《プテラノドン》 (2005年,アメリカ)


 ま,要するに,現代にプテラノドンが蘇って大騒ぎ,という恐竜パニック映画。ストーリーがすごく雑で,説明不足で,「これでいいの?」感が漂います。そういうのが気にならない人なら,そこそこ楽しめるかもしれません。

 なぜ現代にプテラノドンが? と思いますよね。普通ならクローンとかDNAとかそういうので理由付けしますが,この映画はとてもおおらかで,「ジュラ紀以降,噴火をしたことがないティナラ山が噴火したため,そこにあったプテラノドンの卵が地熱で孵った」と説明しています。オイオイ,その卵,いつ生んだんだよ。6500年前に産み落とされた卵の化石がまだ生きているのかよ?
 ま,いいです。その程度の映画ですから。


 大学教授の野外調査に同行する大学生が揃いも揃ってアホ揃い。単位欲しさに同行しただけですが,笑ってしまうような軽装備(というか,これから遊びに行くのよ,という服装!)でトルコだったかの奥地に挑みます。会話の内容は小学生以下。脳味噌入っていません。こういう映画にお約束の「頭は空っぽで巨乳だけが取り柄の女子学生」ももちろん登場します。湖を見るといきなりブラとパンツ姿になり,泳ぎだします。「アメリカ映画に登場するアホ女子大学生」の見本です。そこでプテラノドンに襲われます。さっさと喰われるかと思うと助かったりします。他の学生もこの程度です。

 その同じ山奥でなぜか,テロリスト集団がキャンプ中です。何のためにそこでキャンプしているのか,説明は一切なし。とはいっても訓練をしているわけでなく,どこからか若い女性をさらってきてはエッチしているだけみたいです。

 そしてテロリストを追っている特殊部隊もいます。そしてテロリストキャンプに襲撃をかけたり,逃げられたりします。そういうところにアホ学生ご一行が加わって,そこをプテラノドン君の大群が襲うわけさ。


 プテラノドン,強いです。人を襲って爪で鷲掴みして巣に持っていき,子プテラノドンのエサにしますが,それだけでなく,ライフルで攻撃してくるテロリストに急降下し,体を真っ二つにしたりします。倒れている人間をくちばしで半分に切り裂いてから,内蔵なんかを美味しそうに食べています。内臓とかを食べられながらも,体を動かしている犠牲者がちょっとリアルっぽいです。プロメテウスの苦しみが描かれています。こういうシーンが好きな方はどうぞご覧下さい。

 プテラノドンの動き,すべてCGですが,この手の映画としては結構よく作られています。また,夜は寝ていて昼間に襲って来るという設定のため画面が明るく(この手の安っぽい映画だと,やたらと暗い夜間シーンが多いのに),プテラノ君の翼の動きがよくわかります。

 内容の薄さの割にストーリー展開が遅く,90分がすごく長く感じられますが,ストーリーにこだわらず,大雑把に楽しめればいいや,という人なら見てもいいかな,という映画ですね。


 というわけで,将来,火山噴火に伴ってプテラノドンが蘇り,襲われることもあるかもしれませんので,プテラノドンについての正しい知識をお勉強しましょう。

 プテラノドン(Pteranodon)とは「翼があり(pte),歯がない(an-odon)」という意味の名前のようです。翼を広げると8メートルくらいで,主に北米で化石が発見されますが,北海道でも一部の骨が見つかっているそうです。

 基本的に飛翔力は非常に弱く,翼を羽ばたいて飛ぶのではなく,グライダーのように滑空していたと考えられます(少しは羽ばたいていたという説もあります)。しかし,飛行には大きなエネルギーが必要なため,体温は温血(恒温)で,羽毛が全身を覆っていたと考えられています。

 体幹部は小さく,脚の構造も華奢であり,力学的に「獲物を掴んで飛ぶ」ことは不可能と考えられます。食料は魚で,滑空しながら海面上に浮かんでいる魚をくちばしで掬って捉えていたようです。また,ペリカンのように喉が袋になっていて,ここに捕まえた魚を貯めておいたと考えられています。


 もしも将来,プテラノドンに襲われることがあったら,参考にして下さい。

(2006/07/26)

 

 新しい創傷治療   なつい
キズとやけどのクリニック
 
 湿潤治療:医師リスト