《スケルトン・キー》 (2005年,アメリカ)


 どういう話かというと,アメリカ南部,ルイジアナの田舎にあるどでかい古い家が舞台で,この屋敷の住み込み看護師募集広告に応じてやってきた若い女性が主人公。脳卒中で動けなくなった主人のお世話に雇われたわけなんだけど,妻は最初,ヒロインが南部出身でないことを理由に断ろうとしますが,顧問弁護士の取りなしで何とか働くことになるわけ。その屋敷の屋根裏には開かずの部屋があって,彼女の身の回りに不思議な出来事が起き始め,ついに彼女はその部屋の鍵を開けちゃう。そこで彼女が見たものは・・・というお話ですね。

 ホラー・サスペンスとしては,悪くない方だと思います。思わせぶりな怖そうなシーンは連続するし(とは言っても,そんなに怖くなかったけど),謎解きとしてもほぼ完璧(とは言っても,途中で誰が何のためにこの事件を起こしたかはすぐわかっちゃいますが)。映像も綺麗だし,とても丁寧に作られています。そこらの,低予算ホラー映画とは一線を画しています。


 最初のうちは幽霊もの方向に展開するんだろうと思いながら見ていると,ちょっと違って,呪いとかそっち系のお話です。つまり,呪いの存在を本気で信じられる人にとってはとてつもなく怖い映画になるんでしょうが,呪いを鼻であしらう人間にとっては,薄気味悪い雰囲気はあるけど,全く怖くない映画でしょう。呪いを受け入れる文化圏ではこの映画は第一級のホラー映画でしょうが,そういう背景がない人間にとってはどうしても怖さを感じられません。


 で,この映画,やたらと伏線を張りまくりです。ちょっとした会話,ちょっとしたシーン,ちょっとした小道具にほとんど意味があり,しかもそのどれもが最後には説明づけられ,見終わったときに「なるほど,あれはそういう意味だったのか」,「あの体の動きの意味はこのためだったんだ」と納得できます。恐らく,あらゆる伏線を理解するためには,数回見直す必要がありそうです。だから,ワンシーンも見逃せない,という感じになり,ちょっと疲れます。

 とは言っても,それと感動は別物。この映画には私は感心したけれど,感動はしませんでした。なんだか,ミステリー映画の模範解答を見せられたような気がして・・・。

 最後の終わり方も衝撃的という批評もあったけど,途中で読めちゃったため,「やっぱりそう来たか」という感じでした。それに,こういう終わりにしないと整合性がないしね。


 それと,真ん中のあたりの進行がだれ気味。あそこをもっと短くして,全体を90分映画にしたらよかったのに,と思います。

 あまりにきちんと作られていたため,ツッコミどころがなく,面白みもない,という映画になっちゃったようです。

(2006/05/09)

 

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