だったものですから…お手すきの間にでもお付き合い（ご教授）いただければ嬉しく思います。
  
  ところで、尿素クリームは使用したことがあります。もう５年以上前になるかと思います。ほんの短期間で辞めてしまいました。理由は、手が荒れている（よく洗う職業ですから、多少は荒れていますので）と塗った時のほうが皮膚が痛いのと、院内ラボで血液生化学検査をするときにBUNに影響がある可能性を聞いたのとくらいの、大したこと無い理由でした。
  
  ちなみにフェルゼアの入浴剤は好きで、今も使用してます。
  
  人の感覚って面白いですよね。良い感覚＝体に良いわけではないことは分かっていながら、広告でよいとされるような状況を良いことと思ってしまうことがあります。例えば僕は、自分では「良いわけが無い」と思いながらも、塩サウナが好きです。塩をそのまま体に塗ると肌がスベスベになりますよね。どう考えても体に良いとは思えませんが･･･友達とかは「肌に良いよね！」って信じてます。簡単なピーリングにでもなっているのでしょうか？（一緒に汗を体から蒸発させづらくすることで「大量の汗をかいているように誤解」させることもできてます（多少は増えているのでしょうが）。）塩！恐るべし。
  
  
• Terry　投稿日／2008年04月01日（火)
  山下先生
  ご回答ありがとうございます。そうすると，先生はほとんど尿素クリームについての臨床経験がないのですね・・・。経験症例としては１例（自分）のみで，しかも痛くて使えなかったということで，尿素クリームに対する印象はあまりよくないとご推察いたします。
  
  さて，ご質問を読んでみたのですが，先生は，TEWL（TWEL ではないですね），ダーモスコープ，テープストリップ，何例くらい経験ありますか？　TEWL，ダーモスコープ，テープストリップ，いずれも今回施行する意味は全くないと思うのですが・・・。正直，ちょっと質問の意図が計りかねます。
  
  他の質問も，結局何を聞きたいのかがよく理解できませんでした。大変申し訳ありません。
  
  
• 山下＠VETERINARY　投稿日／2008年04月01日（火)
  Terry先生、質問意図の分からない文章に付き合わせてしまい大変申し訳ありませんでした。誤字の指摘もありがとうございます。（TEWL：当然ですよね（恥）)
  
  また、尿素配合クリームの使用というのを僕自身の人体実験の意味で捉えてしまいました。臨床で･･･ということでしたか。読解力も足らずに申し訳ありません。
  
  まずは、お詫びとお礼をと思いました。
  今後ともよろしくお願いいたします。
  
  
• 山下＠VETERINARY　投稿日／2008年04月01日（火)
  Terry先生、いつもありがとうございます。お忙しいと思いますが、質問した者の義務として、なんとなく書いてみますが･･･。めんどくさかったら、スルーしてください（笑）。ただ、現役の人の皮膚科医と会話できるチャンスなんて滅多に無いので、ワクワクしてます。あまり、柔らかく書くと意味が通じづらいようですので、以下の文章でTerry先生を始め他の皆様に渡りましても、ご気分を害する方がいらっしゃいましたら、お許し下さい、悪意は全くありません。
  
  ＞尿素クリームに対する印象はあまりよくないとご推察・・・
  
  そんなことはないですよ？毒にも薬にもなるという意味で、特別に尿素だけをどうのこうの思ってはおりません。尿素を手の平で踊らせるほどには使いこなせませんが･･･尿素のスレのTerry先生の言葉をお借りしますと･･･
  
  以下引用（Terry先生2008/3/23/18：39より）〜
  • 尿素クリームはそんなに害があるものではない。
  • 尿素クリームでよくなる人もいれば，尿素クリームが効かない人もいる。それで，すべて解決だと思いますが。
  〜以上引用
  
  という感じには僕は思ってなくて（僕は専門家ではないですが･･･）
  • 尿素クリームは、皮膚刺激性がある
  • 尿素クリームも使い方では有効な場合もある
  ･･･こんな感じでよいのではないか？と考えます。まさに抗がん剤と同じです。なので、尿素クリーム抹殺（撲滅？）までは考えてません（笑）。
  
