《アースブレイク Landslide》(2004年,アメリカ)


 真面目に作られた詰まらない映画です。見る価値はありません。私は下記のような宣伝文に騙されました。

リゾート開発による爪痕を刻まれたダイヤモンドバック山。その復讐が今にも始まろうとしていた!土石流に飲み込まれた街で決死の救出活動が続く中、第2の大崩落が迫る!!


 どんな映画かというと,無理なリゾート開発をしたために大規模な地滑りが起きて家やらマンションが飲み込まれ,マンションに閉じ込められた数人の脱出劇と,彼らを救おうとする側の救出劇です。こう書くとなにやら壮大なパニック映画を想像しますが,とてもチマチマした感じの映画に過ぎません。最初の地滑りシーンは結構な迫力ですが,町中が倒壊したというのに,なぜか舞台は一つのマンションだけで,登場人物はこのマンション関連のせいぜい10人くらいです。予算が足りなかったんでしょう・・・多分。
 このため,「あの大規模な地滑りの割に,被害は大したことなかったんだ。よかったね」と逆に安心してしまいます。要するに,巨大地すべりによる山の崩壊,という舞台設定の割に,妙にこじんまりしちゃっているんですね。やはり,パニック映画は予算をケチっちゃいけません。

 その他にも駄目なところが幾つもあります。


 まず,脱出する側にしても救出する側にしても,やたらと会話しているシーンばかり多くて,かったるいです。マンションに閉じ込められている人たち,次第に二酸化炭素濃度が増えていることがわかっているなら(何しろ,主人公が二酸化炭素探知機を持っていて,ひっきりなしに測定するんだぜ),急いで脱出路を探するのが常識です。それなのになぜか,閉じ込められている皆さんはゆったりと座って「実は君のお父さんは・・・」とか,昔話と回想にふけっちゃう。君たち,話をしている暇があったらさっさと逃げなさい。

 何でこんなに会話ばかり多いかというと,そもそも,この90分の時間を持たせるようなストーリーではなかったからでしょうね。何しろ,この映画の売り物であるはずの地滑りシーンは1回しかありません。通常の映画なら,最後の方で「ようやく救出されたと思ったら,もう一度地滑りがあって・・・」というハラハラシーンがあるものですが(お約束ってやつね),この映画では救出される側が早い時期に動けない状態になっているため(何しろ一人は出産直前の臨月の妊婦だし,一人はガラガラヘビに噛まれている),もう一度,地滑りを起こそうものなら登場人物は全滅です。これじゃ本末転倒なんで,地滑りは最初の1回だけになっちゃったと推論できます。

 となると,その後の脱出・救出劇だけで90分緊迫した映画にするのは不可能でしょう。だから,人情劇(仕事最優先の父と子供の対立と和解とか,倒壊したビルの中で産気づく妊婦がいてその夫がこのリゾート開発をした会社の社員だとか)に頼るしかなくなり,そういう事情を説明する会話を延々と続けるしかなかったのでしょう。こういう舞台裏が何となく透けて見えるのが,もののあはれ,を感じさせます。

 ひどいと言えば,最後の悪役の倒され方は噴飯もの。女性(それも普通のオバサン)のパンチ一発でやっつけられます。いくら「夫と息子を危険に会わせた悪役への怒りの鉄拳」といっても,これほど弱い悪役ってのも情けないです。アンパンマンの「あ~んパンチ!」一発で地平線のかなたまで吹っ飛ばされるばいきんまんより弱いです(ちなみにこの文章を書くために「アンパンマン公式サイト」を調べ,「アンパンマン」がカタカナ,「ばいきんまん」はひらがな表記であることを知りました)
 このシーン,「笑点の大喜利」と同じくらいには笑えます。これがコミック映画ならお笑いシーンでいいのですが,何しろこの映画は「シリアスなパニック映画」なんで,このシーンは笑い(=失笑)(怒りの)涙を誘うことでしょう。


 それにしても,この内容で「アースブレイク」という邦題をつけるか? アースブレイクって,地球が壊れるのか?

 低予算ぶりに観客が涙するパニック映画,というところでしょうか。

(2006/02/15)

 

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