《アタック・ザ・マミー The Mummy Theme Park》 (2001年,アメリカ/イタリア)


 わーい,アルバトロスだ。あのアルバトロスがまたまた,低予算アホ映画を提供だ。ストーリーは《ジュラシックパーク》のパクリだし,パッケージの画像や始まり方は《ハムナプトラ2 黄金のピラミッド》のあたりのパクリだぞ。だけど,内容は死ぬほどくだらないぞ。スプラッター・ホラーみたいな映画だけど,実はコメディーだったりするぞ。でもって,日本語訳は滑りっぱなしのギャグが連続だ! さぁ,君はこの映画を見る勇気があるか?


 あらすじをまとめると,エジプトで地震があって大きな地割れができ,そこから古代の遺跡が発見され,ファラオのミイラが発見されたんだと。でもって,そのミイラを集めて「ミイラ・テーマパーク」を作って儲けようと企んだエジプトの族長がいてね,見せ物にするために動いて喋れるミイラにしようってんで,ミイラの関節が動くようにして頭部にマイクロチップを入れて「サイボーグ・ミイラ」を作っちゃったそうな。

 そこでなぜか,アメリカの広告代理店みたいなところに族長が連絡し,カメラマンを寄越してくれ,大金を払う,と申し出るわけ。そこで若手男性カメラマンと若い女性の助手がエジプトに向かうわけよ。でもね,この助手のお姉ちゃんが思いっきり馬鹿で傲慢。エジプトの歴史とかエジプト人に対して信じられないくらい無知で,おまけに偏見だらけの言葉を吐いちゃう。そのため,ファラオの守り神だか何かが怒っちゃうわけだよ。で,なぜか,カメラマンお兄ちゃんの寝ている部屋に古代パピルスに古代エジプト文字で「ファラオのことを馬鹿にしたものは呪い殺されるであろう」とか書いてある脅迫状が投げ込まれるわけよ。

 でも,とりあえずは仕事を終えてから逃げ出そうと考えたカメラマンお兄ちゃん,ミイラ・パークの撮影をするんだけど,ミイラをフラッシュ撮影したら,その光に反応したミイラ君のマイクロチップが暴走し,ミイラが勝手に動き始めちゃう。このミイラに追いかけられてテーマパークの中を二人が手に手を取って逃げるわけよ。そしてその後,大量のミイラ君たちが暴走してテーマパーク中を暴れまくっちゃう。ま,そんな映画です。


 まず何が情けないというと,登場人物が少ない点。最初の「地震で地割れ」のシーンでは建物が崩れたりする様子なんか全くなくて,建物の中で家具が倒れる様子が映される程度。しかも,同じ場面が繰り返し使われています。広告代理店にしても支店長みたいな人とカメラマンとお姉ちゃんの3人しかいない零細企業だし,族長はものすごい金持ちらしいのになぜか手下は20人くらいしかいません。族長のためにベリーダンスを踊る若い姉ちゃんたちも5人くらいしかいません。これしか人件費が使えなかったのでしょう。貧乏,という言葉が頭をよぎります。

 テーマパークの中には列車が通っていてこれでパーク巡りができるようになっています。地割れでできたスペースの中を走って行くようですが,これそのまんまオモチャです。プラレールに毛が生えた程度の電車のオモチャがジオラマの中をトコトコ走ります。見ていて可哀想になってきます。あれってオモチャだよね,と思っても,気がつかないフリをしてあげましょう。

 それ以外でも,至る所がチープでいい味を出しています。例えば,監視カメラにパソコンを接続してテーマパーク中のコンピュータシステムを乗っ取るというシーン。なぜ監視カメラにパソコンをつなげるかもわからなければ,それでシステムを乗っ取れるというのも意味不明。もしかしたら,映画監督はコンピュータというものを見たことがないのかもしれません。
 あるいは,列車の中の変な形の端子にまたもやパソコンを接続すると,今度は列車の走行を制御できます。もしかしたら,この映画の監督は,パソコンの端子がどういうものか,見たことがないのかもしれません。いずれにしても,ビルのAC電源にパソコンをつないだら,ビル全体のコンピュータと通信のシステム全体を乗っ取れた,という感じです。とても21世紀に作られた映画とは思えません。

 それにしても,この程度の見世物で客が押し寄せると思っている族長君,君の読みは甘すぎるぞ。この程度の「動いて喋るミイラ」を見たい奴なんていないと思うぞ。まして,そこはエジプトだ。飛行機代はたいて見に来る奴なんていないって。


 カメラマン君に脅迫状が届くシーンがありますが,古代エジプト後で書かれた脅迫状は脅迫状として作用しないと思います。普通の人は読めませんから脅迫になりませんよね。脅迫状なら,読める言語で書かないと駄目だよ。

 それにしても,何でまたカメラマン君に脅迫状が届くのか,いまだに理由不明です。エジプトを馬鹿にしたのはアシスタントのアホ女ですし,ファラオのミイラを金儲けに使ったのは族長であって,カメラマン君はむしろ,アシスタントの馬鹿発言をたしなめているいい奴ですよ。そいつを脅迫したって意味ないんだけど・・・。


 私,結構記憶力は悪くないほうだと思うんだけど,この映画に関しては「この次に何のシーンだったんだっけ?」と思い出すのが困難です。似たようなシーンばかり繰り返され,ストーリーがムチャクチャなくせに冗長で,登場人物の行動も行き当たりばったりで,次にどんな行動をしたか思い出せないのです。

 それにしても,こんな映画ばかり配給していて,アルバトロスの経営は大丈夫なんでしょうか。そっちの方が心配になります。

(2006/05/30)

 

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