《増殖》 (2003年,アメリカ)


 ただただ,悲惨なほどクダラナイ映画です。見るだけ時間の無駄です。

 原題は "Hallow's End" です。大学のクラブかなんかがハロウィーンの寄付金集め用のお化け屋敷を企画するんだけど,その小道具の中に人を殺す呪文を書いた古い本があって,次々と学生たちがゾンビやら吸血鬼やらに変身し,互いに殺し合う,という映画。

 90分映画でしたが,その90分が長いのなんのって。「まだやるの? 早く終わってくれないかなぁ,何でこんな映画を見ているんだっけ?」という感じでした。見終わった後,3時間映画を見終わったような疲労感でした。

 とにかく俳優たちの演技も下手なら,日本語吹き替えも下手。ほとんど学芸会レベルですね。怖くもなければ恐ろしさもない。女の子同士のレズシーンがあったのが唯一の見所かな?


 登場人物のほとんどはアメリカの大学生ですから,前につき合っていた彼は誰とか,今つき合っているのはこいつとか,別れたけれどまだ好きとか,主要な登場人物のほとんどが現カップルか元カップルです。その人間関係を説明するための説明シーンが長々とあり,この部分でたいていの人は寝込んでしまうはず。つまり,睡眠導入薬としての効果は抜群です。

 それが終わってようやくお化け屋敷のシーンになります。ようやく化け物とかスプラッターシーンかな,とちょっと期待していると,これまた数分に及ぶレズシーン。それを我慢してお化け屋敷が開場するんだけど,案内役が数人を引き連れては「1932年,ある農場で人が殺され,その時に・・・」と故事来歴を説明する画面がこれまた延々と続きます。「大イタチと宣伝して,見に行ったら血の付いた板が立てかけてあった」くらいの脱力感です。

 最後の15分くらいになってようやく,数人を残して全員がゾンビや吸血鬼に変身して襲いかかってきますが,ドアを閉めて閂をかけちゃうと,外からドンドン叩くだけで中に入ろうとしません。その中のまともな数人も早く逃げればいいのに,悠長な話し合いをしたり,携帯電話で連絡を取ろうと電話を取り出します。そういうノンビリ屋さんたちに合わせるかのように,外のゾンビ君たちも襲ってきません。


 90分映画で85分を過ぎているというのに,残り3分くらいしかないというのに,この期に及んでも緊迫感ゼロ。オイオイ大丈夫か。見ているほうが心配になります。

 最後に残っていた二人も捕まっちゃうんだけど,なぜかここでもなかなか殺そうとせず,その挙げ句に主犯格の魔女に変身した女性をゾンビ君たちが襲い,二人は逃げられます。何でゾンビ君たちが反乱を起こしたのか意味不明。しかも,あれだけたくさんゾンビやら吸血鬼がいたはずなのに,主犯格を襲っちゃうゾンビたちはたったの5人。さっきまであんなに部屋に蠢いていたのに,どこにいっちゃったの?

 でもって,二人はすぐにこの化け物屋敷から逃げ出したかと思うと,夜明けを待って外に出られたんだってさ。なんて,のんびりしているんでしょうか?


 というわけで,この映画の唯一の見所がレズシーンだと書きましたが,あの二人がレズである必然性は全くなかったことに気がつきます。別に男女のカップルだってよかったような気が・・・。そうか,あまりに詰まらない映画なんで,せめてものサービスとして二人分のオッパイでも見てもらいましょう,ってんで,この二人をカップルにしちゃったのね。

 こういうところでサービスする余裕があるんなら,他のところに気を使え!


 というわけで,学芸会レベルの演技と下手な吹き替えを楽しみたい人,そして不眠症の人にはお勧めの映画です。

(2006/06/19)

 

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