まず「アルツハイマー病は、脳の糖尿病」です。
「最近のブルーバックスは、レベルが低くなった」というコメントを受けて、本屋に平積みされていたブルーバックスを読んでみました。
「アルツハイマーが第3の糖尿病」という認識はすでにポピュラーなものです。それでも新たな本を出すのですから、新たな知見が盛り込まれているのではと期待して読みました。
いわく、以下のような機構が示されていました。
インスリンは、血管脳関門を容易に通過し、 脳で作用を発揮する。
インスリン抵抗性が上がると、脳関門を越えて脳に入ることが難しくなる。
脳内ではインスリン量が少なくなるだけでなく、加齢によりインスリン抵抗性も上がる。
インスリンは脳の中で、神経細胞の生存・修復をし、記憶をつくり、アミロイドβタンパクを分解する作用をする。
これがうまく働かなくなるので、アルツハイマーが発生するというわけです。
じゃあどうするか、結論は「一般的な健康法しかない」という拍子抜けのオチ。ちなみにオススメの食事は「地中海式ダイエット」だそうです。なぜか糖質制限については、ひとことのコメントもなしですから、これもいかがなものか。
総じての評価 をするなら、「おもしろい研究をご披露いただいたけど、それが・・・・・・」というところでしょうか。
つぎは「運動するときにスポーツドリンクは飲んではいけない(廣済堂出版)」です。
メタボに突入した50歳のペインクリニックのドクターが、一念発起して糖質制限。さらにそのついでにフルマラソンやウルトラマラソンに挑戦しつつ、体調やパフォーマンスの変化を報告するという「実践的な内容!」になっています。
思い起こせば、ケトン体で有名な宗田先生、そもそも高雄病院の江部先生しかりで、ドクターの方々のメタボや糖尿病ってありますよね。
この本の著者の清水先生も中性脂肪の400越えに驚愕、薬を飲むのが嫌だからと「アトキンス式 低炭水化物ダイエット」をはじめて、2ヶ月で8キロの減量。「薬なんか飲んでたまるか!」だったそうです。
ちなみにそれまでは「典型的な糖質大過剰の食生活」だったそうです。
本の内容とは少し外れますが、藤川先生が「石アタマ」ならぬ「医師アタマ」と揶揄するドクター方々の思考力の柔軟性のなさが指摘されることがありますが、受験勉強を勝ち抜いて来た方々は、「やると決めたら、とことんやるという能力」においては非常に優秀なものをお持ちですね。
著者の清水先生もその典型と拝察した次第です。
さて43歳でフルマラソンに挑戦。
その頃は「カーボンローディング」をやっていたそうです。
終盤で疲れ果てたり、膝を故障したり、タイムも伸び悩みでうまくいかず。そうするうちに本屋で江部先生の本に出会い、「本物の糖質制限」をはじめることに。
当然に「カーボンローディング」も止めてみたら、すべてが異次元になったそうです。
ここまでが本の序盤で、以下はよく知る糖質制限やケトン体の話になりますが、ブドウ糖が必要だと思い込んでいるアスリートが読むには、とても良い内容がコンパクトな形でまとめられています。
総じての感想は「実践的な内容で、分かりやすいオススメ本。とくにアスリートに。」となります。
ちなみにフェイスブックで某腫瘍内科医が絶賛していた松永和紀さんの「効かない健康食品 危ない自然・天然(光文社新書)」も読んだので、簡単にコメントをさせてください。
一言でまとめれば「食にまつわる情報は、単純に判断できない。よくよく惑わされないように!」という内容です。
とくに印象的だったのが「国の定めた指針、食事バランスガイドに沿い、さまざまな食品をバランス良く適量とる人は、死亡リスクが15%も低いことが分かりました。脳血管疾患死亡リスクは22%も低くなった」という超過結果が国立がんセンターから16年の3月に論文として発表されたというのです。
感想は「おっしゃることはご尤も。でも現実の若者は質的栄養失調では・・・・・」
「女子を中心に、日本人の多数が質的な栄養失調に陥っている」という藤川先生のご指摘は、極めて当を得たものと認識しております。コンビニにたむろする高校生は、相変わらず糖質三昧の毎日。
そういう指摘を受けた後で現状を見回すと、危機的な状況とし か思えないです。
そもそも医学部で専門知識を学んだドクターでさえ、アタリマエのようにメタボや糖尿病になり、「その学習能力の故、転んでもタダでは起きないド根性を生かし、その奮戦記を書く」このご時世です。
「目の前の患者さんが良くなる!」とか、
「胎盤を通過するのは、ケトン体だけだ!」、
「マラソンのタイムも上がり、筋肉痛も出ない、その理由はこうだ!」
という現実をどんどんと変えていく実践が、これからもどんどん出てくるのだろうと思われます。
夏井先生もよくおっしゃってますが、普通に物事を理解できるつもりの自分が、自己の判断と責任でやってますから、「バランスが良い食事よりもスグレモノはない。極端な制限をしないように!」などといわれたくないです。
だいたい「バランス良く」糖質を摂って、糖尿病や糖尿病 予備軍、はたまたアルツハイマーにはなりたくないですから。