  ＞TEWL，ダーモスコープ，テープストリップ，何例くらい経験ありますか？
  
  TEWLは、日本香粧品学会等や人（動物も少し）皮膚学教科書レベルのお勉強の中ですので、知識しかありません。スキンバリアの評価としては（他に方法も無く仕方なく）有効だと認識していますが･･･そんなことないのでしょうか･･･？（間違えてたらごめんなさい）
  
  ダーモスコーピーは、ゼリーをつけずに行なう方法に関しては多用しています。（単なる３０倍拡大鏡と言われればそれまでです）ゼリーをつける方法は、動物の場合多少やっかいなので現時点では行なっていません。ガイドラインも動物にはないので。特にスキンケアで角質の状態を考慮する際に、ゼリー無しの方法のほうがゼリーをつける方法や肉眼で診るよりはマシかと思っています。（夏井先生も画像が取り込めるカメラを持っていらっしゃいますよね）悪性メラノーマ鑑別には用いていません。
  
  テープストリップに関しては、実施症例は数え切れません。皮膚科の初診時で多々行ないます。場合によっては数層のテープで追いかけます。もちろん、有核細胞などだけでは皮膚の状態を語れないのは分かりますが、主観的な評価（患者の主張や、医師の経験重視な判断）よりも、一人の症例を追いかける際の１つの客観的な判断基準になると思いますが･･･あまり意味は無いでしょうか？よろしければ、Terry先生の評価をお聞かせ願います。
  
  ＞TEWL，ダーモスコープ，テープストリップ，いずれも今回施行する意味は全くない･･･
  
  そうでしたか。これらの検査で、本当に保湿できているのか？角質層や有核細胞の量や質の変化は無いのか？を客観的に見れるものと勘違いしておりました。例えば、尿素配合クリームを塗っている部位とワセリンのみの部位、それぞれオープン＆クローズなど…で、基剤洗浄一定時間後のTEWLで角質の評価にはなりませんか？（ならないのかも･･･すみません、勉強不足で申し訳なく思います。）
  
  ＞他の質問も，結局何を聞きたいのかがよく理解できませんでした
  
  申し訳ありません。
  
  判断基準に関しては、
  • この基準を用いた根拠があるのか、それとも実験者の都合によるものなのか？
  • １００人の皮膚科医を集めて９５人以上の皮膚科医に同様の判断ができるものなのかを知りたかったです。（それほどに現場で容易で再現性のある方法なのか？）
  各検査（TEWLなど）に関しては、
  皮膚科診療は医師の主観によるものが多いと認識していますので、数値など客観的な基準を設けないものを科学と呼べるのかを問いたかったです。
  
  皮膚が溶けるに関しては、
  顕微鏡レベルで理学的に話している（と思われる）夏井先生と、肉眼所見や患者さんの主観を元に話している（と受け取れた）Terry先生の認識の違いは無いのか？に興味がありました。ここが違えば、話が根本から変わりますので。
  
  尿素については、僕の知識に間違いがあるならば正さなければならないと思いましたので、お伺いしたまでのものです。
  
  ＞Terry先生の文章のどの辺りが科学的なのか？
  
  ここからは、さらに言葉が失礼になりがちで、先に謝ってしまわなければ･･というくらいですが、あまりオブラートに包んでも意図が伝わりづらいようなので、素直に書かせていただきます。（僕の尊敬している先生の例え話を借りてみます）
  
  科学的事実（この場合、「尿素の皮膚へ及ぼす影響の結論」）が国連総会のように地球各地で絶対的な法則のようなものとすれば（違うこともありますけど）、夏井先生の自己犠牲の実験もTerry先生のお話も（本当に大変失礼とは思いますが）、科学の世界での「自治会でのキマリごと」のようなものでしかないのでは？と思ってしまいました。国連総会と自治会のキマリ･･･とても科学的とは呼べない。
  
