ヒロイン役のケイト・ベッキンセイルが初めてヌードになったよ,と宣伝されることが多い映画だが,500年前の絵画に秘められた謎解きと現実の殺人事件が並行して進むかなり良質なサスペンス映画だと思う。もちろん,21歳のベッキンセイルの裸もきれいだけど・・・。
舞台はバルセロナ。主人公のジュリアは絵画修復を仕事にしていて,15世紀の画家,ヴァン・ホイスの新発見の絵「チェス」の修復の依頼を受ける。地元の伯爵家の末裔に代々伝わっている絵で,オークションに出品するために修復が必要だったからだ。そこには二人の男(伯爵とフランスの騎士)がチェスをし,それを若い女性(伯爵の妻)が見ている様子が描かれていた。
しかし,エックス線で調べると,絵の右下に文字が書かれ,それが塗りつぶされていることが判った。そこには「誰が騎士を殺したか」とラテン語が書かれていた。また同時に,最初はトランプをしている絵だったのにそれが塗りつぶされて新たにチェスの絵になっていることも見つかった。そして城の古い書庫から伯爵からホイスに宛てた手紙も見つかる。「誰が騎士を殺したのかが暗示する絵を描いて欲しい」と。
ジュリアは絵のチェスの手に謎が隠されていると推理し,バルセロナの街で賭けチェスで生活しているチンピラ青年に絵を見せ,それまでどのような展開を辿って絵の盤面に達したのか,今後どのような展開が予想されるかと尋ねる。やがて彼は,ナイトとクイーンの複雑な動きを再現し,この後,黒のクイーンが白のクイーンを取るだろうと予想する。
だが,この絵の所有者達に不審な死亡事故が連続する。当初は事故と思われていたが,死者が二人,三人と増えるに連れ,警察も捜査に乗り出す。ジュリアの身にも危険が迫ってくる。真犯人は誰なのか,ホイスの絵は何を伝えようとしているのか・・・・。
まず,いいところから。
なんと言っても,ヒロイン役のベッキンセイルが素晴らしいです。ボーイッシュなショートヘアなんだけど,笑顔が本当に可愛いし,歩いたままセロリやリンゴをお行儀悪く囓ったりする様子もチャーミングだし,男と肝心なシーンになっていきなりクシャミをしちゃうのも許しちゃう。しかも,外見では貧乳かなと思っていたら全然違っていたりして・・・。想像を裏切られて嬉しかったりして・・・。
それと,絵画を修復していく彼女の様子がまたいいのだ。亀裂がパテで埋められ,欠落した部分が少しずつ蘇っていく様子は感動的だったし,普段私が知らない「古い美術品の修復」の様子が見られただけでもよかったなと思う。
また,バルセロナと言えばガウディなわけで,数々のガウディの建築物がさまざまな角度から見られるのも嬉しい。その他のバルセロナの風景も息を呑むほど美しい。
それと,絵画に秘められた謎がチェスの分析で解明されていく経過もなかなかスリリングで面白かった。
で,悪い点。
500年前の絵画の謎を解いていくのはいいとしても,所詮,それは現実に起きている殺人事件の解決とは無関係であり,「無関係の二つの事件が同時進行しているだけだよね」ということ。それと,現実に起きている事件の全体像がわかりにくいというか,犯行動機がよく判らないのである(原作を読めば判るのかもしれないけど)。最初の大学教授を殺したのは誰なのか,修復完成寸前の絵を持ち去ったのは誰でその理由は何なのかもよく判らない。
また,最後に明かされる「黒いクイーン」,すなわち真犯人が途中でなんとなく判ってしまうも惜しい。登場人物が多くない上に一人ずつ殺されていくため,消去法で行くとこいつしか残っていないからである。
さらに,「黒いクイーン」が一人殺すたびに,ジュリアの部屋の前にチェスの駒をおいていく理由もよく判らなかった。二人の関係を考えると警告でもないし,脅迫でもないし,予告でもない。じゃあ,何で置いたんだろう?
細かいところを気にしなければ,サスペンス映画としては上質の方だと思うし,絵画修復過程も面白かったし,バルセロナの街の風景もきれいだ。そして何より,ベッキンセイルが何より美しくて可愛い!
(2006/12/04)
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