妊娠14週の元看護師です。宗田先生からの返答を頂くことができ、大変嬉しく思います。
 分娩時出血についての再学習はしていたのですが、「原因」が分かっても「因子」までたどり着くことができなかったので、宗田先生の返答のおかげで疑問に対して納得のいく理解が得られそうです。

 まず気になっていた「分娩時出血」ですが、このサイトでは「弛緩出血であることが多い」と説明されています。弛緩出血の原因としては「子宮筋の過度な伸展:多胎(たたい)妊娠、巨大児、羊水過多」「遷延(せんえん)(長引く)分娩による母体の疲労」が挙げられています。
 このうち、「巨大児・羊水過多」は妊娠糖尿病のコントロール不良の結果、「遷延分娩」は産道の脂肪蓄積がリスク要因となるもの、という理解で正解ならば、やはり糖質を摂取して脂肪を貯め込むことは必要が無いどころかリスキーな行為であるという認識で良いように思いました。(止血能に関しては、血管修復材となる血小板が細胞片、フィブリンは蛋白質ですし、コレステロールは脂肪に由来するものなので、やはり蛋白と脂質が重要そうです)
 統計学的な証明は得られていないそうですが、生理学的には異常出血のリスク低減が糖質制限によって可能であるものと考え、糖質制限を継続していこうと思います。
 助産師さんとしては「過剰でない程度に太って」と言っているのではありますが、試しに普段より10gだけ糖質を多く摂取しただけで、1時間後に頭痛、2時間後にはグロッキーで眠りこけてしまい、ちょうど「太るのは無理だ」と思っていたところでしたので、この結論に安堵しています。
 当面の課題は後期の糖質負荷試験の乗り切り方になりそうです。

「分娩時出血が多量の場合に太っている方が良いとされる生理学的根拠」なんかありません。
 
 断言有難うございます。従来の妊娠時の体重に関する根拠(のようなもの)は栄養学同様「平均値に基づくコンセンサス」に拠るものと認識しておくことにします。(筋肉太りは別として)
 看護学生として勉強中の頃から「胎児が3kg、胎盤と羊水と子宮の肥大分で2~3kgなら、残りの体重増加は何が原因で、どんな必要があるのだろう?」と疑問に思っていましたが、「それくらい増えるものだ」とか「産んでからも授乳と生活のエネルギーとして身を削る分の蓄えが必要なのだ」とかいった回答しか得られなかったので、「身を削って~」という表現は生理学的に深く考えることが医師程は得意でない看護学系に古くから伝承される悪癖のようなものかもしれません。

 目標体重と栄養に関しても指南頂き有難うございます。本来ならばセカンドオピニオンとしてお金をかけて得るべき情報なのかもしれませんが、この情報を元に母子共に元気に出産を終えることを使命とし、結果報告が謝礼となるよう気を配って行きたいと思います。
(この記事のアドレス・・・http://www.wound-treatment.jp/new_2015-05.htm#0514-06:00-3)
 糖質制限そのものではありませんが、先日も書かせていただいたGary Taubes のGood Calories,Bad Calories ANCHOR Booksに関連する記述がありましたので紹介させていただきます(同書 402ページ)。

 1980年から2001年にかけて太った赤ちゃんが急増したとの話があり(アメリカです)、その原因は、太って糖尿病になった母親が増えたことだそうです。
 要は、妊娠中の母親の血糖値が高いと、この刺激によって子宮内の胎児の中で作られつつある膵臓中でインスリンを分泌する細胞の数と大きさが増え、その働きが過度になることによって赤ちゃんが脂肪を蓄える結果太ってしまうのだそうです(赤ちゃん自身は糖尿病ではない)
 妊娠中に太った母親からは、太った赤ちゃんが生まれる傾向があり、このことは子供時代や大人になってからも肥満につながりやすいとのことです。
 この点からは、妊娠中に血糖値を上げることはあまり良くない気がします。

 また、50年前には糖質制限は...との記述がありましたが、糖質制限との言葉はともかく、Taubesによれば、炭水化物は太るということはインスリンの発見される以前、100年以上前から知られていたそうです。むしろその後の発展というか展開がおかしかったようです。この本を読んで驚いたことの一つです。
 『ヒトはなぜ太るのか?』にも「トルストイの『アンナ・カレーニナ』の中に,決闘前夜の公爵が「パンを食べると太るから,今日は食べない」と話すシーンがあり,パンを食べると太る,というのは19世紀の社会の常識であった」と紹介されていましたね。
(この記事のアドレス・・・http://www.wound-treatment.jp/new_2015-05.htm#0514-06:00-4)
1)「分娩時の出血量の平均は糖質制限群と対照群で有意差があるか」の検証データは存在しますでしょうか?
 