  でも、夏井先生の実験もTerry先生のお話も、「きっかけ」として、尿素のスレで夏井先生が書かれている「こういう実験は本来，皮膚科の先生方が率先して行うべきものではないかと思います。メーカーの効能書きに書かれている効果が本当にあるのか，痛みなどの副作用はないのか･･･」ということを推し進める布石にはなりますし、夏井先生もそれを望まれていらっしゃるのではないでしょうか？
  
  ということでした。夏井先生の実験を科学的ではない！とおっしゃってたので、Terry先生が取ったアンケートを科学的にどのように料理するのかを楽しみにしていた分、ちょっと思っただけなので･･･。あまり、真意を書かないように前回の質問の仕方としてはオブラートに包みまくった感じで、かえって失礼だったかもしれません。
  
  尿素ひとつとってもいろいろな見方があって、面白いですね。
  今後ともよろしくお願いいたします。
  
  
• Terry　投稿日／2008年04月02日（水)
  山下先生
  いろいろコメントありがとうございます。どうも，先生のご質問は本気なのかどうなのか計りかねる印象があり，どう答えてよいものやら戸惑ってしまいました。どうも申し訳ありません。
  
  ＞ダーモスコーピーは、ゼリーをつけずに行なう方法に関しては多用しています。
  
  人間の皮膚科学では，皮膚科医の地道な努力により，いまのところメラノーマを始めとするいくつかの皮膚疾患の鑑別診断に有用であることが分かってきました。しかし，尿素外用剤の皮膚に対する影響を見る手段としては確立されていません。動物では確立されているのでしょうか。ちなみに，どういう所見があったらどういう意味があるのか，研究した文献があればご紹介いただけるとうれしいです。
  
  例えば，夏井先生の Dino-Lite の報告をみますと，同じ「皮溝が浅くなっている」という所見を，尿素の実験では「皮膚が溶けている」と評価し，ワセリンの症例報告では「改善している」と評価しています。残念ながら，これではまだまだ評価手段としては使えないのです。テープストリップについても同じで，どういう所見にどういう意味があるのか評価ができない以上，今回の私の調査では意味がありません。
  
  ＞例えば、尿素配合クリームを塗っている部位とワセリンのみの部位、それぞれオープン＆クローズなど…で、基剤洗浄一定時間後のTEWLで角質の評価にはなりませんか？（ならないのかも･･･すみません、勉強不足で申し訳なく思います。）
  
  これは意味があると思います。過去の文献でも，尿素クリームの評価に TEWL を使った報告は Medline を引くといくつか出てきます。
  
  ＞判断基準に関しては、
  
  評価基準は適当に考えましたが，多分，皮膚科医であれば同じようなイメージを持っていただけると思います。
  
  ＞各検査（TEWLなど）に関しては
  
  定量化は大事です。それは同意します。しかし，上にも書きました通り，TEWL 等は今回の私の目的には意味がありません。TEWL がどうだったら何が言えるか，もう少し考えを進めていただけると理解していただけると思います。
  
  ＞皮膚が溶けるに関しては
  
  これも上に書きましたが，夏井先生の Dino-Lite はまだ皮膚科医の肉眼を上回るもにはなっていません。裏付けのないデータには意味がなく，誤った判断に結びつきます。
  
  今回ちょっと私がこだわってしまったのは，夏井先生の尿素クリームに対するアプローチの仕方が，アトピービジネスと似ていたので反応してしまいました。アトピービジネスでは，ステロイドは絶対悪ということになっており，例えば感染を起こしてひどくなった写真や，極端な動物実験の写真を患者さんに見せて，「それでもステロイドを使いますか？」と患者さんの恐怖心を煽って自社製品を買わせるという手法をとります。
  
  アトピービジネスには多くのアトピー性皮膚炎の患者さんが被害にあわれており，亡くなった方もいます。皮膚科学会はアトピービジネスと学会をあげて戦ってきたという経緯があり，アトピービジネス的手法に対して反応してしまいました。
  
