今を去ること10年前の2002年に一度「痂皮の扱い」という文章を書いている。45歳の文章であり,当時の私は山形市立病院に勤務していた。
当時は「黒色壊死は感染源なので,積極的に切除すべき」と考えていたが,その後,「黒色壊死が感染源なのでなく,その下に溜まっている組織液が感染源だろう」という「感染の場」という考えを2005年ころに提唱し,現時点でもこの考えが正しいと思っている。要するに,
創感染を起こす能力を持っている細菌がいたとしても,その「場の物理的・化学的条件」が生存に適していなければ増殖できないし,感染を起こすこともできない。つまり,細菌の生存は「場の条件」で一義的に決まり,「場の条件」が生存可能な細菌を選択する。
という考えである。多分,生物学的にもまっとうな考え方だと思う。
このような立場から,再度「黒色壊死はどう扱ったらいいのか?」を図式化してみた。なお,この図は1時間ほどで適当に作ったものなので,まだ完成バージョンではなく,今後,手を加えていくことになるかと思う。
では,黒色痂皮があったらどうすればいいのか? ここから俯瞰図になります。
再度,断面図に戻ります。
そういうわけで,
黒色痂皮があったら,とりあえず中心部に適当に十字切開を入れてハサミで鈍的に広げ,その上を「穴あきポリ袋+紙おむつ」で覆っておけば,壊死組織は自然に融解し,いずれ創は肉芽で埋まり,そのうち上皮化する。
一生懸命にデブリードマンする必要はないし,出血させるようなデブリはもってのほか。
というが結論!
(2012/08/30)
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