 糖質制限でお産をすすめているところは多くないので、そういう比較は発表されていないでしょう。まず、妊婦の体重増加と胎児の体重増加は案外関係ないです。胎児は母親の脂肪とタンパク質をもらって成長します。それが普通にあれば、育ちます。
 母親の体重が増えても小さい子もいれば(臍帯因子、胎盤因子)、増えなくても普通の大きさで生まれる子もいます。
 ただ妊娠糖尿病や妊娠中に15キロ以上太った場合には、大きな子が生まれることが多く、結構、確実に難産です。10キロ以内、というのがよく言う目安です。
 当院では糖質制限をした方の平均は6キログラムの増加で、していない方の平均は10キログラムくらいですが、出生時の体重はどちらも同じくらいでした。母の体重が増えても結局は母体と産道に脂肪がつくだけです。糖質制限で過ごした妊婦は、妊娠糖尿病とは無縁ですし、肥満にもならないので、安産が多い印象です。当院でも帝王切開が3分の1になってしまいました。(日本の平均20%、当院8%)
 妊娠中体重が全く増えないでも3キロの赤ちゃんも生まれています。糖質を取って太ることは糖尿病の予備軍でもある妊娠糖尿病に近づくだけです。

 胎児はケトン体で育っているので、糖質は拒否しているのが妊娠中の実態です。さらにそこに、糖質を取るから、妊娠糖尿病がおこる。
 【証拠】:鶏卵には全く糖質はないが、その中の栄養だけでヒナになる。卵生動物はすべて胎芽,胎児期に糖質に依存していない。卵は脂肪とタンパク質で構成されている。
 哺乳類と言えども最初は卵から始まる。進化の原理から言えば、生命の誕生の基本構造は変わらないと推測される。
 今の新生児栄養学では、胎児はブドウ糖で生きているとされるが、胎盤はケトン体だらけである。糖質制限は、妊婦にこそ最適な栄誉法である。
 医者も助産師も、医療もない時代にもヒトは赤ちゃんを産んできた。そのころこんなに糖質だらけの妊娠生活を送ってきただろうか?食料が豊富で太った妊婦がいただろうか?
 飢えとの闘いの中で子供を産んできた人類の生き残りが私達である。

2)「分娩時出血が多量の場合に太っている方が良いとされる生理学的根拠」なんかありません。
 
 助産師さんからは「身を削るから太った分が余力になる」ですって。脂肪と血液量を勘違いしていませんか?
 裁判になっている妊婦死亡例の方の審査をいくつもしたことがありますが、結構太っていて帝王切開とか80キロを超えていて出血多量で死亡なんて例をみます。肥満の方が血管確保がしにくいとか、心臓の負担が大きいとかろくなことはないでしょう。
 あなたの身長であれば5キロ増加したら十分です。5-8キロくらい増加で2500から2800gの赤ちゃんを産みましょう。ただ大事なたんぱく質と脂肪はたくさん取ってください。赤ちゃんは肉の塊であって、脳や神経には、脂肪酸やビタミンが必要です。もちやイモ中心では作れません。
 また現在、エコーでは推定体重は標準でしょう。今はすべてエコーで測れますから胎児の大きさが普通ならあなたの体重は気にしなくていいです。
(この記事のアドレス・・・http://www.wound-treatment.jp/new_2015-05.htm#0513-06:00-2)
 素人の体験談ですがお知らせしたく思います。
 私の父は産科医でした。 50年以上前に医学部を卒業ですから、糖質制限どころの話ではありません。 笑
 その父が、私が妊娠した時に「炭水化物と塩分を摂りすぎないように。タンパク質とミネラルをよく摂れ」と口をすっぱくして言っておりました。それは太っていると出産が重くなるから。 そして高齢出産だったので妊娠中毒症を心配してのことでした。
 また高校生くらいの頃から、「将来子供を持つ気があるなら太るな」とよく言われていました。
 大事なのは筋肉で脂肪ではない、太っているとお産が長引き母体の消耗が激しいと、父は産科医としての経験から語っておりました。小柄で筋肉質な人ほど、あっさりとお産が軽く済むんだよ、ともきかされていました。