  しかし，考えてみれば，尿素クリームはステロイド外用剤と違って，べつに恐怖を煽って止めさせても，患者さんに対する被害はそんなに大きくないので，まあいいか，という気分になりました。それで，まあ，尿素クリームで皮膚が溶けてもいいか，という気分になり，もうこういう書き込みはしないことにしたわけです。
  
  ひとつ，読み飛ばしていました。
  
  ＞皮膚科診療は医師の主観によるものが多いと認識していますので、数値など客観的な基準を設けないものを科学と呼べるのかを問いたかったです。
  
  多分，先生は皮膚科診療を誤解されています。皮膚科医は主観的に皮疹を記載しません。皮疹を観察して所見をとり，それを定義のはっきりした客観的な言葉で記載します。
  
  「皮膚が溶けている」というのは，定義のはっきりしない主観的な記載です。皮膚科医はそういう記載はしません。（夏井先生の記述が非科学的だと申し上げた理由のひとつです）　今回は，それを定義がはっきりしたより客観的な観察項目（鱗屑，紅斑，角化，亀裂）に置き換えて記載しました。
  
  
• Y2　投稿日／2008年04月03日（木)
  Terry先生の書き込みは、皮膚科医でない（内科医の）私にとっても、いつも明快でわかりやすく、しかも偏りがない（客観的）に感じられ、よい勉強になります。
  
  今回も、単に「よくなった、悪くなった」ではなく、鱗屑，紅斑，角化，亀裂という項目での検討などは、非常に参考になりました。
  
  
• 山下＠VETERINARY　投稿日／2008年04月03日（木)
  Terry先生、そしてY2先生、ありがとうございます。現役内科医で、多くの文献に触れていらっしゃるY2先生も満足の内容であるならば、特に町の獣医さんがしゃしゃり出る幕でもなさそうです。さらに、僕自身の中に皮膚科領域に対しての誤解が多少あったようなので、お詫びいたします。
  
  ＞判断基準　：皮膚科医であれば同じイメージを持っていただける
  ＞皮膚科医は主観的に皮疹を記載しません。皮疹を観察して所見をとり，それを定義のはっきりした客観的な言葉で記載します。
  
  恐れ入りました。（先生の文章では「記載」とありますが、僕の先の文章では「皮膚科診療」とあり「カルテ？記載」の話ではないので、「診療」について書かれていると判断しましたがOKでしょうか？）
  現在の人の皮膚科医というのは、裸眼でそこまで診断ができて、しかもその診断根拠を共通認識を世界レベルで持てるようになっているのですね！！であれば、浅はかな獣医師が恥ずかしい発言をしてしまったと本当に思っております。この二つを言い切るにはかなりの実力と統一性が業界全体に必要で、それがすでに完了していることに驚きました。100人中95人以上が同じ判定をできるのであれば、あの判断基準は有効ですよね。納得いたしました。
  
  僕の人と動物の皮膚科の印象は職業柄経験もあるのかもしれませんが、まずは見た目での判断が多いような印象でした。例えば人の皮膚科では･･･何回かしか経験はありませんが、人の皮膚科医で診断のつかない皮膚病が動物病院で簡単につくことがあります。もちろん、極稀であると認識していますが･･･ ZOONOSIS（人獣共通感染症）です。特にM.canis、トリコフィトンや疥癬症、CSD、Q熱など、同居動物の問診をすればすぐにわかるであろう皮膚疾患です。全日本病院出版会のDermaでも７・８年くらい前と昨年、特集があったと思います。そういう患者さん（人）の共通の意見は「そんなことは聞かれなかった」「『皮膚を見て』リンデロンが処方されて、皮膚病変は悪化しています」という感じです。もう今はそういうことは無いのかもしれませんね。
  
  僕も誤診しますからそこの批判する意図は全くありません！！「皮疹を客観的に捉えても、評価している時点で主観が入る割合が大きい科目」と考えてしまっていた理由の一つということで例に挙げさせていただきました。
  
