「一体この映画は何だったの?」,「で,何がどうだったの?」,「結局,何だったの?」という『訳わからん系』だったという評判の映画を好んで見ることにしています。どのくらい無茶苦茶な映画なのかな,って怖いもの見たさというか,そういう興味で見ちゃうんですね。
ま,そのほとんどは「やっぱり訳がわからん」という事になるのがオチなんですが,今回もまた,同じ結論になりました。「なんじゃ? この映画は?」という一言で済ませてしまいたくなる作品でした。とにかく,私の理解力と判断力と想像力を総動員しても,全く何も理解できませんでした。ヘブライ語のお経を聞かされるくらい,訳がわからなかったです。
どういう映画かというと・・・と書こうとして,この時点で困ってしまうのです。
えーとですね,ジグソーパズルってありますよね。ジグソーで,元々の絵が未完成で部分的に空白になっている絵をジグソーパズルにして,おまけにピースがかなり欠けていて,さらに別の絵のピースも入っていた,という状況に近いです・・・この映画は。何となくわかっていただけるでしょうか。
見ている方としては,最後まで見れば全体像がわかるんだよね,謎だらけのジグソーパズルが一枚の絵になって何の絵だったかわかるんだよね,と期待してみていたのに,結局,最後の最後になっても結局全体像がわからなかった,という感じです。
もうこうなると,金返せ,この映画に費やした90分を返せ,という気分になります。主演のコリン・ファースは最初から最後まで不機嫌な表情なんですが,見ていると次第に彼の表情がうつってきて,どんどん不機嫌な表情になってしまいます。これぞ「トラウマ」ってか?
それでも頑張って映画のストーリーをまとめると,主人公ベンは運転中の事故で同乗していた奥さんを死なせてしまい,自分自身も重傷を負って病院のベッドで目覚めちゃうのです。それで何とか立ち直ろうとしていると,彼女の幻が見えてきたり,彼女の妹が変なことを言ってきたり,同時期に起きた有名歌手殺人事件の犯人と疑われたり,刑事がやってきたり・・・という映画です。オイオイ,それじゃ何もわかんないよ,と思われると思いますが,そういう映画なのです。私が手を抜いているわけじゃないんです。
何しろ,起きている事件の説明自体が細切れに,前後関係をゴチャゴチャに映していくため,一体何が起きたのかがすごくわかりにくいのです。しかも彼の過去がこれまた細切れに明かされていくのですが,その途中で彼に虚言癖があることがわかり,それに幻覚なんだか現実なんだか最後までわからないエピソードが積み重ねられるのです。もうこうなると拷問級の不愉快さです。
結局,主人公の奥さんが生きているんだか死んでいるんだかもわからないし,もしかしたら登場人物全てが彼の妄想の産物じゃないの,という気もしてくるし,最後の方になってくると,もうどうでもいいから,早く謎解きして終わってくれよって気分です。それなのに,謎の解決がないんですから,糞詰まり状態です。あ~あ,見るんじゃなかった。
おまけに,映像も懲り過ぎで,意味のないストップモーションがあったり,訳のわからないクローズアップがあったり,思わせぶりのカットが挿入されたりするため,さらに混乱が増します。こんなのに気を使うくらいなら,もっと別に気を使うところがあるだろ,と文句を付けたくなります。
もちろん,細部にまで気を使って見て,わずかな一言まで漏らさず聞き取れば,もしかしたらこの映画の全体像がきちんと把握できるかもしれません。もしかしたら隠された真相に気が付くかもしれません。でも,そこまで努力したところで,わかった真相は大したことがないだろうと思うし,努力してまで理解する映画じゃないと思います。無駄な努力は止めました。
(2006/11/03)
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