 私はアメリカに滞在している時に妊娠がわかり、日本を経由して在住するニュージーランドに戻ったので、日本の味にたいする渇望で、日本にいた3週間程はコメも麺類も食べました。父から苦言を呈されるので夕食は、ご飯もみそ汁も食べませんでしたが・・・。
 NZに戻り、またお肉と野菜中心の食事に戻ったら2キロほど体重が減りそのあとあまり増えず、こちらの主治医に心配されました。<妊娠中期から後期に入る頃に痩せ始めたら心配する方が普通でしょうが。
 よく食べたのはステーキで、こちらサイズの400gほどのステーキもペロリ、でした。うすれつつある記憶をたどりますと、コメやうどんを食べていた日本での方が、むくみがひどかったと思います。

 私はスキー教師をしており、妊娠中もアメリカ・ニュージーランドで出産二週間前まで教えておりました。豊富なタンパク質と適度な運動を実践して、筋腫があったので帝王切開でしたが、3710gの元気な子を授かりました。
 今思い出しましたが、予定された帝王切開の日に病院に行きエコーで見て貰ったら、担当のドクターが「陣痛があるでしょ、感じないの?」と驚かれたのですが、私は別に痛みも何も感じておりませんでした。あとでそのドクターが腹筋が他の妊婦さんと比べて強いみたいだから感じなかったのかもね、と言われました。筋腫にブロックされていなかったら、あっさり生れちゃってたのかもしれません。

 糖質制限を知り実践して、14年前は父にいわれるままに炭水化物を減らしてタンパク質を増やしていたけれど、あれはまさに「糖質制限食」だったんだとありがたく思っています。 妊娠中に筋肉量が増えて腕などムキムキでしたから・・・。
 私の父は糖質制限など知らずに亡くなったと思うのですが、70までクリニックでお産を受けておりましたので、40年以上の経験から脂肪太りは妊娠・出産にはよくないと、知っていたんだと思います。

 これを科学的に説明してくださる方がいらっしゃれば、私も知りたいです。
(この記事のアドレス・・・http://www.wound-treatment.jp/new_2015-05.htm#0513-06:00-3)
 糖質制限歴1年半程、現在14週目の妊婦で、元看護師です。
 元々ダイエット目的で開始して、47kg→42kg(身長147cm、最減量時38kg)で落ち着いています。糖質を取ると不調が出てくる体質になり、妊娠と悪阻で更に顕著になったので一食の糖質量20g以下を目安に継続しているのですが…

 体重が増えません。むしろ若干減りました。
 この点に関しては、美容体重40kg(BMI18.5)を底辺に14週で42kg前後なら問題ないと思えますし、「やせ型だと低出生体重児になりやすい」の問題も糖質制限では起こらないという認識でいました。(実際に胎児の大きさも正常範囲内をキープしています)

 …が、先日の検診で助産師さんに「お産の時に出血が多い場合、太っておいて余力を持っておかないと大変だから、糖質も食べて太ってください」と、半ば脅し的に言われました。(「頭痛とか浮腫とか出るので糖質は食べたくないです」と断っても「出血量は産んでみるまで分かりませんし、多い場合に備えるべきです」と…)

 そこで気になったので質問があります。
 まず、「分娩時の出血量の平均は糖質制限群と対照群で有意差があるか」の検証データは存在しますでしょうか?
 分娩後の子宮収縮効率に影響する因子が明確だと嬉しいのではありますが、一先ず糖質摂取が関係するかどうかが大変気になります。

 次に、「分娩時出血が多量の場合に太っている方が良いとされる生理学的根拠」が分かりませんでしたし、想像も付きませんでした。助産師さんからは「身を削るから太った分が余力になる」と言われました。出血性ショックやそれに近い状態で蓄えた脂肪や蛋白を分解して造血を促進する仕組みが存在するとしても、結局ヘム鉄をはじめ外部からの補給が必須となる材料が存在するはずです。脂肪・蛋白ごと食事で補うというのでは難しいのでしょうか?また、止血・造血に関して糖質やインスリンが拮抗・阻害因子になっていたりはしないのでしょうか?

 以上二項。糖質制限を続けるにしても、糖質摂取して太るにしても、納得の行く根拠を持って実践したいと思っていますので、皆様の知恵を貸して頂ければと思いメールさせて頂きました。
(この記事のアドレス・・・http://www.wound-treatment.jp/new_2015-05.htm#0512-06:00-7)