2本まとめて書いちゃいます。いずれも監督はロバート・ロドリゲス。彼が24歳の時に一人で制作,監督,脚本,撮影して完成させたのが《エル・マリアッチ》。なんと7000ドルという超低予算でありながらパワフルなガンアクションの連続と緻密な構成で人気となった作品です。そしてその大成功をもとにして2年後に約100倍(?)の制作費を投じて作られたのが《デスペラード》です。
どちらもムチャクチャ面白いです。そんなのありえねぇ,ってなシーンが続くのですが,そんなのどうだってよくなります。「俺はこんな映画を作りたかったんだ」というパワーと熱気が充満していて,見るものを圧倒し感動させるのです。
まず,《エル・マリアッチ》を見て下さい。なぜ70万円という低予算でこれほど完成度が高く面白い映画が作れるのか驚くはずです。舞台はメキシコの小さな町。この町に偶然やってきたマリアッチ(流しのギター弾き)が地元ギャング達の抗争に巻き込まれ,「ギターケースに武器を隠し持っている殺し屋」に間違われて命を狙われ,やむなく銃をとってしまう,という映画です。
ギター弾きがなんでそんなに銃の扱いがうまいんだ,というツッコミを入れる間なく銃撃戦に巻き込まれていき,その後は息つく暇もなく迫力あるアクションシーンが続きます。
彼を助ける女性を愛してしまい,彼女は実はボスの女で,最後のボスとの対決で彼女を殺され,自分もギタリストの命である右手を撃ち抜かれてしまいます。そして劇的なラストシーンになだれ込みます。
そして続編となる《デスペラード》では,恋人を殺され右手を傷つけられたマリアッチが,仇であるギャング・ボスのブチョに決着を付けるため,ギターケースにさまざまな武器を詰めて国境の町にやってくるところから始まります。ちなみに,第1作目と第2作目ではマリアッチ役の俳優さんが変わっています。こちらのマリアッチの方が濃ゆい顔の男前です。迫力ある銃撃戦の連続は,最高のマカロニ・ウェスタン映画のいいとこどりという感じで,本当に面白いです。
とにかく,主人公のマリアッチが男臭い魅力一杯で,男のフェロモンを振りまいています。自分を狙う銃が火を噴いているのに平然として銃のカートリッジを交換したり,敵に向かって歩いていきなり隠し持った二丁拳銃で撃ち殺すなんて,本当に格好いいのです。この二丁拳銃のガンファイトが無茶苦茶ナイスです。
そして,彼を愛してしまうヒロインのキャロリーナ(サルマ・ハエック)が若くてきれいでナイスバディで,彼女が映るだけで画面はラテン美女の爽やかなフェロモンに満たされます。ヒロインというのはこうでなくっちゃいけません。彼女が出ている映画を片っ端から見たくなるほど魅力的です。
しかも,至る所に細かいギャグがあって笑わせてくれるし(酒場での銃撃戦の最後,生き残ったマリアッチと敵方一人が銃を向けあうんだけどどちらも空で,二人で慌てて床に転がっている銃を取って相手に突き付けるんだけどそいつも空で・・・という繰り返しが,たまらなくおかしい),汚くて入る気にもならないトイレの向こうが隠し部屋だったりと,細かいところにもいろいろ仕掛けがしてあります。
それから,ギターを練習している子供にギターを教えるシーンもよかったです。これが最後の銃撃戦に絡んできます。ここは泣けます。
そして最後の決戦で,マリアッチは二人の仲間を呼び寄せるんですよ。「ギターケースを忘れないで持ってきてくれ」ってね。その二人が持ってきたギターケースがまた凄くて,マシンガンが仕込んであるわ,ロケット弾を発射するわ,やりたい放題やってくれます。おまけにこの助っ人二人があっけなく殺されちゃったりして,オイオイ,この二人は生き残るキャラだよね,と思っているのに物語はどんどん先に進んじゃう。このサバサバしたニヒリスティックな感じがまたいい味を出しています。
細かいところを見ていくと問題はあるけど(例:マリアッチとブチョが実は○○関係だったとか,それがわかったのはいつ,とか),そんなことはどうだっていいです。ここまで楽しませてくれたから全て許します。
まず,何はともあれ面白い映画を見たい,という人は《デスペラード》を見て下さい。絶対に損はさせません。きっと《エル・マリアッチ》も見たくなるはずです。
(2006/11/06)
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