クズ映画の宝庫,アルバトロスの中でも「これを見ずしてアルバトロスを語るなかれ」と言い伝えられている,クズ映画の至宝とも言うべき作品です。これくらいひどくなると,なんだか清々しいくらいです。
行き当たりばったりのストーリー展開,登場人物のムチャクチャな言動,とってつけたような結末,無駄色気と無駄残虐シーン,そして意味不明のタイトルなど,クズ映画には欠かせないありとあらゆる要素を備えています。まさに,クズ映画界に燦然と輝く存在です。
映画ですがストーリーも何もありません。女子高生たちが一人,一人殺されていく映画ですが,途中の展開も理解不能なら,登場人物たちの会話も意味不明です。「だって,太陽が黄色かったから」くらい,理解を拒絶している映画です。そして,意味不明のお色気シーンが連続しますが,ここまで来ると無駄色気です。
何しろ,邦題タイトルの「チェーンソー」が嘘っぱち。チェーンソーは登場しますがわずか1分間ほどで,その後は登場しません。しかも,殺人に使われるわけでもなければ,女子高生たちの防御手段でもありません。行きがかり上,たまたまチェーンソーが登場しただけです。これをタイトルにつけた配給会社のセンスがナイスです。
どういう映画かというとですね,ある女子高校の8人の生徒が男子校とのダンスパーティーに向かうんですが,その途中で車がエンストし,ちょっと危ない感じのお兄さんに助けてもらったと思いきや,砂漠の真ん中(?)のスクラップ工場に連れていかれ,そこで一人一人,惨殺される,という内容です。
このストーリーだけでもまともでないのに,なぜ車がエンストしたかはいいとしても,そこで助けた青年(明らかに精神発育遅滞と思われます)も偶然なら,車の故障を直すために工場に連れて行かれたのも偶然です。この偶然の連続をかいくぐって,真犯人が生徒たちを次々に異なった手段で殺していくのですから,ある意味,人知を超えています。
女子高生たちは無意味にお色気過剰です。特に一人なんざ,学校でもどこでも胸の谷間見せまくり,臍丸出しルックです。引率の先生,注意しろよ。ま,他の連中もどっこいどっこいで,ダンスパーティーでいい男を見つけることしか考えていません。どいつもこいつも,あたま空っぽです。脳味噌はおがくずでできているとしか思えません。こういう映画では一人くらいはいい奴がいて,「こいつだけは生き残って欲しい」と感情移入できる登場人物がいるものですが,この映画に限っては,さっさと全員死んで欲しいとしか思いません。
で,引率の先生が,「普段は眼鏡をかけているブスだけど,眼鏡をはずしたら美女だった」という設定なんですよ。大昔の少女漫画みたいです。しかも,その眼鏡を外した顔に発情した一人の女生徒と,あわやレズシーンです。もうすでに3人も殺されているというのに,レズですか? アホです。さっさと死んじゃえ。
この「眼鏡を外すと本当は美人」の先生の言動,脳味噌のネジがはずれているようで,理解できません。もしかしたら,脳味噌が入っていないのかもしれません。
これまでだってムチャクチャなのに,なんとこの映画には,映画史上に残るであろうという反則技的あっと驚く結末が待っているのですよ。この結末の強引さは見る価値があります・・・ある意味・・・。
このアホ映画で一番衝撃的なのは,最後のシーンで明かされる真犯人の正体です。それまで,怪しそうな奴は何人かいるんだけど次々殺されるわけで,結局,最期に一番怪しそうなお姉ちゃん二人が残ります。ああ,やっぱりこいつらのどっちか,と思った瞬間,一人が顔のマスクを剥がすんだよ。何だ,こいつ,ずっとマスクをかぶっていたの? 何じゃ,そりゃ,と思った瞬間,そこにはなんと小太り男の顔が! オイオイ,こいつが犯人か?
この時の脱力感は,筆舌に尽くしがたいです。まさに衝撃的真相です。マスクを剥がしたとたん,それまでの9頭身美少女が,一気に6頭身デブオヤジになり,しかもツルツルの足が毛むくじゃらに変身しています。どうやら,あの9頭身は着ぐるみで,中にデブオヤジが入っていたものと思われます。すごいです。
そして,最期に生き残った一人のお姉ちゃんが,整備工場のお兄ちゃんに「ご飯でも食べに生きましょう?」と,なんだかすがすがしい雰囲気で終わっちゃいます。何だ,ご飯って!
(2006/07/29)
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