  また、獣医師の領域では･･･例えば肥満細胞腫の病理組織検査におけるグレーディングで一流の病理医でさえ誤差が生じると報告されています。「客観的に分けているはずのGrade分け」に診る人の主観が入ってしまうというわけです。ひどい場合はGrade１と３（３段階で）がひっくり返る症例もあるようです。（なので余談ですが、追加検査でｃ-kit遺伝子やAgNOR染色の客観的により近い評価を入れようと考えてしまいます。）
  
  アナログな評価を「確実」を呼びづらいというか、より診ている人の気持ち（これが主観ですが）を入れないようにする努力です。ですので、先生の評価である鱗屑，紅斑，角化，亀裂という病変の評価について、特に各評価の境界病変に対しては、結局は診る人の主観が入ってしまうのではないか？と思ってしまいました。そうなると、専門用語（言葉）が客観的なものだろうと、判断は主観の混じったものになり、アンケート？研究？としては客観性にかけたものになってしまい、言葉など大した意味がないことになりますよね？
  
  しかし、認識が違ったということでお許し下さい。以上の書き込みはあくまでも僕の誤解の原因で、Terry先生のおかげで人の皮膚科と動物の皮膚科の町医者でのレベルの違いをシカと受け止めました。今後も精進しようと思います。
  
  ＞ダーモスコピー
  
  動物のほうの皮膚科ではまだ、皮膚を拡大してみること自体が一般的とはいえないと思います（虫眼鏡レベルでも）。手技も確立していないはずです。じゃぁやらないのか？と言われると「それでも、何かを得られるならば行なう」ということかと。僕の場合、そこに費用を発生させずに自分の勉強のためと割り切りってしまいます。少しでも参考になれば嬉しいから。皮疹は皮疹で評価しているので、間違った評価には繋がらないと思ったりもします。特に僕らの場合、患者さん（動物）がしゃべってくれませんので、誤診を極力避けるために、得られる情報があるならば欲しいと考えてしまうのかもしれません。それと、獣医師の多くは全身科医で、皮膚だけ…という見方はあまりしませんから、単純に皮膚だけなのか？肝臓、生殖器、内分泌などを網羅した検査を行うべきなのか…非常に悩むわけです。簡易的でもいいからバリアレスになっていないのか？などを拾ってあげたいんですね。外用薬も使いづらい（舐めるし、基剤の洗浄がこまめには行なえない）ので。
  
  ですから、僕の発想だとDino-Liteも「無いよりは活用して、少しでも今後の役に立たせたい」とか「1つの症例を追いかけるのに、経過を肉眼だけでなくて、より細かく診て行きたい」と考えるのでした。そして、今後は肉眼の所見が主な判断基準にならない医療に皮膚科も変わっていくのかなぁ･･･なんて思ったりしています。
  
  多分、僕ら獣医師のほうがそのあたり自由なのかもしれませんね。いろいろと取り入れやすい業種ではあります。（なので、院内は全科診療の機械だらけになってしまっています）
  
  ＞アトピー商法
  
  これは、前にも書きましたが、Terry先生が今回違う意見を持ったからという物の見方で起こるべくして起こったものですよね。逆に言えば、夏井先生がまだピアノのHPを運営されてた頃･･･湿潤療法といいますか、消毒は体に悪い！という発想も、見方によってはアトピー商法と同じだったかと思います。異端児であり、学会に逆らう「ヤカラ」というか･･･（言い過ぎ？）。しかし、最近は過湿潤は良いのか？とかPRPはどう使うのか？など、夏井先生をきっかけに世界が広がってきたようにも思います。意見が同じ時には気づきづらいのかもしれませんが、尿素クリームも単に同じことだと思います。
  
