《バーサーカー》 (2004年,アメリカ)


 300人がこの映画を見たら(・・・300人も見るとは思えないけど・・・),多分1人くらいは熱狂的に褒めちゃうだろうと思います。で,残りの299人は「クズより立たないゴミ映画」,「ゲロより汚いクソ映画」と怒り狂うはずです。で,私はこの映画に関しては多数派,つまり299人に賛成します。

 ストーリーがまともでないとか,登場人物が滅茶苦茶とか,俳優が素人以下とか,そんなのはクズ映画界ではよくあることで珍しくありません。それくらいだったら私は笑って見過ごします。ましてこれはアルバトロス・コア配給です。それは覚悟の上です。そのくらいでは怒りません。この映画は上述の「クズ映画の全要素」を備えていますが,それ以上に,見終わった時にいや~な感じしか残らなくて,すご~く不愉快なんですね。


 なぜ不愉快かというと,犠牲者側がほとんど老人と子供だからです。殺人鬼一家が手当たり次第に人を殺しまくる,という映画はあるけど(例:《悪魔のいけにえ》など),老人と子供だけ選んで殺しまくるのは殺人鬼の風上にも置けないよなぁ。

 しかも,後述のように殺人鬼一家でまともな戦闘能力があるのは一人だけで,残りは弱っちいです。被害者側が拳銃の一丁でも持っていたら(何しろアメリカだから,誰でも持っているよね),殺人鬼一家を全滅できたんじゃないでしょうか。

 おまけにこの映画の出来といったら,大学の映画サークルが学園祭用に作成した映画並みです・・・というより,気の利いた学生なら,もっといい映画を作るはずです。場面転換は単調だし,登場人物の演技は下手だし,無駄な演技と意味のない場面が多いしと,全ての面において素人以下なので見続けるのが辛いです。


 ま,とにかく,殺人鬼一家にまともな奴が一人もいません。気色悪いだけで怖いわけでなく笑える要素がありません。以下,殺人鬼一家を紹介しますね。

 この説明を読むと,絶対にふざけて書いていると思うでしょう? ところが,これは極めて忠実に客観的に説明しているのです。


 かたや,殺されるティナちゃん一家はさらに戦闘能力が低いです。デブのお父さんとお母さん,そして10歳くらいの弟がなんと,映画開始15分くらいでティナちゃんを残して全員殺されます。ティナちゃん,スレンダーでかわいいですが(ちなみに,脱いだりするサービスシーンはありません),成人するとこんなデブ母ちゃんになっちゃうんだろうなぁ,と変なところで感傷的になります。それにしても,いくらホラー映画でも10歳の子どもを真っ二つにはしないよなぁ。

 となると,このティナちゃんがいかにして逃げ出すか,という映画になるわけですが,それで80分を持たせるのはさすがに辛くなります。そのためか,やたらと哲学的なセリフを続けたり,ティナちゃんにウェディングドレスを着せて車の前に縛り付けてドライブしたりします。時間稼ぎをしているとしか思えません。この「哲学的会話」を評価する人もいるかもしれませんが,私にとっては鬱陶しいだけでした。


 そういえば途中で,「脳味噌はみ出し」ブレイン君が人通りのある街の中を全裸で走るシーンがありました。「普通の人たちの中で生活する」様子を想像しているシーンだったと思いますが,全裸フルチン(チンチン,ばっちり映っています)で街を走るだけで普通じゃないと思うぞ。それにしても,なぜチンチンにボカシを入れなかったのでしょうか。映倫のお兄さん達,見落としてますよ。

 で,結局,あの殺人鬼一家って何だったんでしょうか。ブレインの頭が割れると中から緑色の液体が吹き出て,アルファベットが書かれたサイコロみたいなのが出てくるけど,ブレイン君って人間だったのですか? それとも機械? 不気味婆ちゃんの首の後ろにコンセントみたいなのがありましたが,サイボーグなんですか? クリエーターがみんなを作ったのですか?


 そういう基本設定がまるでわからないまま,映画はティナちゃんの長~~い絶叫で幕を下ろしましたとさ。

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