《レイク・オブ・ザ・デッド》(2004年,アメリカ)


 「~・ザ・デッド」というタイトルの映画といえばゾンビ映画というのが通り相場ですが,この映画の原題は The Ghost Lake だったかな? ゾンビと言うよりは亡霊ものですね。ま,最後の方で水死体たちがゾンビみたいに歩きますけど・・・。

 結論から先に書くと,なんだかよくわからないと言うか,説明不足というか,誰が亡霊で誰が生きているんだかよくわからないというか,あの少女は結局なんだったのとか,そういう映画です。お金はかけてある映画と思われるし,屍蝋化(?)している死体たちは結構気色悪いし,途中で挿入される湖が呼ぶような歌(音楽)は結構きれいだし,そういうところは手を抜いていないんだけど,肝心のストーリーがちょっとわかりにくいんだよね。


 舞台はニューヨークだったかの郊外の村にある湖で,この湖の湖底には村が水没していて,その村人の霊が成仏できずに13年ごとの13日に蘇っては,13人の新たな犠牲者を見つけては湖に引きずり込む,というストーリーです。

 その湖にやってきたのがレベッカというおねーちゃん。そこそこ美人です。父親が何かの病気で車椅子生活をしていますが,それまで母親と一緒に頑張ってお世話をしてきたという,感心なおねーちゃんです。それで,学校の卒業パーティーかなんかに出席することになり,両親がわざわざですね,「お前はこれまでよくやってきてくれたんだから,今日は羽目をはずして遊んでいいんだよ。11時まで帰ってこなくていいよ」と優しく言われるんですね。そのくらいいい子です。
 ところが,本当に羽目を外しちゃい,行きずりの男性とエッチしちゃいます。本当は悪い子だったようです。ところがですね,ちょうど同じ時刻,両親がガス事故か何かで死んじゃうんですよ。そのため彼女は自分が両親を殺したと思いこんで,悩んでいるわけです。そこで,幼い頃,両親と楽しんだ湖畔の別荘に一人でやってきたわけですね。

 その別荘への道の途中で人を轢きそうになり,その相手,スタン君を家に送り届けることになります。ちなみにこのスタン君はイケメンですが,さすがに彼とはなかなか深い仲にはなりません(最後にはなっちゃうけど・・・)

 しかし,夜の湖で二人でいたときに水死体を発見することから,不可思議な事件が立て続けに起こります。死んだはずの両親の幽霊も登場します。いつの間にか家に入り込んでいる少女も登場します。保安官も登場しますが,なぜかスタン君は保安官に会いたがりません。湖でボートが転覆するのを見ますが,スタン君には見えていません。このあたりまで来ると,「だから一体,何なの?」と言いたくなりますが,もうちょっとの辛抱でなんとなく全体がわかります。

 ここでレベッカちゃんが古い新聞を調べて,13年ごとの13日に湖で人がかなり死んでいて,しかも死体が一つも見つかっていないことを発見。そして今年が,最後の事故から13年目で,おまけに今日が13日なんですね。新たな犠牲者を阻止すべく,レベッカと保安官は湖に張り込むが・・・,という内容だったと思います。


 この映画のわかりにくさは,死体というか亡霊が普通にそこらを歩いていて,しかも日中にも登場する点です。おまけに普通に喋ったりしているし,体も冷たくありません。誰が亡霊かわからないと言うのは,確かに怖いのは怖いけど,白昼,堂々と歩く亡霊ってのはちょっとなぁ・・・。

 上記の少女,亡霊だろうと思っていたら,実は違っていたというのは,ちょっと意表を突かれました。水の中で溺れそうになるし,人工呼吸で息を吹き返すしと普通の人間かと思っちゃうけど,そうなると彼女が歳をとらないのはなぜ,という疑問が出てきて,また訳が分からなくなります。最後の少女のシーンも何がどうなっているのか,よくわからなかったし・・・。


 で,この手の映画で一番入り込めないのが,「なんで13なの?」という部分。そりゃあ,キリスト教信者にとってはイエスを裏切るユダが13番目かも知れないけど,そんなことは仏教徒やブードゥー教信者には関係ないもんね。わしらにとっては,13も8も256も,同じ単なる数字だもんね。特に意味はないもんね。

 それに,13が不吉な数字だと言うのは認めるとしても,13「年」ごとに・・・という必然性,どこにもないじゃん。なにも13年でなくたって,13秒でも13日でも13週間でも13ヶ月でも13世紀でもいいわけですよ。

 おまけに「13年ごとの13日」ってのもなんだかなぁ。湖の底の亡霊君たち,「今日が13年目の13日だ」というのをどうやって知ったんだろうか。閏年とか間違わないのだろうか。湖に落ちてくる新聞とかの日付を見ては,「今日は10月2日だと思ったら,10月1日だったのか。去年が閏年だってこと,忘れていたよ。危ない,危ない」なんて会話でもしていたんだろうか。日めくりカレンダーを持っていて,毎日めくっていたんだろうか。だとしたら,随分まめな亡霊君たちです。


 「666は悪魔の数字」とか「13は不吉」とか聖書には書かれているかも知れないけど,それは君たちの常識であって,世界の常識じゃないって,誰か言ってやれよ。聖書なんて所詮はお伽噺とか言い伝えなんだから,その程度に考えればいいのに,お伽噺をそのまんま信じているキリスト教徒って,純真なんだかアホなんだか・・・。

(2006/04/26)

 

 新しい創傷治療   なつい
キズとやけどのクリニック
 
 湿潤治療:医師リスト