  って･･･こっちはもうどうでもいい内容になってしまいましたね。
  
  年少者の最低限の礼儀としてTerry先生への敬意を表すつもりで、以上かきこみさせていただきました。今後ともいろいろご教授下さい。今回は先生の職業への失礼な誤解をお詫びしたいと心より思います。Terry先生のような診療をしてくださる皮膚科医が増えることを、一市民として望みます。
  
  
• Terry　投稿日／2008年04月04日（金)
  Ｙ２先生，山下先生，コメントありがとうございます。
  
  鱗屑，紅斑，角化，亀裂くらいだったら，皮膚医間で主観ってそんなに入りませんよ。皮膚科医はまず皮疹の記載を徹底的にトレーニングされますので，まじめにやっていればかなり客観的な皮疹の記載ができるようになります。
  
  人獣共通感染症の例は，鱗屑，紅斑といった記載皮膚科学の話とはちょっと違います。例えば，疥癬では，体の皮疹だけ見ていれば，記載皮膚科学上は慢性痒疹などと同じ記載になってしまう可能性があります。正しい診断に行き着くには，疥癬を疑って鏡検することが必須です。
  
  記載上同じになってしまうのであれば，頻度の高い疾患から考えていくのが普通なので，疥癬は誤診されやすいということになります。ただ，私は昔，疥癬多発地帯で仕事をしていたことがありますので，体の痒疹を見たら疥癬を疑う癖がついてしまっています。
  
  そのおかげで，人の痒疹から，飼い犬の犬疥癬を発見したこともあります。飼い犬は，獣医さんでは「アレルギー」といわれていたそうですが，鱗屑を持ってきてもらって鏡検したら，疥癬虫がたくさんいました。（この症例は学会発表しました。）　人獣共通感染症は奥が深いですね。
  
  ＞意見が同じ時には気づきづらいのかもしれませんが、尿素クリームも単に同じことだと思います。
  
  これもちょっと誤解があるようです。
  
  アプローチの仕方として，もし夏井先生が，イソジンを閉鎖で使って皮膚潰瘍を作り，それをもとに「それでも消毒使いますか？」というアプローチをなさっていたとしたら，私は，夏井先生のご主張を信用できないと思ったと思います。
  
  夏井先生が消毒しない創傷治療を紹介されたときは，豊富な症例をお示しになりつつ，過去の論文や教科書でも創傷治療の消毒には根拠がないとされていることを調べられ，説得力のある主張を展開されていました。今回の尿素クリームのアプローチと一緒にはできないとおもいます。
  
  
• 山下＠VETERINARY　投稿日／2008年04月08日（火)
  Terry先生、こんばんは。山下です。
  
  客観性のとらえ方については、根本な意味が違うのかもしれませんね。単に僕は「『そんなに』入らない主観」や「『かなり』客観的な記載」というのは、主観の多少なりとも入った所見の延長にあるものと感じてしまいます。でも、何度も書きますが全世界の皮膚科医が常に同じ皮膚病変に対して同じ判断基準のレベルに確実に振り分けられるのであればアンケートの評価としては悪くないとも思います。これが科学なのかはいささか疑問ですが、もともと医学領域でのエビデンスは確率論でもあり、絶対的ではないから、仕方ないですよね。
  
  それはともかく。。。疥癬の症例は、非常に興味深いですね。１）アレルギー症例への不適切な免疫抑制剤投与による元々あった疥癬の悪化症例、２）１同様のパターンで易感染性になった動物に人などからうつった症例、３）疥癬症をアレルギーと誤診でアレルギーはなかった症例…など、ありそうですね。通常は鱗屑の鏡検ではなかなか難しいですからね。
  でも、ZOONOSISについては、いつか人医師と獣医師がうまい連携をとれるようになると良いですよね。
  
  ＞（この症例は学会発表しました）
  
  これは、単純な疑問です。僕には、この一言を先生が入れた真意が分かりません。
  一例報告を学会で発表すると強いエビデンスになる…わけではないですよね？それとも発表前の段階で厳密な審査が入ったりで、学会で発表できること自体がすごいことなのでしょうか？
  
