えーと,どんな映画かというと,一人の刑事を主人公にした〔猟奇連続殺人+モンスターパニック+サイコホラー〕映画ってとこでしょうか。「新感覚スタイリッシュ・ホラー」と銘打ってDVDが販売・レンタルされています。新感覚でスタイリッシュでお洒落で耽美的で映像美に溢れているという欲張り映画ですが,ちょっと欲張りすぎて,バランス感覚が悪い作品になっています。そのため,見る人を選ぶというか,我慢強い人以外は見ないでね,という映画になってしまっています。
ストーリーは,主人公の刑事ダークはチーフのシェイドを尊敬していて,チームを組んで不法入国の手引きをしている組織の捜査に当たっている,というのが発端。捜査中に騒動にシェイドが巻き込まれ,ダークは倒れて死んでいるシェイドを発見。ところがそのシェイドがいきなり起きあがり,生き返っちゃう。その後,法の目を巧妙に逃れている悪党とか,司法取引で釈放された悪党とかが惨殺されると言う事件が次々と起きます。そして,事件の真相に迫るダークにことの真相が明かされ・・・ということになるでしょうか。
映画は最初から格好いいです。
「死体を埋めるのには40分かかる。息があればさらに長い。親友ならもっと作業はつらい。」
こう言いながらシャベルで土をかける男を,穴の中に据えたカメラで捉える映像から始まります。いろいろなことを想像させる始まり方で,期待が膨らみます。実際,このような凝ったカメラアングルの映像が連続します。
意味もないのに上空から撮影したり,何が起きているかを映さずに目撃者の表情だけ映して語らせたり,木陰を通して映したりと,懲りまくっています。懲りすぎて,意味が分からない部分が多い,という欠点に目を瞑れば,「映像美にあふれる映画」という評価になるんでしょうが・・・。
しかし,この冒頭部分はいいものの,その後は非常にわかりにくくなります。短いエピソードをなんの説明もなく重ね,十分に説明しないまま次のシーンになるため,見ている方は,一体何が起きているのか,一体これは事件なのか悪夢なのか,よくわからないままに付き合わされることになります。ルールのわからないカードゲームを延々と見せられているような気になります。もちろん,最後まで見れば,一体何が起きているのかはわかりますが,そこまで到達するのは非常に大変でしょう。
それから,意味不明の濃すぎる登場人物はやたらと出るし,意味不明のシーン(ダークが湯船に浸かるシーンが何度かあるけど,湯船に浸かりながらバナナを食っているのはなぜ,・・・とか)が多いです。警察の上司は執務室でキルトを穿いてゴルフをしているし,後半に登場するC.U.U.C.(異端児調査会とかいう名称らしい)のメンバーがこれまた半端じゃなく変。ツルっぱげのデブで下膨れで眉毛がなくて色が白くてほっぺはぽっちゃり。こいつが事件の真相をダークに説明するんだけど,こいつの風体が気になって説明はどうでもよくなってきます。
ラストの惨劇が起きている病院に事件を調べている警察官(?)と,このぽっちゃりハゲ君が到着して,さぁ,こいつが事件解決に何かの役目をするのかなと思うと,全くの期待はずれ。いきなり懐から折り畳み椅子を取り出し,「ケ・セラ・セラ,さ」と歌いながら座り込み,チョコレートか何かをほうばり始めちゃう。うわぁ,何なんだ,こいつは。圧倒的な存在感なのに,全然仕事してねぇぞ。
死体や車がいきなり燃え出すシーンでも,それを誰も気にしていない,というのも変だったな。
モンスターの造形もちょっとチャチというか,2番煎じ,3番煎じでしたね。
この映画,お金は結構かけているみたいだし,ロケ地は風景明美だし,登場するお姉さんたちは結構美人だし,そういう面ではかなり気を使っている映画なんだけど,「スタイリッシュで格好いい映画にしようぜ」という意識が強すぎたみたいです。
(2006/05/22)
新しい創傷治療 |
なつい キズとやけどのクリニック |
湿潤治療:医師リスト |