  個人的に思う最初にやるべきは「皮膚を溶かす」の定義を定めることだったかもしれませんね。
  
  
• Terry　投稿日／2008年04月08日（火)
  ＞もともと医学領域でのエビデンスは確率論でもあり、絶対的ではないから、仕方ないですよね。
  
  最初からあきらめていては，医学はいつまでたっても科学になりえないと思いますので，できるだけ科学にしようという努力を常に続けることが大事だと思います。皮疹の記載で言えば，「ぷつぷつがでている」とか「がさがさしている」という記載よりは，「丘疹」や「鱗屑」という言葉を使ったほうが，はるかに科学的，客観的な記載ができます。
  
  ＞これは、単純な疑問です。僕には、この一言を先生が入れた真意が分かりません。
  
  単に，学会発表できるくらい珍しいという意味でした。
  
  ＞個人的に思う最初にやるべきは「皮膚を溶かす」の定義を定めることだったかもしれませんね。
  
  それは，その通りだと思います。ダーモスコープも，まずは所見を定義し，言葉で記載するところから始まりました（pigment network, aggregated globules 等)。ダーモスコープ所見と病理組織学的所見を関連付けて，多くの人の所見が一致するように定義をつめていくのに何年もかかりました。
  
  Dino-Lite で新しい所見「皮膚を溶かす」を定義するのであれば，そういう過程が必要です。（「紅斑」や「水疱」等，既存の定義された形態を観察するのであれば，そういう問題は生じないと思いますが）

［1267］いまさらイソジンシュガー　投稿者／zui　投稿日／2008年04月03日（木）

何をいまさら、と思われるかもしれませんが、当院ではまだ、形成外科外来で褥創にイソジンシュガーを使用されています。
油断していたら、わが消化器外科病棟の創感染患者に、「浸出が多く、ストマパックを貼るのが大変だから」という理由でWOCナースがイソジンシュガーを使用していました。それを本日知ってビックリ。浸出が多いのもデブリ不足が原因で主治医の管理不良だったのですが。
そんなに創部を乾かしたければ、いっそグラニュー糖まぶしなさい、と言いたくなります。 学生や研修医教育で一貫性を持たせなければならない立場なので、少なくとも科内での使用は控えさせようとしてますが、それにしても、なぜいまだにイソジンシュガー？？？ 以前のTerry先生の書き込みにある、ゲーベンも使い方次第という意見がイソジンシュガーにも当てはまるのでしょうか。
イソジンシュガーで傷がよくなった経験おありの方、管理が楽になった、でも何でも結構ですので教えてください。

• 夏井＠管理人　投稿日／2008年04月03日（木)
  イソジンシュガー，つまりユーパスタですね。手元にありませんので，どなたか送っていただければ，すぐさま人体実験を開始します。3箇所くらい傷を作って塗ってみれば，結果はすぐにわかると思います。
  
  
• なお＠整形　投稿日／2008年04月03日（木)
  よくなった経験ではありませんが…
  
  褥創治療中、一時上皮化が停滞した時期がありまして、被覆材の変更を考えていたところ、薬が大好きな薬剤師さんが使いたいと言うので、試しにＯＫ出したら案の定創面は浮腫状になり、組織を見たら表層は壊死に陥っていました。当然創治癒はストップし、何度デブリしても同じ繰り返し…ほら…というわけで、私の指示通り湿潤治療に切り替えましたら上皮化が進み始めました。かくしてその薬剤師さんが改心するきっかけになりましたとさ…
  
  という話なら…
  
  
• zui　投稿日／2008年04月03日（木)
  余談ですが、一年以上前から消化器外科外来で仙骨部の難治性潰瘍（車椅子生活の患者さんのいわゆる褥創です）で通院していた患者さんがいました。前任者から私に依頼されて、穴あきで管理し、そこそこ管理は上手く出来ても穴がなかなかふさがりませんでした。栄養状態や自己処置は悪くなかったので、広めにデブリしてついでにフラップを振ってもらえば一期的に塞げるのではないかと思い、形成外科に依頼しました。ただの切開不足ですよ、というようなことを言われ、プロスタンディン軟膏を使われたりフィブラストスプレー使われたりするのを黙って任せていました。あるときイソジンシュガーを使われたことに対してやんわり抗議したところ、文句があるなら依頼してくるな、といわれ、カチンときて大口論になりました。イソジンの成分に期待しているのではなく、浸出のコントロールがしやすくなる、という理由で使用しているとのこと。ほかに適当な治療素材がないし、安価だから、というのがその形成外科医の譲らない論理でした。「創傷治療における見解の相違だ、先生も傷の治療に関しては一物あるようだけど」、というようなことを言われました。卒業年度が下の医者（別に年を食ったことを振りかざすつもりではないのですが）にそこまで侮辱的なものの言い方をされた経験は今までありませんでした。思い出すだけで、はらわたが煮えくり返ります。電話でのやり取りだったので、後日長々と自分の見解を文章にして渡したところ、今度は教授がでてきました。論旨はおなじでがっかりしました。
  かつて離島で寝たきりの老人の褥創にユーパスタを塗りながら往診していた頃、一例たりとも治った（改善した）褥創はありませんでした。やがて老衰または敗血症で死亡していきました。褥創は治らないものだと思っていました。
  やはり夏井先生の推察どおり、一般市民が正しい情報を得るようになって創傷治療のパラダイムシフトがおこれば、最後に取り残されるのは大学病院でしょう。
  
  
• 北国のナース　投稿日／2008年04月04日（金)
  術後、手術創に対し『ユーパスタとソルコセリルの混合剤』を「塗ったくる」医師を知っています。
  自ら考え出した処置らしいですが。
  （ヨードによる消毒効果？＋ソルコセリルによる肉芽形成効果？を狙ったもののようです。）
  
  毎日処置を繰り返し、創縁は黒くなり、壊死部位は次第に皮下組織までに拡がります・・・。
  結果、哀しいことにかなりの確率で創離開になってしまいます。
  
  本当にユーパスタによる悪影響だけなのかと思い、手術から覗かせてもらいました。
  • 創を閉める際、多量のイソジンにて『洗浄』する。
  • 皮下組織を縫う際、糸（バイクリル）を思いっきり締め上げる。
  • 術直後から上記混合剤を塗る。
  • それを毎日繰り返す。
  などなど、創離開の原因と疑われる処置がたくさんありました。
  
  傷が開いたらシリンジを用いた陰圧療法（？）の出番です。外科には足や胸にシリンジをぶら下げた患者さんがたくさんいました・・・。
  
  それはともかく、ユーパスタとソルコセリルの混合剤に創治癒の効果があるとは思えませんでした。やはりこれら軟膏の使いどころがわかりません。
  
  
• hongmei　投稿日／2008年04月06日（日)
  イソジンシュガー/ユーパスタは深い創傷にのみ使用しておりました。結局手術に持ち込む事が多かったので、この薬剤で創が治癒した例の経験はありません。
  湿潤治療導入後は術後の難治性潰瘍の「においけし」に使ってみました。医療者としては「悪臭が改善した」と思いましたが、患者さんから「においが変になった」（ヨードのにおいと思われます）という苦情が来て使用を中止しました。
  
  
• 老健＠看護師　投稿日／2008年04月07日（月)
  イソジンシュガーですか、、、
  20年以上前にイソジンゲルとグラニュー糖を混ぜて作成した懐かしい思い出があります。
  当時、褥創処置のスタンダードでしたね。
  
  ＞WOCナースがイソジンシュガーを使用していました。
  ５〜６年前に放射線皮膚障害の患者さんの浸出液コントロールに難渋していたところ、WOCナースからイソジンシュガーを使いなさいと助言をいただき実行しました。
  
  患者さんはとてつもないヒリヒリした痛みを訴え、即シャワー浴と相成りました。
  認定看護師（WOCナース等）は日本看護協会の教えを忠実に守るロボットナースのことです。